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年中休業うつらうつら日記(2025年2月15日~2月21日)
25年2月15日
とても珍しいお客様をお迎えした。
せいうちくんの母方の従弟、ひとつ年下のEくんだ。
正確に言うと、4人姉妹の末娘であるお義母さんの、2人上のお姉さんの一人息子。
これまで父方の方の親戚の話はずいぶん聞いたり、せいうちくん自身調べてみたりしていたけど、母方の親族と会うのは(もちろんお義母さん始めせいうち実家構成メンバーは除いて)結婚式以来になるんじゃないだろうか。
実際、Eくんは招いてなかったんじゃないかなぁというせいうちくんのうろ覚えに従って「初めまして」とご挨拶したら、
「お話ししたことはないので『初めまして』に近いんですが、結婚式でお会いしました」と言われてしまった。
恥ずかしい。
最近、我々も年を取ってきて、自分たちの実家や親族の歴史や人間関係をもうちょっとちゃんと聞いておいた方がいいような気がしてきた。
Eくんは彼のお父さんが4姉妹のうちの次女に婿入りして家業の畳屋を継いでいた関係で、祖父母宅の近くに暮らしていた。
なので、せいうちくんも「子供の頃はよくおじいちゃんちを訪ねてEくんと遊んでいた」そうだ。
長姉さんのとこに5歳ほど年上の従姉さんがいるそうだが、そちらは歳が離れているせいか、うんと子供のころ以来あまり会っていないらしい。
4姉妹の中で現在生きているのはEくんとこのお母さんとせいうちくんのお母さんだけなんだって。
そのせいか、時々電話がかかってくるよ、とEくんに言われ、せいうちくんが、
「ああ、うちの母が伯母さんに電話してるんだね」とうなずくと、実はEくん本人とおしゃべりするための電話のようだ。
「もしかして、僕と母の関係が良くないから、Eちゃんとこに愚痴が行ってるのかな?『せいうちが冷たいのよ!』とかいう感じで…」と恐る恐る聞いたら、どうも当たらずとも遠からずなようで。
お母さんの愚痴は全部せいうちくんの妹さんが聞いてくれてると思ってたので、油断していた。
平謝りのせいうちくん。
しかし、父親を家で看取り、高齢の母親と同居しているだけあって、Eくんの老人観はおおらかで優しい。
「誰かと話したいんだよ。そんなもんだよ」と受け止め、せいうちくんが母親と話すとすぐケンカになる、と打ち明けると、
「ふーん、とか、そうなんだー、って感じで聞けばいいんだよ。親子なんだし、相手は老人なんだからさ」と非常に達観した様子。
何しろ40年近く会っていなくて、その間、情報源はお互いの母親だけだっただろうから、生業やそれまでのいきさつ、人生の流れを聞いてみたいせいうちくん。
私は何しろ、単なる「従兄の妻」だからすまして聞き手に回っていた。
学歴至上主義のせいうち父方とはまた違った、かなり波乱万丈の人生だと思ったよ。
なんとなく、「真剣に人生に向き合って人とのご縁に恵まれれば、うちの息子でもなんとか自分の人生を全うできるかもしれない」と安心する材料が多かった。
ちょっとだけ面白かったのは、どうやらお互いの母親が、姉妹とはいえ少々見栄を張りたいところがあったのか、せいうちくんが大学で3年留年したことはEくんに伝わっておらず、Eくんが高校を中退したことはせいうちくんに伝わっていなかった。
私は息子の大学受験をいちいち「どこどこは落ちた」「どこどこは塾推薦でとりあえず受かった」「3連発で落ち続けている」てな感じで落ちても受かっても実況中継を続けていたような母親なので、「言わないでおく」って発想はなかったな。
せいうち父方親族のことはけっこうよく緘口令が敷かれるんだが、お母さんから発令されていることが多いのを思えば、母方にもまた秘密があるのはあまり不思議ではないのかもしれない。
その他にも、「包丁を畳に突き立てた」伝説があるほどの漢気のある職人気質のおじいちゃんの、その「突き立てた現場」を見て後世に伝えたのは誰だったのか、本人が酒を飲むたびに自慢したタイプか、「うちの旦那は男らしかった」と母親が語ったパターンか、せいうちくんはそのへんに猛烈に興味を持ってしまったらしい。
両親がすでに亡く、姉とは義絶している私はもうこれ以上実家の伝説を聞いて増やすことはできないので、せいうちくん、お母さんが生きているうちに聞いた方がいいと思うよ。
自分自身、先日車中泊で山口県を通った時に60年ぶりぐらいに父の育った家に突撃して、祖父の葬式で会ったきりの義理の叔父から父の話がいろいろ聞けて非常に良かったと思うものだから、なおさら。
せいうち父方実家ではあまりに親世代の軋轢が子供世代に影を落としているので、そのへんがさっぱりしたら「いとこの会」を開いて、特に母親同士が非常に犬猿の仲で学歴と職歴の闘争に巻き込まれた息子たちがもうちょっと胸襟を開いて話せるといいね、とやや離れた立場のアメリカ在住の従姉が言っており、いつか「次世代の集まり」を持とうと計画してるんだが、どうやらせいうち母方の親戚もそれをやってみると面白そうだ。
うちでは姉と私がこじれ切っているけど、その下の世代の甥と息子がそれなりに連絡を取り合っているので、ちょっとほっとしてる。
親戚ってのも面白くて、たまには会うといいもんだよね。
Eくんは仏教関係の出版社で働いていたせいか、非常に博識で脳科学や心理分析にも造詣が深そうだ。
今後のおつきあいがとても楽しみな人と親しくなれて、嬉しい。
もっともっといろいろ深掘りしてみたい。
せいうちくんに似て穏やかな人なんだが、自分の中で苦しみと向き合う、というせいうちくんがまったく苦手として避けていることに正面から取り組んできた人のようなので、きっとせいうちくんは彼からたくさんのことを学べると思う。
話し込んでいる間に煮詰まりすぎた鶏鍋を前にちょっと途方に暮れて片づけてしまい、買っておいたケーキを出す。
Eくんは手土産にヨックモックの大箱を持ってきてくれたので、中身を少し卓に出し、残りのうち半分ぐらいを別の箱にとって、今夜息子に会う時渡そうと思った。
せいうちくんにあとから聞いたら、時間配分としてはまずEくんの来し方を聞き、それから自分の話をして、
「親には反対された結婚だったけど幸せにやっている。しかし母親は今でも気に入らないようで文句を言っているのだが、母親とはそういうものだろうか?」と自分の母の姉を母に持つEくんにヒアリングして、何か家族の呪いがあるなら聞いてみたい、って感じで考えていたそうだが、タイムスケジュールの立て方がドヘタなので気がついたらEくんの闇歴史を聞き終えるのが精いっぱいな時間になっていた。
このあとは、一緒に下北沢に行って息子のインプロコントライブを見る予定なんだよね。
ちょうど同じ日の事なので、うまく予定が組めてよかった。
しかし、家を出て駅に向かうEくんとせいうちくんの足は速い。
せいうちくんはいつもずいぶん私向けに加減して歩いてくれているのだなぁ、と驚きながら、後ろを見ずに談笑しながら歩く2人について行こうとするが、信号2つで遅れないようにするのが精いっぱいで、最後の信号でせいうちくんが振り向いた時にはかなり後ろをへろへろになって息を切らせて歩いていた。
「ごめんごめん、すっかり忘れていたよ。速すぎたね」と謝るのを、息継ぎおかしくなったまま、
「いい、の。だい、じょうぶだ、から。しか、しあし、はやい、ねー」てな感じで呼吸を整える。
Eくんも申し訳なさそうで、いやいや、際限なく太ってるのがいけないんだから、気にしないで。
1回乗り換えて下北沢につくころには完全におさまっていたよ。
「渋谷や下北沢は、もう全然わからないなぁ」と言うEくん、我々も同じ感想だよ。
特に私は40年前に下北の風呂なしアパートで一人暮らしをしていたのに、今では当時の駅までの通勤経路も思い出せない。
インプロコントライブはちょうど開場したところで、顔見知りのメンバーと「あっ、いつお世話になってます!」「こちらこそ。せいうちで3人分お願いしてあります」と人数×2千円の代金を払っていると、後ろでEくんがせいうちくんに、
「それは困るよ。自分で払うよ。いや、無料だと思ってついてきちゃったけど…」と言っている。
まあ、ここは持たせてくださいな。
そのかわり、ワンドリンクの購入はお願いします。
今日は息子妻Mちゃんもフードを出しに来ていた。
3月頭に一緒に食事をして娘の面会に行く予定なので、乗換駅でランチのお店を探しておいてくれたそうだ。
久しぶりに家族そろって、また、Mちゃんともゆっくり話せそうで嬉しい。
最後に会ったのがお正月明けだから、ひと月半ぐらい顔見てなかったね。
忙しく働いている息子夫婦と隠居寸前の親夫婦なんて、そんなもんだろうな。
いつものように番号の振ってある紙にお客さんが「お題」を書き、狭いステージ部分にずらりと並んだメンバーたちの誰かが手元の紙を1枚引いて、対応する数が書いてある紙を持ってるお客さんに手を挙げてもらう。
「このお題、使わせてもらっていいですか?」と息子が聞き、「はい」がいただければそのお題から即興で1本、コントを作る。
何度も観に来ているので、本当にみんな、上手くなったなぁと感心する。
時には台本付きのコントと区別がつかないほどの完成度のモノも現れる。
日頃からお互いの言葉に対する感性をすり合わせ、動きの見せ方を一緒に練習しているからこそできるんだろう。
とくに息子の冠ライブである月1回ぐらいのこのライブでは、お客さんからも希望者を事前に募って参加してもらい、インプロライブの面白さを楽しんでもらえる趣向になっている。
かく言う私も出たことがある。
自分の声がここまで出なくなっているとは、と驚いた日であった。
もうちょっと発声を鍛えて、また出たいとひそかに野望を燃やしている。
しかし「息子くんのお母さん」はもういい加減すり切れたネタなので、そろそろ新機軸で「息子くんのお父さん」にご出馬願いたいところだが、せいうちくんはそれだけは絶対にイヤだ、と全面抵抗の姿勢を崩さない。
息子からも前もって、
「本人が楽しめなかったら意味がない。無理やり参加させるようなことはしないで」と釘を刺されている状態だし。うーん。
全部で7本ほどのコントをやり、最後には一般参加の人を含めた全員がステージ部分で踊り歌うミュージカルになって大団円の幕を閉じた。
今回も大成功だった。
Eくんは「たいへん面白い!」と感心してくれ、息子と話したりMちゃんの豚キムチ丼(温玉、大根の漬物のせ、800円)を食べてくれたり、楽しんでいってくれたようだ。
「若い人たちがこういうパワーを持って活動しているのは素晴らしい。それを親が心から応援し、子供も受け入れている仲の良さはうらやましいよ」と名残惜し気に帰って行った。
いろいろ話したりなかったことも多いので、ぜひまた遊びに来てください。
息子と「今日はありがとう。Eさんも喜んでくれてたよ」「うん、ありがたいよ。すごくいい人だね!」と会話を交わし、せいうちくんと手をつないで電車で帰った。
最寄駅から歩いて帰れる喜びよ…住んで3年になるが、あまり出かけないせいもあってまだまだ新鮮な喜びだ。
しかしお客さん+外出で私としては非常にアクティブだったので、2、3日は寝込んで過ごそう。
幸い、木尾士目の「げんしけん」全21巻を読み始めたので、困ることは何もない。
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25年2月16日
宣言通り今日はのんびり。
せいうちくんは外出もしてみたいらしく、買い物に行ったが、それ以外は主に布団で本読んでた。
2人並んでひたすらそれぞれの読書をするのも楽しい。
ただ、私は自分が読んでるものの佳境に来ると感極まってあれこれ話しかけてしまう。
突然、耳元で「マダラメさん、総受け!」とか叫ばれる人も迷惑であろう。
しかし、どうしても受け体質になってしまう、もしくはそう思われてしまう男性というのは腐女子にとっては「血祭りにあげたい生贄」な位置にもあり、「尊い」だけではなくある種の仲間意識を持たれるのでは、と疑っている私にとって、マダラメ先輩は飽くなき研究の対象だ。
「マダラメ先輩の、ここがらめぇぇ会議」など、男性でしかも先輩である人をこき下ろしていくのは、実に女性の自立を疑似体験する場であるに違いない。
むしょうにマンガが描きたくなった。
今ならマダラメハーレムものでコピー誌の1冊ぐらいでっち上げられそうな気がする。
しかし肝心のマダラメパイセンの顔からもう描けないというのが、「昔描いたことのある人」の無謀で根拠のない自信が崩れる現実の一線なのだ。
あー、マンガはいいな。
よしながふみみたいに表世界で売れて、裏世界は好きに描いてこれもまた売れるなんて、うらやましすぎる…
25年2月17日
お友達から弥生美術館での「青池康子展」に誘ってもらった。
行けたら行きたい、しかし現実に絵を見ると、「世の中には描ける人と描けない人がいる」とか、ここまで描き続けてこられた念の強さとかいろんな考えにあたって、寝込んでしまう。
九州で「九井諒子展」を観た時も軽く寝込んだ。
出不精で、いつ出かける気になれるか、そもそも新宿より向こうになんて行けるのか、とかぐるぐる考えて、結局断ってしまった。申し訳ない。
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マンガは「げんしけん」を一代目と二代目全部読み終わり、異世界もの(?)の「Spotted Flower」既刊7巻に入る。
ハトくんとヤジマに何があったのか知らんが、それからスーとチカにも何があったか知らんが、ずいぶんと面白いことになってるじゃないか。
ハト×マダを実現してしまったハトくんの歓びの第一声が「先輩、すごーくかわいかった!!!」であるのにもあれこれ妄想をかきたてられた。
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結婚する相手を間違えたのだろうか。
「前世は蛇」と言ってはばからないマダラメ先輩と違って、せいうちくんの前世は絶対に「犬」である。
単に「追いかけ始めると止まらない、一種の大型特殊」と揶揄される性格を「執念深い」と誤解したのが間違っていたのか。
もうこれはこれで慣れたので大丈夫だが、時々「今投げたボールの事はすっかり忘れて、昨日見つけられなかった棒を拾って嬉しくてたまらず、ちぎれんばかりにしっぽを振って無茶苦茶喜んでいる」みたいな状態を見ると「なんだかなぁ」と思わずにはいられない。
25年2月19日
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諌山創の「進撃の巨人」全34巻を読み始める。
あれ、こんなに早めに「巨人展開」し始めたっけ?
ずいぶん謎がぐるぐる回ってきてからだったような気がするぞ。
慣れたから、前よりずっと先回りできるようになっていたんだね。
あいかわらず最初の数巻はもうどうしようと思うほど絵がヘタなんだけど、それを乗り越えて余りある構成力で描かれた大作だ。
最近、せいうちくんが忙しいのか忙しくないのかでよくもめる。
ある意味、忙しくなくなってるかもしれない。
月曜に、久しぶりに夜の宴会が入って帰りが21時過ぎたが、そんな日は滅多になく、毎日一緒に夕食を食べられている。
ただ、たとえば「16時頃に仕事が終わる日も多くなって嬉しいね」と言っていた頃に比べると、18時半終わりが当たり前になってきている。
それをせいうちくんがきちんと把握しておらず、再三言っているにも関わらず、
「でも最近はそんなに忙しくしてないよ?」と言い始めるのが問題その1。
その2は、何を言っていようが問い詰めれば最後に言い出すのは、
「ここ5年ぐらい、仕事のことに頭が行ってしまう。なんだかおなかのへんにきちんと自分がいなくて、浮き上がってる気分なんだ。落ち着かない」という現状。
「男性更年期だと思って、長い目で見て」って言われて長いが、非常に単純に、それは何十年もサラリーマンとして働いてきて、それが終わりに近いのを認めたくないんじゃないか、そして、事実は事実として認めてさっぱり次の生活に移れるはずだった自分が、妙に関係ない案件にまで首を突っ込みたくなったり気になったり、要するに全然「隠居」する気分に移行できない「あたりまえのフツーの男」だったことを受け入れられないのではないだろうか。
そこまで最初からほぐし直してやっと、
「そうだなぁ、覚悟ができてないのかもね。みんなが難しいと思い、戯画化して描かれてしまうような『引退したくなさ』は意外と怖いものなのかもしれない」といつものセリフが出てくる。
つまり、いつもいつも同じルートをぐるぐる回らないとこの真相にたどり着けないのだ。
私もいい加減人のことは言えない性格だが、手間がかかるので何とかしてほしい。
だったら「サラリーマン、辞めたくないよう」って言いながら走り回ればいいじゃないか。
今はどこでも65歳ぐらいまでは走らせてくれるぞ。
「早く引退してキミと遊びたい」ってウソつくからそんなことになるんだ。
まあ、私が40年間ずっと彼の引退を夢見てきたのがいかんのかもしれないなぁ。
ここ数年は1年ごとにフェーズが変わるので「すわ、引退か!」と思ってはもう1回座り直す、って感じが続いていて、生活が定まらない。
なんでも、先日宴会で会った弁護士たちにせいうちくんの同僚のHさんが、
「せいうちさんは最近車中泊にハマってるんですよ」と話題を振ったところ、「そも車中泊とは何ぞや」から始まり、年かさの方の弁護士は「私には無理だなぁ。車の中じゃ、寝られない」と言い、若い方は「いいですね!学生時代に自転車で京都から四国の方を回ったことを思い出します!」と言うので、せいうちくんが、
「やる?」と聞いてみたら、
「やりたいです!」
「奥さんは?」
「あ、家内は無理です」となったらしい。
「Gくんとかあなたとかは私が車中泊してるのを甘く見てるかもだけど、普通は相当女を捨ててないと車中泊は難しいよ。私だって名古屋の貴婦人Cちゃんには絶対薦めようと思わないもん」と言ったら、きょとんとして、
「僕は、キミが女を捨ててるとは思わないけど?」と素で返してきた。
バカモノ、普通は基礎化粧品だけだって相当な量になるし、風呂に入れない日が2、3日続くこともないではないし、昼間の服のまま寝たり、逆に寝るとき着てた服でそのまま昼間活動したり、通常は女性がしないことなんだよ。
フツーの女の人は、朝、起きたなり髪にブラシも櫛も入れずに洗面道具持ってトイレに行くところからやらないの!
それにつけても車中泊、またやりたいな。
今週末に2泊ほどミニバンのレンタカーで行ってみようと思ってるが、やっぱり醍醐味は1週間を越えるぐらいからだからな。
Gくんは我々と車中泊のポリシーが全然合わないからと3人での活動はもう絶対しない、と言っていたが、「おまえら、目的地にスーッと向かうだけで全然途中の道の駅とかで止まってみようとしないじゃないか!」というあたりが合わないだけなら、そもそも君のまわりに「車中泊、やってもいいよ」と言った人が1人もいなかったことに着目してほしい。
車の中で食事を済ませて寝られるだけでも、我々ほど車中泊の素質があるアラカンはいないってことを、声を大にして言いたい。
またGくんと車中泊行きたいなぁ。
でも、キャラバンは売っちゃったしなぁ…
25年2月20日
整形外科に行くのをすっかり忘れていたので、今月は2回シップをもらうのに失敗した。
もちろん、最後、足りなくなったらそこらのドラッグストアで買えばいいだけの話なんだが、自分の不手際で「月に2回ゲット」と決めているシップをもらい損ねたのは非常にダメージがデカい。
せいうちくんは安田顕、通称ヤスケンが大好きだ。
昔、平田満や風間杜夫が好きだったように、見るととっても嬉しい気持ちになるらしい。
今、大河ドラマ「べらぼう」で平賀源内という美味しい役を演っているので、毎週観られるのはたいそうな天国だろう。
(その前に普通の「大奥」ドラマでどす黒く悪い田沼意次を演じたのと比べて、非常に上手な役者さんだとまた感心している)
さて、マンガ友達のミセスAもせいうちくんのヤスケン愛はよく知っており、大河の方でも芳沢国石と平賀源内の実録BL小説を書いたとされる平秩東作が出てきたというX記事を送ってくれた。
「せいうちさまは、平賀源内になら、いえ、ヤスケンが相手ならいい、とお考えですか?」と聞いてきたのに対し、せいうちくんは大真面目に、
「ヤスケンとは、見つめ合うのではなく、同じ方向を向いていたいです 隣り合わせならタイシュウマスクでも全然平気です」と返事していた。
どうやら「ヤスケンはワキガ体質らしい」との噂を受けての発言なのだろうが、それだけでは十中八九、一般人には通じるまい。
仕方ないからコメントとスクショで少し補助しておいた。
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「たぶん通常の知識では理解できない大内くんのセリフなので、説明ページを貼っておきます。『タイシューマスク』とは、泉昌之のマンガ『エラーマン』に出てくる悪役怪人の名前です」
お返事で、「これは知りませんでした。タイシュ―マスクはなかなか匂いそうです」と言ってきたので、サポートしておいてよかった。
ついでにBL観点からのせいうちくんの感想を少々。
「ちなみに、ヤスケンとの性的行為は想像することもできないそうで、特に『迫られたらコワイ』と言うので、私はこのあたりに上野千鶴子の言う『女役にされる=男性として負けている』ホモフォビアの構造が隠されていると確信しています」
男性はみな、その恐怖を一度は体感してみたまえ、というのが私の持論である。
しかしヤスケン、違った平賀源内自ら筆をとったBL小説か…いっぺん読んでみたいような。
25年2月21日
今日は通院日にして、予約を入れてある眼科と時間自由の整形外科に立て続けに行く。
間に図書館を挟むことまでできた。
寝っ転がってFBの読書好きグループなど見ていると、ちょっと読んでみたい本の紹介がよくあり、そのまま図書館に在庫があるかタブレットで確認に移り、あればその勢いで予約してしまうことが多いので、私の場合は予約本を取りに行くことが多い。
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図書館マンガ「税金で買った本」を貸している関係でミセスAから図書館の使い方について質問が来た。
まあ、家族カードなら融通してあげちゃって、本人でないのがわかってても使わせてあげてる場合が多いだろうな。
ただ、うちのようにカード番号で予約してしまった場合は、そのカードでしか借りられないので代理の人(まあつまりせいうちくんだ)にカード持ってってもらって借りてきてもらうことが多い。
返却は、誰のでも「図書館に行く用がある人」がまとめてやる場合が多いかな。
さて、眼科で緑内障の治療のため眼圧を測ったりして診察をしばし待つ。
小さい頃に家に置いてあったのがなぜか野末陳平の「姓名判断」と婦人誌出版社の出してる「エレガンスの手帖」というマナー一般の本で、他に読むものがないから暗記するぐらい読んだんだが、後者には「ナイフとフォークを使ったバナナの食べ方」「檸檬を絞る時は片手を添えて飛び散りを防ぎましょう」などの興味深い記事以外にも、「電車の中などの人混みの中で座って待つ時は、軽く目を閉じて上品な無関心を装いましょう」と書いてあったものだから、三つ子の魂百まで、であまり周りをじろじろ見ずに軽く目を閉じていることが多い。
しかし、それはそれで音声はけっこうよく聞こえるのだ。
耳の遠いおじいさんが検査の人から大声で、
「どっち側に隙間が空いてるか、だいたいでいいから、教えてください」
「赤と緑と、どちらの方が黒い線がはっきり見えるか、教えてください」とお決まりの視力測定をされている。
大声で何度も言うのは仕方ないが、どうしてもそういう時って、子供に言って聞かせるような口調になってしまいがちだ。
なんとかもうちょっと聞かれる側の尊厳を尊重した言い方はできないものだろうか。
そのおじいさんが待合室に戻ってきてから、診察に呼ばれた時、奥さんと思しき女性の声で「早くしなさいよ!」とせかす怒声が聞こえた。
診察室を出て来てからも、白内障だろうか、手術を受けたくないらしいおじいさんが、
「受けるとしても3か月後何だねぇ。もう、今日なのかと思ったよ」というつぶやきに対して、
「そんなヒマな病院はないわよ!」と手厳しく返している。
いつかせいうちくんの耳が遠くなったり認知機能に問題が出てきたりしたら、私もこんなふうにキリキリとものを言うようになるのかな。
日頃から早口で命令口調になりがちな私のひそかな悩みなので、ここは大いに気をつけていきたい。
整形外科でシップまでもらって家に帰ったら、清水玲子の新作が2冊同時発売で来ていた。
おそらく2冊でひとつのエピソードを描いているのだろう。
その作品自体よりも、最後に別エピソードとして描いてあった短い話を読んで泣いてしまった。
2歳で再生不良性貧血を発症した女児のために、きょうだいなら4分の1の確率でHAL型が一致するため、その確率に賭けて生んだ第二子。
しかし賭けは外れ、型は合わなかった…
そこから始まる一家心中未遂事件の謎。
自分のことを描かれているようで、慟哭が止まらなかった。
もちろん私の姉は病気ではなかったし、ドナーも必要ではなかった。
それでも「おねえちゃんが一人っ子じゃかわいそうだから」と自分が生まれた理由を聞かされた時、絶望した母親による一家心中のメンバーからも外されていた第二子の心を追う時、私の気持ちは同じように絶望するのだ。
清水玲子と言えば「浦沢直樹の漫勉」でも取り上げられ、「綺麗な人が綺麗な部屋で綺麗な絵を描いている」ことで有名になったマンガ家さんだが、どうして彼女の描く作品はこんんなに深く残酷なのだろう。
寡作な人なので、次の「秘密 SEASON 0」が出版されるまで、また何年待つことか。
前述のミセスAは特に読者ではないらしく、「読んでないですねー。ドラマ化は嬉しいですか?」とのお尋ねがあったが、主人公の薪さんが不要なほど美少年に見えるのも気に入らないぐらいで、ドラマ化は最もうれしくない類のマンガ作品だ。
美少年が必要だとは思わないが、これが薪さんだと言い張るならもっと目力のある少年ぽい美男子を連れてこい!