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年中休業うつらうつら日記(2023年4月22日~4月28日)

GWも間近でちょっと浮かれていますが、期待があると不安も増すのが私の欠点で、舞い上がったり落ち込んだりの乱高下の激しい状態で暮らしています。実際にはもういろんなプランができていて困ることは何もないのですが。GW明けのコロナ増加は不安だけど、皆さんも良いGWを。

23年4月22日

先日の定例ZOOM飲み会に出たら、先週、我々が落ちたあとにGWのリアル飲み会の話が持ち上がったらしい。
長老んちに集合して、例によって酔いつぶれた人は泊まっていけ式の野放図な宴会がくり広げられる話を、昨夜さらに細かく詰めていた。
うちはGW後半に名古屋に行く以外はヒマなので、ぜひ参加したい。

ZOOMの仕様が変化し、40分で1セッションが切れるとその後4分ほど次のセッションが始められなくなっていた。
みんなが「入れない?」「ZOOMのトラブル?」とあわてる中、Gくんはこの変化を探り当て、ついでに無料期間だけ有料会員になってみてZOOMが滞りなく進められるようにしておいてくれた。ありがたい。
しかし2カ月の無料会員期間が過ぎたらどうなるんだろう?
まあ、最悪、4分おとなしく待ってりゃいいんだが。

途中で落ちて、せいうちくんが寝てから夜中に戻ってみたら、大変な事実が判明していた。
普段は40分で切れるから、をこを目安に「私は次はもう落ちます」「あと10分になったので、そろそおやすみなさい」などと皆、自分で時間管理して適当に落ちていたのだが、Gくんが会員になったためZOOMの40分縛りがなくなってしまったのだ。
それで夜中の2時過ぎにまだ6人も7人もメンバーが残っていたのか。

他にきっかけがなかったせいか、私の出現を潮に「それではそろそろ」と帰る人が続出し、一気に長老とGくんと私という、昔の夜中メンツが残ってしまった。
Gくんに旅行記の時系列が無茶苦茶だと言われた。
「あんた、記憶力がいいって言ってるけど、これ読むと全然不正確だな」
意味をつなぐ記憶は得意なんだが、場所や地名を結びつけるのは苦手なんだよぉ。
言われるままに乗ったり降りたりしていた後部座席だし。
くやしい、ううう。

名古屋のCちゃんが今年はGWにリアル女子会をするからうさちゃんもおいで、と招待してくれた。
「もちろんせいうちさんも一緒に来るんでしょ?女子会はNGだけど、それ以外はいろいろおもてなしするわ」と言ってくれるCちゃんの2泊3日プランは、

1日目:午前中に我々が名古屋入りして、駅前のホテルに落ち着いたところを愛車で迎えに来てくれて、そのまませいうちくんが興味津々の「明治村」に連れてってくれる。(名古屋の子は遠足とかで必ず行くから、ほぼ全員既に経験者なのだ)
戻ってきたらCちゃんのマンションでお茶を飲み、彼女の行きつけのイタリアンの店にタクシーで向かい、3人でディナー。解散。

2日目:正午から駅前のシャレオツな店で中学の女子会。参加メンバー4人。
せいうちくんは留守番だが、きっと名古屋における神保町みたいなものを見つけ出して古本を買い込むことだろう。

3日目:また朝、ホテルに迎えに来てくれて、名古屋の名所「香嵐渓(こうらんけい)」に向かってドライブ。
ここは昔、家族で来たことがあって、いろんな意味で思いで深い場所なので、Cちゃんの提案メニューに入っていたのを幸い、目的地に選ばせてもらった。
帰りの新幹線に間に合うように駅前まで連れ帰ってくれるそうだ。

名古屋を訪れるたびにCちゃんにはとてもとてもお世話になるので、今回も「こんなに豪華メニューを組んでくれて、ありがとう」とLINEでお礼を言ったら、「貴女はたまにしか来られないんだから、そりゃあおもてなしするわよ」と鷹揚だ。

今回はCちゃんへのお礼と女子会に華を添える意味で、ちょっといいシャンパンを奮発した。
息子の義母となった方が百貨店のお酒売り場に勤務していたこともあるので、ふさわしいものを選んでもらった。
女子会映えする素敵な包装をほどこしたものを、Cちゃん指定の日に彼女宅に届くよう手配してくれた。
売り場としてもポイントが上がるが、こちらも社販で1割引きにしてもらえて、まことにウィンウィンな話。

女子会の会場がCちゃん宅じゃないのをすっかり忘れていたのが私の大ポカだが、会場のお店に聞いたら持ち込み料を払えばOKだそうで、そこも私が持つということで万事落ち着いた。
9連休GWの旅行としては小粒だが、旧友たちとの再会を思い切り楽しんでこよう。

23年4月23日

今週と来週の2週連続でかの有名な、あまりに何度も映像作品化されている「犬神家の一族」がまた特別ドラマとして放映される。
注目の主役・金田一耕助は「北の国から」以来子役で活躍し、今や一人前以上の俳優となった吉岡秀隆くん。
他にも大竹しのぶ、南果歩など有名どころがずらり。NHK、チカラ入ってるな~。
珠世役の古川琴音は最近大ブレイク中だし、神主役の野間口徹は人気ドラマを観ていると必ずと言っていいほど出演している。
昨日やった分は録画したから観られるが、来週まで待った方がいいんじゃないの、せいうちくん?

やっぱり楽しみなのは「スケキヨの足コレクション」だよなぁ。
前回観た予告編の「スケキヨ足」は従来と違って腰から見えているうえ、カエルのようにがに股だった。
いろんなスケキヨ足があるもんだね。
マスクはいつも同じようなのに。

23年4月24日

なんとなく頭に「五・七・五・七・七」の文章が浮かんだので書き留めてみたら短歌になっていた。
だらだらと長い文章が持ち味であり欠点な私でも、短歌が作れるのか!と少し驚き、おっちょこちょいなことにそのままFBのグループ活動の中から短歌のグループを選んで、入会してしまった。

承認されて、他の人のをじっくり見ることもなくいきなり投げ込んだのが、これ。

 春の夜 伝えられる苦の闇の中 
 両手に掴むスマホ消え去れ

それからあらためて他の人の投稿を読むと、皆さん悠然と、またおおらかに明るい心持ちを詠っている。
「ああ、また来たよ。創作したがりの厨二病ちゃんが」と思われているのではないかと思うといたたまれない。

そう言いつつ、さらに2首ほど投稿してみる。

 還暦を過ぎてなお聞く責める声 
 母が黙して10年経つのに

 嫌煙権 知りませんよと 番号で 
 ただコンビニに 煙草整列

他に10首ほどをせいうちくんに見せたら、
「新しい才能の発見だ!キミがこういう短い表現ができるとは思わなかった。もっともっと書きなよ」と喜んでくれた。
脳の言語野の、ちょっといつもと違うところを使う気がして面白い。
ストレッチや筋トレで、知らなかった筋肉や腱の存在を知るような。
少し続けてみようかな。
これまでの拙作を並べてみる。

 真夜中に 紫煙のゆくえ 目で追いつ 
 肺がんを思う馬鹿らしさ

 電動機 切った自転車 上り坂 
 左右に揺れて意地でこぐ君

 まっすぐも 卑しさも また傲慢も 
 すべて一人の我が裡に在り

 本の虫 取柄はそれだけ またいつも
 姉の品行方正が無敵

 毒親と 普通の声量で言ってみる 
 なのにタオルに吸い込ませて

 人は人 自分は自分と言い聞かす 
 そうだ自分は選ばれていると

 カルピスを うんと濃くして 
 4歳の頃の自分にふるまってやる

 肺がんも 何するものぞと紫煙追い 
 引けてる腰がどこか可笑しい

 トイレでは ゆっくりゆっくり下方へと 
 大蛇が人を吞み込むイメージ

 仲間の死 驚き 嘆き 得心し 
 静かに列の順に加わる

 自意識が過剰なのはわかってる 
 並みの自意識ってどういう形?

 今日もまたつらい我慢をひとつした 
 寂しい夜のスマホ消え去れ

 進撃と鬼滅とジョジョを勧められ 
 意地に費やす親父の連休

 本開く 活字の底に息続く限りに潜るも 
 届かぬ深淵

 とこしえの万里の果ての頂上に 
 届くことあれと 誰もが歩む

 ヒヒジジイ 関わるものかと思ったら 
 実は夫がそうだったヒヒ

23年4月25日

先に述べたようにFBで短歌のグループに入ってみたので、思いつくまま投稿している。
昨夜の投稿、

 「夜の波 降るような星に君は云う 
 『この日のために生きてきた気がする』」

を添削してくれる人が現れた。
グループリーダーの一人の方らしいが、

 「夜の波
  降り注ぐ星
  かく語り
  この日のために
  われ在りしかな」

と格段に短歌らしく、格調高く、深みのある作品になっていた。
でもいいんだ、私は口語体短歌で行くんだ。

23年4月26日

せいうちくんは朝から出社。
テレワーク週3回体制を守ってくれている。

心療内科の通院日なのでついでに最近身体が凝ってしょうがないのをなんとかしようと、病院の予約の前の時間帯に同じ駅前のマッサージ店を入れてみた。
バケツの足湯にしばらく浸かったあと、好みの2種類のオイルを混ぜたもので膝から下をマッサージしてくれる。
「ずいぶん足がパンパンに張ってますね。立ち仕事をなさってるんですか?」と女性マッサージ師さんに聞かれてしまった。
いえ、寝たきりの生活をしてるので、ちょっと歩くと脚が疲れるだけです。

その後は手と腕にパウダーマッサージ。
腱鞘炎の治らない手もむくんでいて、心地よい。
身体全体に移る頃にはもう半分眠っていた。
それぐらいリラックスして気持ちいい時間だった。
2時間で6500円はわりとお安い方だと思う。

心療内科に早目に着いた。
ドクターはいつ昼ご飯を食べているのだろうと思うぐらい、15時予約の患者が14時にやってくる迷惑を顔に出さない。

せいうちくんは「仕事を6割に抑えます」と言った約束を守ってくれていて、週2日出勤のペースで働き、夜の接待等は入れないでくれている、GWには旅行に行くし、夏休みにはクルーズの予約をしてくれた、と話すと、ドクターは非常に感心していた。
「彼は誠実だね!いや、驚きましたよ」
別にせいうちくんが不誠実な男に見えたから、というわけではなく、世の中の病気の妻を持つ夫全員ができることではないのだろう。

「自分の規範なのか、母親の規範なのか、何もしないでいるってことに猛烈な罪悪感を感じます」
「ああ、それはね、僕らの親の世代はみんな言うんですよ。『怠けるな』『勉強しろ』『時間を無駄にするな』ってね。ゆとりがない世代だったんでしょうね。世代の病です」
「そうですか。そう言えば、私も息子に『何してんの?』『なんにも。ゲーム』とか言われても特に気にしなかったですね」
「僕らの世代はそんなもんです。だから気にすることはない。思い切り何もしないでください」

「主人が私のこと、あんまり毎日毎日何度も大好きだ、って言うので、ちょっと戸惑うというかめんどくさいぐらいなんですよね。向こうは元気がないのを励ますつもりかもしれないんですが。廊下で行き合ったりすると『役得!』ってぎゅっと抱きしめてくれます」
(ドクター、大笑いして困り顔で)
「ぎゅっと、ねぇ。いや、そりゃご主人はあなたが大好きなんだろうしさ、きっと抱き心地がいいんだよ。うちの奥さんはねぇ、ちょっと骨ばってるんだよね。あんまりぎゅっとするイメージじゃないなぁ」
「でも、腕の中にすっぽり入りそうで、よくありません?今度、試してみてください。『役得!』って」
「はいはい、やってみましょう。『役得!』ね」

そんな話を他愛なくして、薬を2週間分もらって帰る。
人ごみに出ると疲れるなぁ。
でもこれで、GW中の薬は確保した。
安心して遊ぼう。

23年4月27日

息子が先日「マンガの編集」の仕事の面接を受けている、と言っていたのが気になってしょうがない。
だって月給50万だよ。
よっぽどブラックに働いたってそんなにもらえやしないよ。
これは何か、怪しい仕事だと思えてならない。

しばらくたったのでメッセージで聞いてみた。
「こないだのマンガの編集の仕事、どうなった?」
「選考の途中だったけど、降りた。なんか違うと感じたんで」とあっさりした答えが返ってきた。
死ぬほどほっとしたよ。
息子も今は本業に力を入れるべき時だし、生活費を稼ぐためにしろ拘束されすぎたり怪しい仕事に関わったりしてるヒマはないはず。
ゆっくりだけど成長してるなぁ、と嬉しくなった。
ADとして関わった演劇の公演が4月末で終わったと思ったら、5月には地下アイドルみたいな人たちのお手伝い、6月には大きめのライブをやるそうだ。
仕事がどんどん入るのはいいね。
人や運の流れが良くなっている感じがして、嬉しいよ。

残念なのは、GWの最初の方で遊びに来てもらいたいと申し入れていたのだが、
「2人でゆっくり過ごすことにしたから。お誘いありがとう。また今度ね」と断られたこと。
いや、いいんだよ。
新婚半年もたってないんだし、自分の家族が実家より大事になるべきだ。
我々もその考えでやってきている。
でもせいうちくんと2人、ベッドの上をごろごろ転がって、
「寂しいよ~、これでいいんだけど、寂しいよ~!」と叫びまくっている。
精神的なへその緒を切るのはなかなか大変。
一首詠む。

 「会いたいよ」
 「僕だっていつも会いたいさぁ」 
 息子よ安手のジゴロか 君は?

23年4月28日

GWの社交に向けて、2カ月ほっといた髪を何とかしようと美容院へ行く。
白髪染め、トリートメント、カットと全部やってもらった。
ひいきにしているおにーさんはわりと腕が良くて信頼できるんだ。

「GWはどこか行かれるんですか?息子さんの結婚式の話は進んでますか?そうですか、なにもかも順調な、いい1年ですねぇ」と世間話。
2時間ほどで終わり、図書館に予約しておいた本を引き取って、スーパーでアカギのチョコアイスバーを買い足して帰る。
今日は初夏そのものといったお天気で、長く日の下にいたら日焼けしそうだ。
日焼けなんて気にしたことなかったが、この歳になるとシミに直結するのでそうも言ってられない。
いつでもUVクリーム塗っておくほど周到ではないしね。

番組最後のアンケート結果、「この国においてパートナー以外とセックスする人の割合 20.5パーセント」の数字にも驚いたが、情報元が「相模ゴム調べ」だったのには笑った。

今日が終わったらGWに突入する。
最初の3日ばかりは息子に断られたので特に予定もなく、ひたすらだらだら過ごす予定。
先期録画しておいたテレ東の深夜ドラマ「わたしの夫は-あの娘の恋人-」が意外なほど面白い。
テレ東攻めてるなーと感心するほどエロいんだよ。
いくら深夜と言っても「これはこれは」ってぐらい毎回ベッドシーンの嵐。
キスシーンをしつこく撮るのは女性向けってことなのかな。
30分ものだけど全12話だからそれなりに楽しめる。まずはそれを終わらせよう。
明日は「犬神家の一族」の後編も放映される。楽しみ!

【車中泊5日目・3月18日】

栃木県に入った。
今日も1日雨の予報だったため、とりあえず真岡という土地で朝カラをする。
あいかわらずGくん節は聞き甲斐がある。
その後せいうちくんが「宇都宮に来た以上、餃子を食べないわけにはいかない!」と激しく主張し始めた。
Gくんとしては特に宇都宮で餃子を食べる予定はなくすでにずいぶん先に進んでいたところを、寄り道というほどではないが本来のコースを外れて地図上で適当にググった餃子屋に行く羽目になる。
「なんで片道20分もかけて餃子食いに行くんだ」としきりにぼやいていた。

しかし行った先の餃子屋が、山の中に突然ぽつんとあるというか、風情のある一戸建てを改装した店らしく、興味深かった。それと店の名から「さつき餃子」が売りで、それを含めて「オールスター定食」と名づけられた七色の餃子(シソの葉が入ったのとか辛いのとかお茶を練り込んだのとかいろいろあった)がなかなか美味しかったうえ、申し訳ないと思ったせいうちくんが代金を持ったので、Gくんの機嫌もよくなった。
(さつき餃子をひと皿おかわりしていた)
これでしっかり「宇都宮で餃子を食べた」ということで。
(もっともGくんによれば「本場の宇都宮餃子はこんな様子ではない」そうだが)

「みちのえき・ふじみ」という場所にイメージとしては町営温泉みたいな施設がある。
実際、よその土地から来た入浴客と地元客では料金が違うようだ。
町単位だったか市単位だったか県単位だったかは忘れてしまったんだが。
Gくんが調べておいてくれて、今夜は道の駅泊まりついでにこの温泉にゆっくり寄っていくことになっていた。
車中泊中はお風呂やトイレに相当不便を感じるのを覚悟していたんだが、快活CLUBのシャワーも入れれば、全然身体を洗えない日というのは2日ぐらいのものだったろう。
意外と快適、日本の車中泊。
Gくんの思いやりある計画立案によるもので、たいへん感謝している。

広くてサウナもある温泉で、休憩所に座敷も使える。
露天風呂につかりながら夕焼けの山々を見ているうちに星空へと変わる。
あいにくの曇り空だが明るい星がいくつか見えた。

男女の露天風呂は隣り合っているようで、しきりとおじさんたちのおしゃべりが聞こえるので、男性軍も露天風呂に入っているだろうか、何か会話が聞こえないものか、とずいぶん長いこと耳をすましていたが、ひたすら大谷亮平の話をしている声のでかいおじさんがいたのがよくなかった。
結局、大谷の筋肉がどれほどすごいか、体脂肪がいくつか、「毎日3回プロテインを飲んでるけど、もうそれで筋肉が増えるわけじゃないんだって。筋肉にエサやってるんだ」などなどの大谷亮平豆知識で頭がいっぱいになって終わってしまった。

一応、入り口に「黙浴をお願いします」と書いてはあるが、特に露天とサウナではおしゃべりの花が咲き乱れていた。
ここでも、
「○○さんちはお花もやってるから。野菜の季節が終わったら花やるのよ。花は儲かるからねぇ」
「こないだブロッコリーゆでて、ネギとお醤油かけて食べたの。おいしいわよ~。いくらでも食べられる。庭からちょっとネギを切ってきて、刻んでのせるの」
「ブロッコリーによく似た見かけと味と触感の『アトリー』ってのがいいらしいわよ。栄養価が、ブロッコリーの何倍も高いんだって」
「あそこの売店はもうやめたいんだけどねー、やっぱり自分のお金があると違うから。孫にお小遣いやるのにもねー。内孫が3人と外孫が4人いるんだけど、やっぱり内孫にはよくしてやりたいじゃない?」
苦手なサウナの熱気も気にならないほど話が面白くて、気づいたら自分的最高記録の15分も入っていた。

サウナにつきものの冷水風呂がまたよかった。
きんと冷えていて、火照った身体の細胞がいっせいに「うわー、きゃー!」と歓声を上げる。
サウナと冷水を何度も往復してさらなる噂話を仕入れるのに励んだ。
それのどこに何かいいことがあるのか、と言われると困るのだが、地元の人たちの交流加減や距離感を知るのは楽しいものだ。
老人ホームの大浴場(あるとして)でこういうおしゃべりを楽しめたらいいなぁ、とちょっと夢がふくらむ。

約束の時間ギリギリまで入っていたもんだから、上がって座敷に行ってみたらGくんとせいうちくんがぐんにゃりしていた。
「ずいぶん長い風呂だな。そんなに楽しかったか?」とGくんに聞かれ、仕入れたばかりの「花卉は儲かる」「ブロッコリーとアトリーの栄養価の違い」「大谷の筋肉のエサ」などを披露したら、Gくんは心底驚いたようだ。
「風呂で周りの人間が何話してるかなんて、聞いてどうするんだ。わしはひたすらぼーっと入っていた」

だが、せいうちくんが思わぬ応援をしてくれる。
「いや、けっこう聞いちゃうよ。僕が露天風呂にいた時は、地域の顔役らしいおじいさんが、ゲートボールチームに興味を示していた。前からやりたかったんだけど、仲の悪い人がリーダーだったらしくて、『あいつが死んだから、入ろうかな。なに、××も死んだのか。それはなおさらいいな』と新たな活動の場を得ようとしていたよ。大谷の話をしてるおじさん?その人は僕が入ってる時にはいなかったなぁ。とにかくゲートボールがすごいことになりそうで、いろんな意味でハラハラして聞いてた」

「まったくせいうち夫婦は」と首を振り振り温泉施設を出るGくんのあとについて、駐車場で今夜の寝床の設営をする。
でかいキャンピングカーが2台も停まっていた。
そう言えば小さい子を連れた家族連れもいたなぁ。
彼らも、風呂だけは旅の途中のこういう温泉などに頼るんだろう。
「誰か、退職してキャンピングカー買わないかねぇ」
「Sくんあたり、金持ちだし買うかもよ」
「駐車場は、Gくんちの庭先に置かせてもらえばいいもんね」などとささやきあうのもまた、せいうち夫婦らしいのである。

2晩前から開発した「運転席を思いっきり平たくリクライニングして、Gくんはそこで寝る」方式で今夜も安眠できそうだ。
いちおう車中泊最後の夜だから、ちょっと飲み会をした。
Gくんは、初心者なんて連れてくるんじゃなかった、と後悔しきりだろうと申し訳なく思ってたんだが、
「日頃、1人で車中泊やってると、見たものや行ったところについて話す相手がおらんだろう。そこはやっぱり、連れがいた方が便利だな。あと、もうちょっとあそこへ行きたいここが見たいってのを提案してくれるものと思っていたが、『おさかな倶楽部』と『餃子』しかわがままを言われなくて、かえってつまらん。食い物にしか興味がないのか」という感想だったようだ。

確かにもっとプランに積極的に参加すべきだった。
Gくんがあまりに準備がいいのとベテラン経験者なのに頼り切って、あちこち連れ回してもらうだけになってしまったのは大いに反省した。

「ま、それでも車中泊なんて変な趣味にハマるのはわしだけかと思ったら、せいうち夫妻も意外と楽しんでいたようなので、そこはよかった」と寛大なGくんであった。
ただ、軽バンでの3人車中泊は不可能だとわかった、もう絶対しない、のだそうだ。
じゃあもうちょっと大きい車で、となってハイエースだのワゴン車だの男性2人が夢中で話し込み始め、まったく男の子はいくつになっても車が好きだね。
今日もすとんと就寝。
睡眠薬を飲んでるとは言え、自宅のベッドで寝るよりずっと快眠できるのはなぜだろう?

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