年中休業うつらうつら日記(2024年1月6日~1月12日)
24年1月6日
落語仲間のK子ちゃんとNさんを招いて「小さな新年会」。
我が家の正月メニュー(息子たちに出したのとほぼ同じ)を出そうと、おでんはずっと火を通して保存してあったのだが、前日にせいうちくんが陽の当たるベランダに出しっぱなしにしたのがよくなかったのか、夜、食べたら2人とも気持ち悪くなった。
あわててメニューから削除する。
おなかの弱いK子ちゃんが食べたりしたらどんな惨事になるか。
お母さんと同居を始めたNさんが驚くべき料理の達人に変貌したので、彼の得意料理「鶏手羽元と大根の煮物」を持ってきてくれるよう頼んだら、快くタッパーで供してくれた。
おかげでみんなおなか一杯になる宴会だった。
そもそも13時スタートなのにかつて遅刻魔の両雄だったK子ちゃんもNさんも定刻前に来た。
人間って変われば変わるもんだ。
K子ちゃんの持ってきてくれたシャンパンで乾杯し、ビールやワインや焼酎、各自好き好きにいろいろ呑んでいた。
Nさんはあいかわらず演説癖が抜けず、途中で挟まる「わかるっしょ?」は実はちっともわからない。
おっさん用語なのだろうか。
途中からリビング部分で呑み始めたNさんとせいうちくんはとても快調に酒を消費していた。
時々聞こえる内容からして、文学論を戦わせているらしい。
せいうちくんてば、ホントにNさんが好きなんだなぁ。
私も人のことは言えないK子ちゃん好きなので、食卓に残ったK子ちゃんと紅茶を飲みながらあれこれおしゃべりをしていてとても楽しかった。
最近こちらの精神状態が余りよろしくなく、彼女は彼女で仕事が常に修羅場なのでゆっくり話すのは大変久しぶりだったが、2人で話すととても通じる理屈があって、嬉しい。
「うさちゃんは白黒はっきりさせたがりすぎるとは思うよ。もっとグレーの部分ってのは多いもんだよ」と言われ、
「うん、年と共にそう思うようになった。だから、黒でも白でもないものをあいまいなグレーゾーンにしておかず、『白でも黒でもないもの』を入れる3つ目の箱を構築できないもんかと考えてる」
「断捨離における『とりあえずの箱』みたいな?」
「いや、それだと結局選り分けて捨てることになるものを入れるわけでしょう。白でも黒でもないけど、意味のあるグレーをちゃんと分けられないものかと。ただ、哺乳類がたいてい面対象になっている構造のせいか、目玉が2つあるせいなのか、どうしてもあっちかこっちかの二元論になってしまいがち。第三の視点を作るのは難しいかね」
「面白いところに目をつけたもんだね。外国人との会議で、『あなたはアングロサクソン的だ』と言われたことがあるよ」
「アングロサクソンって、主に何国人を指すの?」
「イギリス人かなぁ。融通が利かなくて、白黒はっきりさせたがる国民性だと思われてるみたいだ」
なるほど、英語圏で教育を受けた帰国子女のK子ちゃんは英語の影響を受けて考え方がアングロサクソン的なのかしらん。
「じゃあさ、ラテンの人たちはどう?イタリアとかフランスの人たちは、白と黒以外に『アムール(愛)』という第三概念を持ってるのかもよ」
「確かに愛を大事にする国民性だね」
というわけで、今は国民性における「第三の価値」について考えている。
日本だったら「正しい」「正しくない」とは別に存在する「ご近所の目」とか「人がどう思うか」という同調圧力。
お正月に息子たちと小津安二郎を2本観たのが役に立って、「まわりに合わせる」という価値観をひしひしと感じる。
これは一神教における単純な「善と悪」に対抗し得るものなのではないだろうか。
「うさちゃんと話してて、すこーんと理屈が通じる時は気持ちいい。私の考えない方向から考えてくるし。そういう時のうさちゃんとの話はとてもすかっとする」と言ってくれるK子ちゃんだが、一方、なぜ私が人のプライバシーに過剰に興味を示すのか、ゴシップが好き(彼女的にはそう見えるらしい)のかは理解できないと言う。
前者は相手の細かいことまで知って話を掘り下げたいからだし、後者は社会で起こっている知り得ないことがたまに漏れてくると、真偽のほどはともかく、出てきた経緯やまわりの反応まで含めて興味があるのだが。
さすがに教養ある一人のオトナの女性として、「人の噂が大好物で、言いふらしたくて仕方ない」とか思われたら困るので、一応言い訳はする。
20時ぐらいまで続いたところで、K子ちゃんが「そろそろ」と立ち上がる。
彼女のおみやげのイチゴも食べちゃったんだが、すっかり酔っ払ったNさんはさっきイチゴ食べたの完全に忘れてて、「おう、イチゴ食わなきゃ、イチゴ」とイチゴの皿を探す。
「もう食べちゃったってば」と皆で諭すと、
「そうか!オレ、ずいぶん酔っ払ってるな。今夜は気分よく呑めたよ」と帰り支度を始めるが、
「忘れ物はない?」と皆で心配していたら、あれこれ回収したあともスマホと小銭入れがないらしい。
スマホはせいうちくんが鳴らしてみて音でカウンターの端に置いてあるのを発見したが、小銭入れはそうはいかない。
GPSつけとくべきなのかもしれないなぁ。
家のカギも入ってると聞いてまわりは騒然とし、「お母さんに電話して、持って出るのを忘れてないか確認を」と勧めたが、
「さっき、上着と荷物をまとめた時、確かにそこにあって、どっかに入れたんだよなー」。
こうなったら仕方がないのでせいうちくんは半ば強引に上着を脱がせてポケットというポケットを探り、K子ちゃんはデイパックの中身をテーブル上にぶちまけさせて精査し、私は失礼してズボンの腿のとこについてる飾りポケットまでぱんぱん叩いて調べた。
これだけやっても見つからないなんて、という空気が流れてきた時、もう一度デイパックの中を調べていたNさん本人が「あった!」と叫んだ。
どうやら折り畳み側のひだの間に入っていて簡単には見つからなかったらしい。
この間約20分。
一緒に駅まで行くK子ちゃんは「大丈夫かなー」と不安そうだったが、なんとか無事に帰りついたようだ。
Nさんは最近、呑むと自分で自分の言ったことに嫌気が差して黙り込む暗黒面を発動し、「ダークNさん」になることが多いのだが、今日はそれが一切なく、ずっとおしゃべりで陽気なNさんでいた。珍しい。
せいうちくんとの会話の相性がよかったのだろうか。
まだ全員正気の時に、
「最近、私、老人ホームのことを考えてるんだけど、お2人は自分の老後をどう考えてる?」と聞いたところ、去年郷里のお父さんが亡くなり、2人いる妹さん(既婚)の近くに自分が引っ越してお母さんの面倒をみているNさんは、
「オレは自分のことより母親のために考えてるよ」と言う。
どこかで身内での介護は限界が来るだろうから、お母さん自身それなりにお金を持っているからそれで住まいの近くにホームを見つけたいそうだ。
「オレらの世代って、やっと両親を見送ったと思ったらもう自分が完全に老人になってて、自分のための時間が短すぎて愕然とするんじゃないだろうか」とも言っていた。
1人暮らしの好きなK子ちゃんも、まだお元気なお母さんがサ高住に住んでいるため、「何とかしなきゃ」と思うことは少ないらしい。
「逆に聞くんだけど、うさちゃんはどうなった時老人ホームに入ろうと思うわけ?」と聞かれ、
「家事とか何もかもがめんどくさくなりつつある。今はまだせいうちくんが元気だから何でもやってくれるけど、彼がくたびれたら他人のお世話になりたいな、と」と答えたら、
「住む場所があるんだから、ヘルパーさんを使うとか自宅で暮らす方策を考えた方が安いんじゃないの?」。
「うーん、うちには、最後、この家を息子たちにゆずってあげなきゃいけないかもしれない事情があるからなぁ。彼らは自分で家を買えないかもしれないから。マンションもう1軒ほいっとと買うほどの財力があるわけでなし」と言ったら「なるほど~」とうなずいていた。
しかしこれはなかなか新しい発想で、高い入居金を払って月々の利用料も払うぐらいなら、入居金分を息子たちに頭金として渡し、自分たちでローン組んで買ってもらった方がいいかもしれない。
せいうちくんがお義父さんのように激しい認知症になったらそれはその時考えることにして。(実際、お義母さんはそこを乗り越えて要介護4になるまで待ち、特養に入れることに成功した。港区という特殊な場所のおかげかもしれないが)
ためになる話を残して、せいうち家、お正月の宴会シリーズはこれで全部終わった。
お客さんにはあまり話題にできなかったが、2人とも胃腸が気持ち悪くて、どう考えてもおでんに当たっている。
「大根は当たらないと聞いていたが、他に卵とかおでん種とか入ってると当たるんだね」と2人して苦しい息の下から励まし合い、トイレに通い合って、私は今日の朝の時点で胃から腸まで来たものはだいたい出てしまった。
体質の特技として、毒物の新陳代謝が早くて、胃から入ったものならすぐ吐いちゃうし、腸まで行ったら猛スピードで排出にかかる。
今回は弱毒過ぎて、胃でのチェックに引っかからなかったのが敗因だ。
せいうちくんはいったん体内に取り込んだものの排出が遅いタイプなので、今日になってもまだ「なんか腸が気持ち悪い」状態らしい。
それであんだけ吞めれば大したものだ。
酒が麻酔がわりになって今日はとりあえず眠れたようなので、胃腸との戦いは明日以降に持ち越しだね。
私は毒物は出たものの、通り道が全体に荒れてしまい、なんとなく胃壁、腸壁が傷んでいる感じ。
おでんは日陰、寒い部屋、冷蔵庫などで保存すれば1週間以上もつが、日向に出しっぱなしは避けよう、ってのが今年最初の教訓かも。
24年1月7日
旧年からの人と会う予定が全部終わったので、2人でゆっくり「相棒 SEASON 11」を観る。
たまたま録った「相棒新春スペシャル」が地震・津波速報で最後が切れていたせいで一時的にTELASAに入会してみたら、成宮寛貴演じるカイトくんのシリーズに興味を持ってしまったのだ。
観ているうちにかつての右京さんの相棒、ミッチー演じる神戸尊が顔こそ出さないものの、別の部署から応援してくれる話があればそっちにも興味が出る、そもそも「特命係」がどうしてできたのかカイトくんに説明する(しかし視聴者には聞こえない)シーンがあればSEASON 1の薫ちゃんから観るべきか、と思ったりする。
この分では相棒をひととおり見てしまうのではないだろうか。
とっくの昔に「15日間無料視聴」のことは忘れかけているよ。
今でもSEASON 22が続いているバケモノ番組だというのに。
平日の昼間、「相棒」や「科捜研の女」の適当な回を毎日のように再放送してるのを順不同にずいぶん録画してHDDに移してしまったが、せいうちくんは「相棒」はサブスクで集中的に観て、HDDの分は消してしまえばその分他のドラマを入れておける、サブスクなら絶対「相棒」はどこかで観られるんだから、という意見。
一考の余地があるが、HDDから100話ぐらいの「相棒」を消すのは、それはそれでめんどくさい作業なのよ…
いろんな意味で物を溜めこみすぎているとは思う。
有体物はせいうちくんがどんどん捨ててくれるおかげで家はスッキリしているが、データ化した本やマンガ、録画してHDDに移した番組の管理などはなかなか大変であるうえに、クラウドサービスに上げてある本のデータはともかく、HDDは5年ぐらいでダメになるそうなので、番組はいつまでもそのままにしておくわけにはいかない。
「消えてなくなっちゃったらそれまでのことだよ」とせいうちくんは気軽に言うが、各テレビ局のサブスクに入ってもなかなか観られない「王様のレストラン」や「ランチの女王」などをもういっぺん観たいと思ったらどうするのだ!
よしながふみ原作の「アンティーク~西洋骨董洋菓子店」なんて、何万もするDVDを買うしか観る方法はないんだぞ。(昔、買って人にプレゼントしたので、観たくなったらその人から借りる予定)
こういう「溜め込んだもの」を「いつか観たくなるかもしれないから」とやたらに手元に置いてあるのがよくないんだろう。
きっと、その時にはその時の観たい番組がサブスクにあるだろうから、自分で持つことに執着しない方がいいのだ。
しかし、貧乏性(金銭的、というより観たい読みたいものに関して)の人間としてはできるだけ手元で管理したいもの。
こうして、10テラ以上あるHDDの山がそろそろ寿命を迎えそうな昨今、私は困り果てている。
せいうちくんの言うように「すべては何とかなる」と思い切るしかないのかもしれない。
24年1月8日
せいうちくんは休暇も明けぬうちから早朝会議。
終わってから買い物に行ってくれた。
あとはずっと家にこもって「相棒 SEASON 11」を観続ける。
やっと11が終わり、12に入るところ。
成宮寛貴のカイトくんが意外にいいのでびっくり。
特に11のラス前の話が号泣するほどよかった。
こんなにいい話を何百話もあるドラマの1本で終わらせるのはもったいない。
小説にしてくれた方がいいのではないだろうか。
続く2時間スペシャルは、うって変わって固い固い国際サスペンスもの。
「相棒」の世界では、問題のある隣国は常に「東国(とうこく)」として描かれているが、どう見ても北朝鮮。
頭が難しくなってしまったので、横山光輝の「三国志」でも読んで寝よう。
小川亮の「パリピ孔明」に触発されて読み返し始めたのに、まだ全然孔明が出てくるところまで行きつかない。
先は長そうだ。
私の悪い癖で、なにかで思い出すと関連したマンガ作品を読み返さずにはいられない。
北海道の話や隠し財宝の話を観れば「ゴールデンカムイ」が読みたくなり、隠し財宝のことを何とか忘れても「銀の匙」は依然として読みたい。
そう言えば、友人知人に「金カム」の誰を推しているかのアンケートをよく取ってしまう。
こないだ聞いた誰か(女性)の推しが思い出せない、と息子に話したら、
「どうせキロランケだろう」と切って捨てられたが、いや、そんな目立つキャラではなかった。
「じゃあ尾形?」
いや、それも違う。もっとコミカルな…と思い出せずにいたが、新年会でK子ちゃんと話してて思い出した。
顔の2つのホクロに棒人間の入れ墨をしてしまった宇佐美であった。
不思議な好みだ。
ちなみにK子ちゃんが好きなのは「アシリパちゃん」。
せいうちくんとおんなじだ。女性でアシリパ推しは珍しいなぁ。
私は断然マタギの谷垣なのであった。
その時Nさんと「トーキョーグール」の話をしてから読み返したくてたまらないし(もちろん「Re:」の方も)、ついでに同じ石田スイの「超人X」も読みたい。
こんなことしてるから新しいシリーズやオトナ買いした過去の山が手つかずで残っているのだ。
人生の、いつ読むつもりなんだろうか、自分は。
せいうちくん、君もだぞ。
24年1月9日
せいうちくん、正式に休みが明けて初出勤。
私はひたすら家でマンガ読んでた。
ドラマの「パリピ孔明」観て読み始めたはずの三国志はちっとも公明が出てこないのに業を煮やして、「呪術廻戦」に行ってしまった。
虎杖しか宿儺の器になれないとミスリードしておいてのこの展開。
ああびっくりした。
先が楽しみだ。
ジャンプマンガは展開が早く、新巻がどんどん出るので大変嬉しい。
真逆なのはハルタ掲載作で、1巻出るのに軽く1年かかる。
それとても、マンガ家としてはとても食えまいと思えるほど遅筆の岩明均の「ヒストリエ」を待っている気持ちが一番折れそうなんだが。
待っている新巻リストを作って、時々Amazonでチェックして発売予定が決まったら予約して届けてもらっているが、そんな「新巻待ち」リストが軽く120冊を超えているのには自分でもぞっとした。
半年に1巻出るとして、年に240冊、月にして20冊だから、毎日のようにAmazonの封筒が来るのも無理からぬ話だ。
おまけに時々頭に血が昇って、過去作をオトナ買いしてしまう。
最近はせいうちくんも負けじと買っているので、1日に3つぐらいずつ本やマンガを梱包したものが郵便や宅配で来る。
裁断済みの本以外で家に一番たまりがちなゴミは、梱包を解いたあとの袋やビニールである。
念願の中古キャラバンを我々と共同出資で買ったGくんは急に張り切り始め、保険のことなどで毎日せいうちくんと打ち合わせをしている。
納車になったらすぐ乗りたいので、保険は急ぐのだそうだ。
私には保険は難しすぎてわからないので、内装方面であれこれ考えている。
足のついたマット3枚ぐらいを荷台に横に並べ、下のスペースを荷物入れとして確保しつつ上で寝袋等で寝られるものが5万円ぐらいで手ごろだと思ったんだが、なぜかGくんは縦に置く棚に惹かれるらしい。
半分を跳ね上げてしまえば、そこの部分は天井と床の間が広くなり、頭がつかえる心配がないからだそうだ。
少々かがんで食事をしたり酒を飲んだりすることに当方は全く抵抗ないのだが、Gくんにはものすごく気になるポイントらしい。
ただ、このスタイルのマットはとても高い。20万ぐらいする。
「なんでだ~!」と叫びながら、Gくんは1人が寝られる棚(要するに、荷台にベンチを置いたような恰好)を荷台の縦半分ほどのスペースで置き、残り半分は天井に頭がつっかえないタイプに移行したいみたい。
そんなに頭がつかえるのが気になるならハイルーフにしておけばよかったのに、と思うほどのこだわりだ。
いずれにせよ、納車されたら週末にこっちに来てもらい、安いコインパーキングに停めてあれこれ考えてみる予定。
もちろんその前にGくんが家でさんざんいろいろやってみるんだろうが。
24年1月10日
お正月休みをはさんで久々の心療内科通院日。
3週間の間に4週間分の薬をもらっていたが、ほぼのみきってしまった。
一応、2月を過ぎればせいうちくんがヒマになるという前提で、今を乗り切るためにやむを得ずここ半年ぐらいはかつての倍量の薬をもらって何とかしのいでいる精神状態だったところを、少し減薬して、2週間で3週間分とか3週間で4週間分とか、「やや多め」で生活してる。
減薬に非常に熱心なドクターなので、現在の状態は「致し方ないが、好ましくない」と思っているようだ。
そもそも順調に減薬していたのがコロナ時代に「誰でも落ち込む」といったん減薬は棚上げになってるからなぁ。
「お正月はどうでした?」と聞かれて、
「イベントが多くて疲れました。去年の11月末の息子の結婚式ぐらいから入れるともうかなり長いこと緊張状態が続きました。お正月には息子たちが2日間泊まっていってくれて、一緒に映画を観たりごはん食べたり、楽しかったけどお正月の準備はどうしても大げさになるし買い物も大変なので、準備で疲れちゃった気がします」と話す。
「ふーん、でも、いいねぇ。息子さん夫婦と仲がいいんだ。いいことだよね」と喜んでくれた。
皆で観た小津安二郎の映画「お早よう」で、私だけがトラウマに触れたか他人のウソや悪意で気分が悪くなるほど「怖い」と思い、他の3人に聞いたら「全然怖くはない」「面白いだけだった」と言っていた話をしたら、
「怖かったのはあなただけなんだよね。ってことは、ご主人や息子さんたちはその辺の感性が健全なんじゃないかな。息子さんに関しては、あなたたちが不当な扱いをせずにまっすぐ育てたってことだよ。よかったじゃないの」と言ってくれて、なるほど、自分の気持ちにかまけていてそこまでは考えてなかった。
確かにいいことだ。
「今年は変化の年だけど、いい年になると思うよ」と言われ、思わず、
「日本全体ではとんでもない年明けでしたけどね。こういう時、天皇は何か励ましの映像などを流してくれませんかね。いくら御所の中で日頃の10倍祈ったり儀式をしててもこっちにはわかりませんから」とつぶやくと、先生の「左翼的精神(?)」に火がついた。
「そうだよ。あの人たちそういうときのためにいるんだから。疫病が流行ったり天災が起こった時に民草を安心させるのが仕事。年号変えてもいいぐらいの大災害のさなか、新春慶賀の挨拶でも何もなかったってのは納得できない!」と私より怒り始めたので、退散した。
春にはまず薬の量を数年続いてた元の量に減らし、可能ならそこからもっと削って行って最後には薬ゼロでいきたい、というのがドクターのビジョンだ。
私自身も、もしせいうちくんが毎日会社に行く(ないしはテレワークで働く)生活が変われば、無理に夜寝る必要がなく、いつでもせいうちくんと遊び疲れて眠るまで起きてていいなら、事実上睡眠薬はいらないのだ。
「眠れないのが苦痛」なのではなく、「眠くないのにせいうちくんに生活ペースを合わせないといけない」のがストレスになってるんだから。
もっともそうなったらなったでせいうちくんは毎日毎日寝てばかりいて、一向に遊んでくれないかもしれない。
彼は、眠りの世界の住人だからなぁ。
そんな「眠りにくい」私にもたったひとつ裏技があって、「テレビで映画やドラマを観ている」とかなりの確率で寝落ちするんだ。
おかげでNHK大河ドラマ「光る君へ」第1回も、「相棒 SEASON 12」の第3話も一緒に観たはずなのに全然覚えていない。
よく、夜中に眠れずにいる私に、せいうちくんは最後の手段として「テレビ観る?」と聞いてくるのだった。
あれは本当に良く眠れる。
そのあとベッドに戻ってこられない場合が多いので、あまり使いたくはない技だ。
ベッドに戻ったら、多分せいうちくんはすぐに寝直してしまい、また最初の場面に戻って眠れない私が悶々としているだけで、どうしようもないからだ。
ソファで寝る覚悟で臨まないと使えない、特別の裏技。
24年1月11日
お正月休みで2、3週間丸々空いていた病院通いが、また始まった。
2週に1回行く病院が2つ、1カ月に1回行くのがひとつ、3カ月に1回がひとつ。
これが組み合わさると、とても面倒なカレンダーが出来上がるんだ。
時々ワクチン接種とか歯が痛いとかが入るともっと増える。
整形外科は、何をしてくれるわけでもないがシップと鎮痛ジェルの大事な供給源だから月2回が上限、という決まりに則って2週間に1度行く。
レントゲン的には膝の軟骨はすり減り切ってるし、手の腱鞘炎も鎮痛ジェルを塗るしか治療法がない。
時々、歩きすぎて膝に水が溜まると、器用に触って「2、3ccってとこだね。抜くほどでもないから、薬のんでおこうか」と炎症止めと痛み止めの効果を持つ薬を1週間分くれる。
今回はそれに当たった。
明日は心臓の定期検診に行っとかないと、来週は眼科で緑内障の定期検診があるからなー。
そう言えば、瞳孔の端がチカっと光る(まるで太陽のフレアみたい)ことがよく起きるので、網膜剥離と硝子体剥離を懸念して数年前に眼科にかかった権威、せいうちくんに聞いてみた。
「ああ、それは網膜剥離じゃない。硝子体剥離の方。加齢で自然に起こるらしいよ。でも、硝子体が収縮して眼底から剥がれる時に網膜の端を持って行ってしまうことがあるから、網膜剥離とも無縁じゃない。どっちにしろ、眼科に行って」と心配された。
うん、どっちみち来週行くから、診てもらうよ。
せいうちくんは、飛蚊があまりにたくさん出たので眼科に行き、硝子体剥離を告げられたんだよね。
私も飛蚊は時々出るが、せいうちくんのそれは半透明のところてんがうにゃうにゃしているみたいなのに対し、私のはたいてい眼底出血が原因で黒い点や墨を流したようなものが見える。
心臓関係の薬のせいで出血しやすくなっているからだろう。
もう8年も経っているので、日常茶飯事、よほど長いこと消えない場合以外は気にしない。
いやー、年寄りの病気自慢は尽きないね。
24年1月12日
今日は心臓の定期検診。
江口のりこ似のつっけんどんだが時々デレるツンデレ女医さんの大ファンなので、嬉しい。
2カ月前に行った時は、
「息子の結婚式が終わったらコロナワクチン打ちます」
「そうね、せっかく8月に罹ったんだったら、まだ免疫効いてるかもね」と話したもんだから、年末に打ちに行った時には、
「で、結婚式はどうだった?無事に終わったの。それはよかった」と覚えててくれて、親切だった。
今回も、
「お正月に息子夫婦が2泊も泊まりに来てくれました。今どき、そんなにダンナの親に気を遣ってくれる人は珍しいですよ」とつい自慢したら、
「そういうもんなの?」ととても不思議そうに聞き返されたので、
「正月明けとかGW明けは、Twitterで『#義母アレルギー』がトレンドになるぐらいですからね」と答えた。
「ふーん、でも、新婚なんでしょう?」
「入籍して1年、結婚式やって数カ月ですね。入籍前に4、5年同棲してますけど」と言うと、何となく「なるほど」という顔でうなずいていた。
新婚なら、挨拶に来るだろうなー、しかし入籍が1年前でしかもその前も長いとなると、いちいち訪ねてくるのは律義なんだろうなー、と思っていると極めて勝手に推察する。
それより大変なのはワーファリン値だ。
前回、「1.5」と安全域を踏み抜いて低かったが、「もう1カ月様子をみましょう。これまで順調だったから」と薬量を変えずに今回測ったら「1.3」。また下がっている。
「これはちょっとまずいわね。増やしましょう。で、今が低すぎるから思い切って上げて…」と1.25mgを1.75mgに上げた。
1. 5mgで行くかと思ったんだが。
「これで2週間様子をみましょう。いつもの診察より間隔短いけど、来られる?」
「はい、来ます」で、あとは前回の血液検査の結果から、腎臓肝臓の数値は悪くない、しかし心不全を起こす可能性はあまり落ちていない、と言われた。
あんまりびっくりとかしないで過ごすようにしよう。
あー、また通院日が増えちゃったよ。
同じような生活で、食べるものや飲むものもさほど変化はないのに、なぜ変わってしまうのか、ワーファリンの効き目。
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