日本と米国の30年比較(経済・景気・企業)

今回は日米の経済・景気・企業について、直近30年の比較をしていきたいと思います。

■日経平均株価30年ぶり高値

日経平均株価は1990年8月以来、30年半ぶりに3万円台に乗っています。下記の図1のように、2012年のアベノミクス以降、日本の株式市場は急速に上昇しています。ただ、図2の1970年以降のチャートでみると、1989年のバブルをピークにその株価を回復していません。バブル後の日本経済は失われた30年と言われていますが、その間米国と比較して日本の動きはどうなのか検証していきたいと思います。

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日米30年比較(GDP・時価総額・1株利益)

それぞれ簡単に説明します。
GDP・・・一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値のこと。国の経済力の目安として用いられています。
時価総額・・・株価×発行済株式総数。企業の規模や価値を示しています。
1株利益・・・当期利益÷発行済株式総数。会社の収益性を分析できる指標とされています。

では、日米の比較をみていきます。

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全ての指標において、日本も伸びていますが、米国の伸びと比較すると、雲泥の差となっています。株価に関しても、日経平均が30年ぶりに3万円台に回復した一方で、米国の代表的指数であるNYダウはその間10倍になっています。

米国においては、GAFAを中心にハイテク企業の成長が著しく、マイクロソフトを含めたGAFAMの時間総額は東証1部の時間総額を上回っています。

■30年前と比較した時価総額ランキング

GAFAMの時価総額
アップル(Apple)2兆1861億ドル(229兆円・1ドル105円換算)
マイクロソフト(Microsoft)1兆8387億ドル(192兆円)
アマゾン(Amazon)1兆6644億ドル(174兆円)
グーグル(Google)1兆4308億ドル(150兆円)
フェイスブック(Facebook)7790億ドル(81兆円)

1ドル105円換算で5社の合計の時価総額は826兆円。東証1部の時間総額とは100兆円ほどの開きがあります。東証1部にはおよそ2200社が上場していますので、その2200社の時価総額をわずか5社で上回っているということ。驚異的です。下記は平成元年(1989年)と令和3年(2021年)の時間総額ランキング上位20位の比較です。

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1989年は上位20社中14社が日本です。ついで米国5社、英国1社。一方で、今年のランキングでは日本企業は上位20社には1社も入っておらず、最高位はトヨタ自動車の35位となっています。最も多い国は米国で13社、中国3社、サウジアラビア1社、台湾1社、韓国1社、スイス1社となっています。日本がバブル崩壊以降、落ち込んだということもありますが、それ以上に他国の伸び、特に米国におけるハイテク企業を中心とした成長が著しいのがみて取れます。

■企業の新陳代謝

米国企業の新陳代謝は日本企業に比べて早く、米国の時価総額上位30社の創業からの年数は90年の「88年」から「44年」と半分になっている一方、日本においては「56年」から「66年」と10年延びています。

マイクロソフト1975年創業(創業45年)
アップル1976年創業(創業44年)
アマゾン1998年創業(創業22年)
グーグル1998年創業(創業22年)
フェイスブック2004年創業(創業16年)
フェイスブックに至っては、まだ創業してから20年以内と驚異的なスピードで拡大しています。ちなみに、現在躍進著しいテスラは2003年創業。

日本において、時価総額10兆円を超える企業6社を検証してみます。
1位 トヨタ自動車 時価総額26兆円 1937年創業(創業83年)
2位 ソフトバンク 時価総額21兆円 1981年創業(創業39年)
3位 ソニー 時価総額15兆円 1946年創業(創業74年)
4位 キーエンス 時価総額14兆円 1974年創業(創業46年)
5位 日本電信電話 時価総額11兆円 1952年創業(創業68年)
6位 ファーストリテイリング 時価総額11兆円 1963年創業(創業57年)

平均すると61年、GAFAMは平均30年ですので、代表的企業で比較しても日本企業の方が圧倒的に創業からの年数は長いことが分かります。これは一概に悪い話ではなく、それだけ息の長い企業が多いことの裏返しであるため、それはそれで素晴らしいことだと考えます。一方で、日本の終身雇用・年功序列・時間給といった従来からの働き方や企業風土を含めて考えると、米国と比較して、イノベーションが起きづらい環境になっていることは間違いありません。

■中国の台頭

米国が成長著しいのはもちろんですが、さらに急速に伸びているのが中国です。中国ではGAFAと比較する形で、BATHと言われている企業があります。

B→バイドゥ 2000年創業(創業20年)
A→アリババ  1999年創業(創業21年)
T→テンセント 1998年創業(創業22年)
H→ファーウェイ 1987年創業(創業33年) 

事業内容はバイドゥはグーグル、アリババはアマゾン、テンセントはフェイスブック、ファーウェイはアップルと覚えておくと、分かりやすいかと思います。テンセント、アリババは世界時価総額でも上位20位に入っています。

最近の中国の躍進は著しく、ユニコーン企業数では米国と並ぶ勢いとなっています。人口14億人という巨大マーケットの中、技術力の向上と国策による企業保護により、独自の進化を遂げていっています。

米中を中心としたイノベーション革命下、日本企業の躍進にも期待したいところです。

■最後に

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まだまだ未熟者ですが、お付き合いいただけましたら、嬉しく思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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