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なぜ今、組織開発のプロがキャリアデザインに向き合うのか #3 目の前の仕事が生きる意味の探究に変わる瞬間
僕が開発したキャリアデザインプログラムの一番の特徴は、「シゴトの三段活用」にあります。これは単なるフレームワークではなく、仕事に対するものの見方の変容を促すものです。
シゴトの三段活用は、以下のように段階的に深化していきます。
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まず、一般的な意味での「仕事」は、タスクの遂行や機能的な利益を主眼としています。
次の段階「為事」(ナスコト)では、視点が広がり、自分の仕事が周囲の人々にもたらす満足感や情緒的価値に焦点が移ります。
そして最終段階「志事」(シスコト)では、個人の使命感と社会的意義が融合し、自分の内面から湧き出る志と、外部世界への貢献が一体となります。
この深化のプロセスは、単なる業務執行から、自己の本質と深く結びついた活動へと昇華していく道筋を示しています。「志事」の段階では、個人の使命や生きる目的が仕事と不可分となり、自己実現と社会貢献が調和した深い充足感を生み出します。
ここで重要なのは、「使命」を過度に重々しく捉えないことです。それは肩に担う重荷ではなく、自分が自然体で果たせる「役割」として理解すべきものです。
多くの人が「自分らしさと目の前の仕事の調和」を難題と考えていますが、この見かけ上の“制約”を乗り越えた先に、新たな可能性の地平が広がっています。このブレイクスルーへの第一歩を支援することが、本プログラムの核心的価値です。
若い世代の中には「自分らしさを表現できる仕事」を熱心に探求している人が多いようです。
この姿勢は尊重すべきですが、『ユダヤ人大富豪の教え』(本田健 著)が示唆するように、「好きなことを仕事にする」という理念には、本質的な補足があるのです。「最愛の仕事に出会う最良の方法は、今取り組んでいることを、どんなものであれ、心から愛することだ」。
『自分経営入門』の友成真一氏は上記を引用しつつ、こんな洞察を示しています。目の前の現実と真摯に向き合い、そこに潜在する魅力を引き出す過程こそが、真の幸福への道筋となるのです。
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私らしさを込められる魅力的な仕事は、突如として天啓のように現れるものではありません。むしろ、現在の仕事の中に興味深さを発見し、それを育んでいく日々の積み重ねから生まれます。
とてもつながることはないと思い込んでいた「私らしさ」の岸と「目の前の仕事」の岸に、たとえ小さく細くとも、揺るぎない橋を架けられるのは、あなた自身しかいないのです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!
(連載おわり)
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