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私が愛したボドゲたち ~宇宙の彼方編~
自分はボードゲームが好きである。
今まで割と色々なボドゲをやってきたと思う。
しかし娯楽コンテンツというものは消費すれば消費するほど色褪せる。
ボドゲもご多分に漏れない。
今はボドゲをやっても昔ほどの興奮を感じなくなってきている。
説明を聞いている時妙な高揚感に包まれる、そんなボドゲはないものか。
遊んでいる時時間が弾けて溶ける、そんなボドゲはないものか。
やったあと脳にこびりついて離れない、そんなボドゲはないものか。
今では地縛霊の如く、そんなボドゲを求めて彷徨うだけである。
しかしそんな自分にも色褪せず記憶に残るボドゲがいくつかある。
今日はそのうちの一つ、「High Frontier 4 All」というボードゲームを紹介したい。
ゲーム概要
「High Frontier 4 All」を初めてやった時、遊んだ事のある親友がインストをしてくれたのだが彼の第一声は今でもよく覚えている。
「ロケット科学を知ってたら楽勝だよ」
その時はふざけてるのかと思ったが、今考えると彼の言ったことは実に的を得ていた。
上の画像を見たら分かると思うが、このゲームは難解である。
しかし根幹的な部分は実はそこまで難しくない。
ざっくりとゲームの流れを要約すると
- 特許カードを買って、
- それらを組み合わせてロケットを作って、
- 燃料とともに作ったロケットを宇宙に打ち上げて、
- 色々な惑星を探査して、
- 探査した惑星を工業化するなりなんなりして勝利点を得る
という感じになる。
これだけ聞くと中量級ぐらいに聞こえるかもしれないが、BGGの重さスコア4.82は伊達じゃない。
それにはいくつか理由がある。
ルールの多さ
説明するより例を書いた方が分かりやすいだろう。
例えば惑星からロケットを離陸させるにはそのロケットの推力が惑星の大きさより高くなければいけないというルールがある。
これはまあ分かる。つまり惑星の大きさが重力に関係してるという設定だろう。
しかし実はこれに加えて特例ルールがある。工場アシスト離着陸である。
- 離陸しようとしてる惑星に工場があるならその工場が離陸を手伝ってくれるので推力が惑星の大きさより低くても離陸出来る
- しかし惑星に入るマスがランダーバーンマス(高重力の惑星にしかない)なら高重力制限により工場アシスト離着陸は出来ない
- しかし高重力の惑星でも大気圏がある惑星なら、アセチレン・ロケットプレーン離陸という違う離陸方法が使えるためコストを支払って離陸できる
このようなルールがところかしこにある。
シミュレーションよりのボドゲの性ではあるが、英語で56ページもあるルールはさすがにやりすぎではないだろうか。まあそのかわり、調べやすい作りになってるのはとてもありがたい。
容赦がない
前述した通りロケットを作って惑星に向かって飛ばすのが主な目的のゲームだが、ロケットを作って宇宙に打ち上げるには莫大なコストがかかる。
しかもそれに加えて目的地までの道のりに必要な燃料を計算してロケットにちゃんと積まないといけない。しかし余分に積むとロケットが重くなって燃費が悪くなるため、出来れば必要最低限の燃料だけ積みたい。もしも計算間違えなどしようものならロケットは宇宙でただただ漂うことになる。
それでいざきちんと燃料を積んで宇宙に飛び立ったとしてもまだ安心できない。ロケット内部のグリッチやパーツを破壊する放射線、はたまたソーラーフレアなどが無慈悲に襲い掛かってくるからだ。
運が良ければ挽回も可能だが、運が悪ければ特許は残るもののほとんど最初からやり直し。
宇宙飛行は人類にとってあまりにも難しい。
プレイ時間
上の二つの要因によって、プレイ時間がおのずと長くなる。
初めてやる際は普通に4~5時間かかる。
初めてじゃなくても4~5時間かかる。
ソロプレイならまだしも他の人とやる際は本腰をいれなければいけない。
プレイ体験
正直一回目でまともに遊べるゲームじゃない。案の定初めてプレイした時はほとんどのターンで何をすればいいのか分からず、親友におんぶにだっこ状態だった。
しかし遊び終えても何一つ記憶に残ってない。次やる際の戦略や戦術というものも一切見えてこない。今まで遊んでいたのが噓かのように手応えがなかった。
私はそのあと親友に頼みこんでそのボドゲを借り、すぐに家に帰ってソロモードで遊んだ。
それから自分は何回も何回も遊んだ。
一日で終わらない時はテーブルに置いたまま寝た。
違う事をしている時も、いつのまにかテーブルに吸い寄せられ次の一手を考える日々が続いた。
何回も遊んでいれば勝てるようになると思うかもしれないが、そんな事もなかった。
やっとぎりぎり勝てたのは14回目ぐらいの時だったろうか。
しかし本当に楽しかった。久しぶりの感覚であった。
引き込まれる面白さ
このゲームの箱には魔法が詰められている。それにはいくつかの理由があると思う。
ロケットを作る楽しさ
基本的にこのゲームでは作りたいロケットが作れない。
同時に公開されてる特許カードがそもそも少なく、回転率も遅い。
しかも特許カードが全部組み合わせられるわけでもない。
それ故にかなりの適応力が必要になる。
新しい特許カードが公開される度に今までの計画が崩れ落ち、広大すぎる宇宙の盤と持ってる特許カードとにらめっこしながら計画を修正しなければいけない。
それで何回も何回も修正するのだがほとんどの場合それでも上手くいかず、妥協に妥協を重ねたロケットが、妥協に妥協を重ねた目的地に飛んでいく。
しかしたまに思った通りか、それ以上に良いロケットが出来る時もある。
それか今まで思いつかなかった、今あるロケットにピッタリ合う計画が思い浮かぶ時もある。
その時の興奮たるや!
自由度
上で少し触れたが、ゲーム毎に使える特許カードは少し窮屈だが、その使い方は千差万別である。
ただただバカでかいロケットを作ってそれ一つで惑星の工業化を目指してもよし。
はたまた探査のためだけに必要最低限のロケットを作って、そのあと工業化に必要な特許だけを載せたロケットを送ってもよし。
あとは工業化した惑星で地球外特許カードを開発して、そこからまた新天地に飛んでもよし。
このゲームにはおもちゃ箱のような無限の可能性がある。
特許カードのフレーバー
あとは特許カード自体面白い。
特許カードに描かれてる技術は実際あるものらしく、どういうものかの説明がフレーバーとして書いてある。
自分だけかもしれないが見てるだけで楽しい。
ちなみに横に写ってる宇宙飛行士は部品のサイズ感を見せるためだとか。
ついでにこのゲーム唯一の萌えキャラでもある。
最後に
正直に言うと万人受けするゲームでは決してない。千人受けするゲームかも怪しい。
しかしこういう出会いがあるからこそ自分はいまだに成仏せずボドゲ界を徘徊しているのだろう。
かなりプレイするハードルは高いが、チャンスがあったら試してみてはいかがだろうか?
もしかしたらあなたにとって一生忘れられないゲームになるかもしれない。
補足
Unityゲーム開発者ギルド Advent Calender 2021 2用に書いた記事です。
一切ゲーム開発の話をしていないのはご愛嬌。