ガガーリンのかかりつけ医の苦悩
医「ガガーリン?これは何色だ?」
ガ「これは青です。」
医「不正解。これは赤だ。じゃあこれは?」
ガ「青です。」
医「じゃあこれは?」
ガ「青です。」
医「じゃあこれは?」
ガ「青です。」
医「これとこれとこれは?」
「青と青と青です。」
医「どれも不正解…どうしてどれもこれも青に見える?」
ガ「私にもわかりません。宇宙の奇病かと。」
医「いいや違うなガガーリン。いいか今回こそははっきり言うぞ。君は宇宙の奇病ではない。」
ガ「じゃあ何だと言うんですか?」
医「君の過去のプライドだ。プライドだろ?いいか素直になれガガーリン。」
ガ「はい?言ってる意味が一つもわかりませんね。」
医「ガガーリン。じゃあこれは何色だ?」
ガ「…。」
医「ほらどうした君が愛して愛してやまないあの色だよ。」
ガ「これは認めない。」
医「認めない?認めないとはなんだ?認めないということはこの色を認識できていると言う裏付けになるぞ。」
ガ「そんな色は青じゃない。」
医「とうとう青と言ったな。じゃあ色盲ということではないらしいな。」
ガ「先生は地球の本当の青さを知らない。」
医「あーそうかもしれない。でもここでは一般的な話をしている。」
ガ「もう黙ってはおけない。宇宙に行ったこともない人間がさっきから偉そうに。あんたは宇宙に行ったことは?」
医「私は行ったことはないしこれからも行くことはない。」
ガ「行くではなく行けなの間違いでは?w」
医「あーそうだよ。私は宇宙には行けないし行く能力もない。ただのしがない町医者だよ。これで満足か?」
ガ「さっきから君は何様だ?私はユーリイガガーリンだぞ。」
医「あー知ってるよ。世界初の有人宇宙飛行を成し遂げた男。教科書に載る男だ。君は常人じゃない偉人だ。でも世界に誇る偉大な男から今はだだの色頑固オヤジだ。」
ガ「何度も言わせるな。宇宙の奇病だよ。」
医「いいか目を覚ませガガーリン。私も好きでこんなことをやってるわけじゃないぞ。君のご家族に多額の金を積まれて君の奇病を治してほしいと念を押されてる。」
ガ「じゃあなんで精神科医に頼んだ?家族も私を信頼していない。宇宙の奇病を精神科医に治せるとでも?」
医「確かに宇宙の奇病であれば私には治せない。でも君が宇宙の奇病ではないことを裏付ける矛盾点ある。前任者からの報告書には君の1961年から現在までの奇行をリストアップした資料がある。これに目を通してみろ…」
※報告書※
1:裸で青色の蛍光塗料を頭から被り全身青の裸体で「俺はユーリイガガーリンさ」と連呼しながら街を徘徊する。
2:目につく青色のものを指さして周囲の人に伝え回り出す。
3:普段の日常会話でも奇行が目立ち、思い出す限りの青色の物を連呼するようになる。
※下記は実際にレストランにてガガーリンの大好物ボルシチの目の前にして珍しく一口も手をつけず述べた内容だ。
ロシア国旗の真ん中のラインは青かった。
ロシアソビエト連邦の国旗の左側は青かった。
NASAのロゴは青かった。
ニキータフルシチョフのネクタイはだいたい青かった。
マリリンモンローのラッキースケベパンティーは青の時もあった。
ビートルズABBEY ROADのジャケのリンゴスターの服は青だった。
東洋の魔女のブリーフは青かった。
そもそもまだ戦後復興真っ只中の1964年に東京オリンピックをする日本の考えがなによりも青かった。
それにアメリカのヒッピーの奴らの考えも青かった。
それらよりも地球は青かった。
そんなことより地球は青かった。
断然地球が青かった。
地球しか勝たん。
おい店員、このボルシチめちゃくちゃ冷めてるじゃないか青いな君は。これが君の仕事か?聞いて驚くな俺はユーリイガガーリンだぞ。地球史上初めて有人宇宙飛行を成功させた男だ。ソ連の誇りだ。君は俺の勇姿を見て仕事を見つめ直せ!
以下省略
4:特別な夜に必ず嫁にライトブルーのブラジャーとパンティーを履かせようになる。
5:青信号で発車しなようになる。
6:青い物を見つけ次第墨汁をかけるようになる。
7:色の判別ができなくなる。全ての色が青にみえるようになり青は認識できないようになる。
医「以上が前任者からの報告書の内容だ。7の項目が現在の症状だ。1から3は特に君のプライドの高さがより良く反映されてる。」
医「そして、私が先ほど述べた矛盾点を話そう、3の会話内容で君は青を認識できていることがもう裏付けられているんだ。君が言う宇宙の奇病ならこれをどう説明する?」
ガ「覚えてないね。そんなことは。」
医「覚えてない?じゃあ覚えておいた方が良い。」
医「この症状で君は何回警察にお世話になりソ連の人々の笑い物にされた?いいかこの報告文章は今となっては世界中に駆け回った。人類史上初の有人宇宙飛行を成功させた偉大な人物から今や世界の笑い物さ。君の偉大な功績は過去の栄光にしがみつけばつくほど希薄になり、今はもう君が宇宙に行った事など誰も覚えてやしない。コメディアンだと思ってる人も少なくない。君はもうその精神状態じゃあ宇宙にはいけない。宇宙飛行の食い扶持もなくなり家族は貧困の一途を辿ってる。そして今回の治療費でもうすっからかんだとよ。色の判別がつかなきゃろくな仕事にもつけない。運転すらできない。家族を遠くに連れてやることもできやしない。目を覚ませガガーリン。家族を養うんだろ?男ってもんは。いいか俺は今、精神科医としてではなく1人の男として話してる。ソ連の同胞としてな。」
医『地球に戻ってこいガガーリン!!!』
ガ「うるせぇうるせぇうるせぇぇぇぇ。うるせって言ってんだてめぇによ。」
「取り乱すのはよせガガーリン。私にも時間がない。次の患者が待ってる。最後の問題だ。」
ガ「問題?何回やったって一緒だ。」
医「この問題をしっかり正解して職に就く。それしか君に残された道はない。いくぞ。いいな?」
ガ「…」
医「これは何色だ?」
ガ「…」
医「じゃあこれは何色だ?」
ガ「…。」
医「おい耳が取れたか?ガガーリン。」
ガ「もう一度聞くぞこれはな・に・い・ろ・だ?」
ガ「うるせぇぇ!!!ちちちっち地球ぅは青がっだ!!!!!」
これらの一連の会話はガガーリンの後者の肩書きに傾倒した熱狂的信者ガガラーにより極秘に音声録音され世界に拡散。これもまた世界中の一笑に付す。これにより後世にまで語り継がれ。故にユーリイ・ガガーリン地球は青かった。あの名ゼリフは現在の教科書に後者の想念として名を残す結果に至る。
宇宙飛行士ではなくコメディアンガガとして。
「地球は青かった。」ではなく「これちちちっち地球ぅは青がっだ!!!!!」として
逆めでたし逆めでたし。