
Photo by
biwars1111
春の陽射しをまとう男
4月のよく晴れた日、スノーボードシーズンが終わるのを惜しむように私たちはゲレンデにいた。
暑い。たくさん雪があるのに、暑い。
麗らかな春の陽射しが、いまは憎い。
「すこし休みましょうか。」
社内でも屈指の大炎上プロジェクトに所属する彼とはスノーボード好きという共通点があり、私たちは冬の休日のほとんどを雪山で過ごした。
「ウェアの前を開けたらちょうどいいですよ。あー喉乾いた。うわ、ホットしかねぇ。」
ゴンドラ降り場の自動販売機にはHOTの文字が並んでいた。
彼は迷わずミルクティーのボタンを押し、転がり出た缶をコースの脇に挿した。そして私たちはその横に腰を降ろした。
「俺、青年海外協力隊に応募したんです。」
それはいい。
彼には陽の当たらないオフィスより、光の下がよく似合う。
ゲレンデが暖かくてよかった。さみしさも溶けるような陽気だ。
ミルクティー、そろそろ冷えたんじゃないかな。
飲んだら日が暮れるまで滑ろうよ。
いいなと思ったら応援しよう!
