異国のパトカーに護送されて
白をベースに黄と青が塗装されたイタリア車、その後部座席から私と友人は外に出た。目の前には田舎町の警察署。あはは、初めてパトカーで護送された。
この国に移住した友人を訪ねた旅の途中。友人がちょっとした失敗をして、うっかり警察のお世話になった。土地勘のない異国の田舎町でひとりぼっちになるわけにはいかないから、私も一緒にお世話になった。
筋骨隆々の警察官2人に連れられて、奥にある署長の部屋へと通される。
「ようこそ、可愛い東洋のお嬢さんがた。」
豊かな白髪に小洒落た口髭をたくわえた署長は、大喜びだった。
署長の背後には、たおやかな女性が描かれた竹を背景とした掛け軸、その上に提灯、デスクの上には獅子舞の置物。すべて真っ赤な中国のお土産品。
彼は東洋愛好家だった。
「東洋」というくくりで歓迎されちゃった。
欧州の田舎の警察署で、少し違うが、故郷を感じて気が抜けた。
その後の取り調べも和やかで、無罪放免と相成った。
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