鮭を彷彿とさせるタイプのオタク

 私は長いことオタクをやっています。自覚したのは高校のときだったんだけど、多分小2くらいのころにはすでにオタクだったんだと思う。今振り返るとずっとオタク。ということで、今回は私のオタク遍歴を振り返る思い出の散歩にお出かけしたいと思います。共感してくれる人がいたらなんだかちょっと嬉しい。一緒に散歩しましょう。
※作品名は隠さずに書きます。内容についての萌え語りやCP名などは一切書きません。ただただ、どのくらい好きかということを絞りカスのような語彙力で書き連ねるだけの思い出の散歩です。

【黎明期】
 記憶のある限り私のハマったものを辿っていくと、おそらく最初は『金色のガッシュ‼︎』だったと思う。今わかったことだけど、その当時から収集癖があった。ポケモンとガッシュのカード、集めてましたわ…。当時はお小遣いはもらえなかったので、漫画はほとんど持っていなかったけど、毎週アニメを見ていた。ピアノに通っていたのでことごとくリアルタイムの放送を逃していたけど、全部父に録画してもらっていた気がする。学校では同じくガッシュが好きだったR君とよく話をしていたし、絵がうまかった彼にいろいろ描いてもらっていた。そして自分でも描いてました、そういえば。まだ「推し」という概念がなかった頃だったけど、テッドとレイラが好きだった。かっこいいのが好きなんだよね。

 次にどハマりしたのがハリーポッターシリーズ。これは金ローで秘密の部屋をやってたんだけど、全然興味がなくスルーして翌週学校へ行ったらみんながハリポタごっこをやってて仲間に入れなかったのが悔しすぎてその週末叔母から原作を借りて読んだ。小学生当時は原作ファンだったけど、高校生になって再燃したときには映画ファンになっていた。この辺から鮭の気配がしてきた。

【覚醒期】 
 小学生のときはテレビっ子だったので、毎週楽しみにしてるドラマがたくさんあった。「鹿男あをによし」で近畿の地理を覚え、「TRICK」をみるために夜更かしもした。そして出会ってしまった、生涯のバイブル「のだめカンタービレ」と。

 もともとピアノを習っていたこともあって、音楽はとても好きだったし、クラシックにもまあまあ興味がないわけではなかったのだが、のだめに出会って世界が一変した。生活がクラシック一色になった。それまで週2、3回くらいしか練習していなかったピアノを、毎日練習するようになった。何より、千秋先輩が本当にかっこよかった。それはもう、絶対に千秋先輩と結婚するつもりだった。ガチ恋もガチ恋。ド田舎の街角に千秋先輩を探す日々。ピアニストになったら千秋先輩と出会えると思って、中学3年くらいまでは将来ピアニストになろうと思っていた。心配なほど単純。給食の時間には楽典を勉強していた。ハマったものに関してあらゆる知識を手に入れたいタイプのオタクなので、クラシックについても勉強した。全ては千秋先輩と結婚するため。そのための努力は惜しまないわ。

【転換期】
 さて、高校に上がったときにはのだめも最終楽章を迎え、一通り落ち着いた。落ち着いたと思ったら、息もつかないうちにまた運命的な出会いをした。「シェアハウスの恋人」の2話目を弟に誘われて一緒に見たとき、「むり、、、」と思った。あまりにも尊くて(当時まだ尊いという語彙を知らなかった)、持たせてもらったばっかりのスマホとiPodでシェア恋を検索した。そこにはpixivがあった。
「この素敵な絵は何?この尊い漫画は何?本当に何?」
そこからは早かった。pixivになら、なんでもあるのではないか。ハリポタを検索した。そこにも神がいた。たくさんいた。何柱も。小説も投稿されていることに気がついた。半年後には夢小説を読みあさっている女子高生がいた。私である。同じ頃にヘタリアとも出会った。ヘタリアの推しのおかげで留学までしてしまった。界隈あるあるである。この時期の私は腐女子と夢女子を同時期に自覚してしまったなんとも業の深い生き物であった。

【放牧期】
 受験生であっても夢小説を毎日欠かさず1時間以上読んでいたオタクこと私は、けれど必死に勉強した甲斐あって大学に入学できた。両親から離れ、一人暮らしの幕開けである。誰にも邪魔されず、オタクとしての生をまっとうすることができる。通販で同人誌だって買える。アニメイトもある!
 好き放題やっていた結果、いろんなジャンルのものにハマった。ディズニー、A3!、ヒプノシスマイク、物語シリーズ、TRICK再燃、フルハウスも再燃、ジャンプ作品への回帰、アラン・リックマン氏のDVD作品を買いあさった。バイトをするようになり、金を得たオタクは強かった。ガッシュも文庫版で揃えた。フルハウスのDVDボックスも買った。当時ほしくて手に入らなかったものへの執着。私のよくないところだ。集めて手元に置いておきたい気持ちが抑えられない。そして今また、集めようとしている。のだめカンタービレのDVDを、手に入れようとしている。

 こうしておおまかに振り返ってみると、私はずっと高熱と微熱を繰り返して生きている。高熱が出ているときは他のものは全然見えなくてそれだけの世界で生きているが、一度熱が引くと今度は微熱となって残り続ける。一つの沼にハマったあとは次の沼にハマるまでネットの海を彷徨い続ける。そして、ある程度の周期でまた故郷の沼に戻ってくるのだ。その姿は生まれ故郷に帰ってくる鮭か。そうか、私は鮭のように生きていたのか。おそらく、また新しい何かにハマっては数年後急に思い出して故郷に戻る。そして太平洋を泳いでいるあいだは、微熱のままずーっと全部をちょっとずつ好きでいるのだ。今はまたのだめのところに帰ってきた。次はどこへ行くのだろうか。

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