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個人目標設定における数値指標設定のムズさ

MBO等で要求される個人目標設定って難しいですよね。

これは単にムズいよねっていうだけの雑文です。特に学びはありません。

上記の記事で端的に示されている指針を、(所属組織が打ち出す方針との調整こそ必要ですが)目標設定の基本として念頭に置くべきだと思います。

まぁ、組織によっては評価上の理由から、個人目標のObjectiveを2つ以上被評価者に設定させ、(組織目標達成と併せて)重み付けさせることも多いですね。


KR(Key Result)考えるのがムズい

どうしたらObjectiveが達成できたといえるか」を示す具体的な達成基準となるKRを各自考えるわけですが、会社員時代はいつもこれに悩まされていました。

上掲の記事では、(『スラムダンク』の主人公)桜木花道が1週間で成長するため、「ミドルレンジからのジャンプシュート強化」のみをObjectiveとした事例が挙げられています。

このObjectiveのKRは「(1週間で)シュート2万本」であり、作中で安西先生が上意下達しています。
監督である安西先生お墨付き(承認済み)の合意ありきなKRなので、桜木自身がKRを考える必要はなく、(達成はともあれ)個人目標設定としてはEasyですね。

被評価者と評価者との間で、期待感をすり合わせていく焦点がKRなのかなと思います。

ObjectiveとKRの対応性が問われる

被評価者の目標設定を評価者がレビューする際、しばしばKRの妥当性が焦点になります。

「1週間でシュートを2万本打つ」というKRは計量可能で達成・未達がはっきりしています。
これなら良さそうなものですが、評価者はObjectiveとKRとの対応性にも注目するでしょう。

「シュート2万本打った」ことと「ミドルレンジからのジャンプシュート強化」が対応していると、果たして言えるか。
これは正直キメの問題で、評価者(『スラムダンク』でいえば安西先生)が「対応している」と考えていれば、それはOKだと思います。

ところで、定性目標である「シュート力を強化する」と一対一関係にあるような、客観的妥当性を擁した定量目標や定量KRの設定は本質的に困難です。

嫌らしい安西先生だったら、「2万本打ったからって本番のシュート成功率が向上したとは、ただちに言えませんよ?」と指摘した上で、以下のようにKRを増やし、目的達成確度を上げるかもしれません。

  • KR1:評価期間内にシュート2万本打つ

  • KR2:インハイの各試合で、ミドルレンジからのジャンプシュートを5本以上成功させる

Objectiveである「シュート強化」をより体現しているのはKR2ですし、KR1はあくまでKR2のための布石です。
つまり、「努力」と「成果」それぞれの指標を設定する。複数KRを設定することで、「AとBは達成できたがCは未達」とObjectiveの達成度にグラデーションを与えられますし。

個人目標とは、組織目標(「インハイで優勝する」)の達成確度を向上するために設定するものだと考えれば、組織目標達成により直結する指標はKR2です。
2万本シュート打っても、桜木がインハイで1本もシュートを決められなければ、インハイ後の客観的な評価は「練習で2万本打っただけの人」となってしまう。

(※もちろん、『スラムダンク』はインハイでの桜木花道のパフォーマンスを評価するスカウトマンの話ではないので、KR2の観点は作中存在しません。限られた時間内で可能性をいかに拡大するかというお話ですので)

KR数値目標の妥当性

KRは計量可能であることが重要です。
そうでなければ、被評価者による自己評価が反証不可能になり、「私は目標達成した!」「いやお前はできてない!」と評価期中に空中戦が生じます。

じゃあ数値指標を設定するべぇ……となるのですが、上記の桜木花道事例でいうと「なぜ1万本でも3万本でもなく2万本なのか」と嫌な安西先生なら指摘するかもしれません。

嫌な奴だな~。

漫画の作中では、そもそも安西先生が2万本提唱者なので、関係者全員無批判に2万本達成へ向けてコミットしています。

定性目標の達成要件に定量KRを置くという(不可避な)構造的捻じれがある以上、達成数値の妥当性問題はついて回ります。

HUNTER×HUNTERで言えば、天空闘技場の200階クラスで洗礼を受けずに戦えるようになるためには、どれだけ四大行すりゃいいのかみたいな話です。まあ念の成長は個人差が大きいみたいですけど(それにジャンプ漫画ではわりと師匠筋が「正解」を教えてくれますが……)。

それでもなんとか決めなければならない場合、過去事例を参照して数値を求める方法とかよくやります。
「30回営業架電すると1件アポ取れる」みたいな自社統計があるなら、「昨年の倍アポ取りたいから、つまり最低でもN回架電する」みたいな。

これはわかりやすい。単純努力と成果が結びついていることが統計的に見えているから
まぁ、ここまでクリアに結びつきが自明な仕事ばかりではないのですが。

あと、職位やグレードも参考になりそうです。
数値は結局相対性というか、自分の上位グレードの同僚が100やってるのであれば、100やれたことで上位グレード相応の成果を出している証左……とか。

正直ここらへんは初期『遊☆戯☆王』的にマジック&ウィザーズで言ったもんがちみたいなとこも有る気がします。
裏を返せば、評価に際してどれだけ情報を集め、理論武装できているかという。

数値指標のハック可能性

さんざ言われてますが、あらゆる数値指標はハック可能みたいです。

グッドハートの法則を経験的に追認している人も少なくないと思います。
とはいえ、評価が前提される以上、数値は不可避的に目的化されるため、グッドハートの法則を織り込んでKRを設定せざるを得ない。

ハックできることと、数値指標が存在する意義は独立だと思いますが、自分(やそれ以外)がKRをスポイルしてしまわないよう、数値指標がAntifragileになるようなガードレールは検討すべきかもしれません。
たとえば、1達成を10達成に細分化できてしまう指標の場合、1達成のおおよその粒度を評価者/被評価者間で事前定義・合意できているかが重要です。

ところで、期末に過剰ハックされたKRを目にすると、評価者としては「これはダメ」と言いたくなるかもしれません。
とはいえ、そのKRを承認したのは他ならぬ評価者であり、KRに対するレビュー不足を意味しているので、最低限当該期はその指標を受け入れるべきだと思います。
そうならないよう、定期的に評価者面談を実施して進捗共有しておくのは一手だと思ってます。

評価期間中に突然ゴールポストを動かすのは、評価者/被評価者ともに避けるべきです(根底が崩れるので)。

終わりに

目標設定、せっかくやるからには有意義にやりたいですね。
期中に立てて期末にワッと評価し、ちょっと評価者がフィードバックして終了……みたいなのはもったいない。



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