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多様性とは何か。想像の枠に捉えられていないか。「正欲」朝井リョウ
こんばんは、となカエです。
オトバンクで聴き終わりました。
話題作ですが、《聴き放題》の利用枠でよかった。
そしてこれ、映画化するんですね。
キャストもいい感じで楽しみです。
感想・表紙の意味は、★ネタバレあり★なのでご注意ください。
映画化決定!
2023年11月10日劇場公開予定
稲垣吾郎、新垣結衣
監督:岸善幸
第34回柴田錬三郎賞受賞!
2022年本屋大賞ノミネート!
「ダ・ヴィンチ」編集部が選ぶプラチナ本OF THE YEAR 2021選出!
作品紹介
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、
この世にいないということだ。
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、
ひどく不都合なものだった――。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、
秩序整えた気になって、
そりゃ気持ちいいよな」
これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?
作家生活10周年記念作品・黒版。
あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇
感想
読み終わってから「正欲」=正しい欲とは何か。と考えさせられました。
内容としては、「多様性」をキーワードにしてるから「LGBTQ」かなぁと安易に考えて読み始めた自分の浅はかさよ。
全然違った。
「水」に対して《性欲》を感じてしまう人たちがメインストーリー。
しかも、その「水」に対する《性欲》も、どのような状態の水によって性欲が湧くのかそれぞれ違ってて、設定が細かい。
その人たちが、社会に迷惑をかけずにどのように《欲》を満たせるのか。
ただ少数派に属しているだけなのに、法的には問題ない「水」に対する《欲》なのに、なぜ逮捕されたのか。
多数派が過ごしやすい世の中になっていくのは当たり前で、
社会の秩序や法律もそうなっていくことで守られているんだけど、
だからといって、社会からは理解されることのない《欲》を抱える辛さ。
解放できない《欲》。
その《欲》はどうしたらいいのか。
小説の前後に書かれている『一般的なニュースの報道』から、
「本当は違うのにっ」という歯がゆさがあります。
「多様性」「マイノリティ」「マジョリティ」「LGBTQ」など色々な言葉が昔に比べて豊富になりましたが、それらでは表現できない、想像できない、この小説のように想像を超える《欲》がまだあるんだろうなと、考えさせられる本でした。
表紙の意味(考察)
表紙が《鴨》なのはなんでだろう?
と思って、とりあえず「鴨」の意味を検索。
「鴨=カモ」
① カモ目カモ科の鳥のうち、体が小さく、首があまり長くなく、雌雄で色彩の異なるもの。《季 冬》
② 詐欺などで騙しやすい人や利用しやすい人。
獲物/餌食/生け贄/ターゲット/標的/狙い目
②の意味が表紙に集約されていると感じました。
獲物でもあるし、餌食でもある。
また、実は表紙のカモは足にワイヤーみたいなのがついてる。
つるされている。不自由さ。
獲物。餌食。水。
上手く言えませんが、読み終えた後に感じることができる表紙ってすごいと思いました(語彙力…)。
関連書籍
《多様性》で思い出したマンガ↓
代表作「ポーの一族」著者の萩尾望都先生の作品。
11人いる!
SFでめっちゃ面白いです。
1冊完結作品。
定期的に読み返したくなる。
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