「本心」(平野啓一郎 著)を読んで考える「未来社会の幸福」とは
「― 母を作ってほしいんです。」最愛の母を亡くした主人公、29歳の朔也(さくや)が、AIの母を注文する場面からストーリーは始まる。「自由死」が合法化されている2040年の日本で、生前「もう十分」と自由死を望んだ母の本心を探ろうと、朔也の心の旅ははじまる。そもそも我々は人の一面(分人[2])しか見ていないのでは、本心とは1つなのか、といった心のテーマと、経済格差が今以上に拡大し二極化した社会、AIやVR、デジタル技術が浸透した生活が生み出す課題と重なり、ざわつく気持ちが先を読ま