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5. 自分のキャリアは自分で切り開く

戻る→)0. スウェーデン人と働いて感じたこと

勤めていた会社が突然スウェーデン企業の傘下に。スウェーデン人やその他の国の人たちと一緒に働いて感じたことを記事にしています。

ジョブロール(ジョブ型雇用)

日本と違いスウェーデンの会社では従業員は管理職も含めて全員「ジョブロール」が定義されています(ジョブ型雇用です)。IT部門で言えばプロジェクトマネージャー(PM)とかビジネスアナリスト(BA)などですが、マネージャー(MG)もある意味1つのジョブロールです。更に各ジョブロールにはスキルをランク分けする「レベル」があり通常A~F(Fが高いレベル)が定義されます。例えばプログラマー(PG)はA~C、PMはC~F、マネージャー(MG)でもD~Fとなり(つまりD以上は管理職レベル)、時にレベルの高いPMはMGより給与体系が上だったりします。(メジャーリーガーの大谷さん(プレイヤー)は監督(マネージャー)より給与が上と言った感じ。)

それぞれのジョブロールの分野でプロフェッショナルになる

スウェーデン企業の傘下になったこともあり、それまで日本で使っていたコンピューターシステムをグローバル標準のものに置き換えるプロジェクトがいくつも立ち上がってきます。それに伴って外国からそれぞれの分野に精通したITエンジニアたちが多数日本にやってきます。勉強中の英語を使っての外国人との会話も増え日本は大忙しです。ある時、日本で実施される、ある大きなプロジェクトを率いるためスウェーデンからPM(女性)が赴任してきました。その方は自分より少しベテランで聞くとPMの最高ランク(Fレベル)とのこと。世界中(グループ内)でも数人しかいない最高レベルです。

自分もPMの経験はあったものの見ているとその方のやり方はちょっと違っていました。プロジェクトは国ごとに編成されたチームが複数参加する多国籍活動(スウェーデンチームやフランス、インド、中国などなど)になります。それぞれのチームでは仕事の進め方や文化、価値観などバックグラウンドが違います。そのPMは笑顔で各チームときちんとコミュニケーションを取り、利害を調整し、それぞれのチームのモチベーションを上げて、プロジェクトの成功のためにワンチームにできる、なんか良い雰囲気をうまく作ってくれます。その様子はまるで暗い難しい厳しいプロジェクトの中に吹く爽やかなそよ風のような感動です。さすがに最高ランクになるとその道のプロフェッショナルと言った感じ。

それぞれのジョブロールごとにレベルが上がると求められるスキルも変わってきます。それぞれ具体的な内容が明確に定義されているので自分のジョブロールが決まると自分自身の目標を設定しやすく自身でレベルを上げる努力もできるようになりますね。

いくらでもやり直しできる

それまでの日本の職場では、日々真面目に働いていれば良く分からないうちに少しずつ評価され、ある日上司が笑顔でやってきて「きみ、今度リーダーに昇格ね」とか、「こんど管理職の昇進試験に受験できることになったよ、頑張ってね。」などとささやいてくれます。そしてそれを有難くお受けすることで自分のキャリアが上がってきますね。(管理職の昇進試験に落ちでもしたらもう大変、そこでキャリアはおしまいで昇給の道は絶たれます。)
一方で、スウェーデンの場合、もしも仮に自分のジョブロールに限界を感じたり、これ以上の昇進が難しくなったりしても、別のジョブロールで改めて頑張ってみるとか、とにかく活路が見出せます。ITで言えばプログラミングは苦手だったとしてもビジネス分析とか人とコミュニケーションを取ることが得意な人は多くいます。人の可能性は無限大で、いくらでもやり直しできます。

社内公募制度

キャリアの向上に良いもう一つの制度が社内公募制です。グループ内のイントラネットサイトに採用を募集するポジションが公開されています。そこでは管理職だけに限らず求めるITエンジニアのジョブロールやレベルなどが公募されているのです。
例えば、もし自分がジョブロールを変えたいとか、或いは同じロールでももっと高いレベルに挑戦したいとか、ついでに働く場所もニューヨークが良いななどと思ったら、イントラネット内を検索してニューヨークでの希望するポジションを見つけて直接応募できるのです。(もちろん直属の上司には応募したことは共有されません。内緒です。)面接などして、もし合格したら(ここで初めて上司に情報が公開されます)推奨される引継ぎ期間の後、いきなりニューヨークに赴任して新しいボスの下で働くなんてことができます。なんか自分の可能性は無限に広がってきますね。
でも一方、自分がどこにも応募しなければ(何もしなければ)、いつになっても「上司が笑顔でやってきて、ささやいてくれる」ことはありません。同じ仕事をやり続けるだけ。(たまに優しい上司が「きみ、あのポジションが公開されているから応募してみたら?」などとアドバイスしてくれることはありますが、でも実際の採用可否を判断するのはその上司ではなく、採用募集をしている方になるため、どうなるかはわかりません。)
チャンスと可能性がすごくありますが自分で切り開くしかありません。自分のキャリアは自分で考え自ら戦略や計画を作り実践することで道が開けます。自分のキャリアは自分で切り開くのです。

メンターシップ制度

でも一人だけで悩むのは大変です。そこで他者に相談に乗ってもらえるのが「メンターシップ制度」です。スウェーデンの会社ではこのメンターシップが強く推奨されていました。自分のことを「メンティー」、相談に乗ってくれる方を「メンター」と呼びます。「メンター」には経験が豊富な方が好まれます。自分で誰かに直接お願いもできますが多くは上司などが仲介して良い方を紹介してもらえます。「メンティー」から「メンター」に打ち合わせの調整を行うのがマナー、相談のテーマも「メンティー」が自ら考える。「メンター」は自分の豊富な経験や知識をベースにアドバイスをします。こんな点でも自分が主体的に動かないといけませんね。

メンターシップとは 導入のメリットと 実施ステップまとめ

日本とスウェーデンでは、自らのキャリアに対する考え方がずいぶん違いますね。楽では無いけど自分のキャリアは自分で切り開く、自分のことは自分で決めると言った気合と信念が大切です。



スウェーデン人と働いて感じたこと(目次)

0. スウェーデン人と働いて感じたこと
1. ある日突然上司がスウェーデン人
2. 英語が何とかなる人、そうでもない人
3. 英語にもいろいろあります
4. Attractive Work Place(魅力的な職場)
5. 自分のキャリアは自分で切り開く
・続く・・・



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