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珈琲

カフェが好きだ。高いなぁと思って買うカフェラテが好きだ。店のセンスが光るカップが好きだ。ショーケースに積まれたサンドイッチやマフィンが好きだ。

しかし、東京には真のカフェが少ない。カフェは席が空いているかオロオロして肩を縮こませながらコーヒーを啜る場所ではないと思っている。だから都心にある人がごった返すチェーンのカフェはカフェであってカフェでない…と勝手に定義づけている。チェーン店であっても地方の広々とした店舗であれば、ちゃんとカフェの体をなしていることもある。

今年の3月までカナダのトロントに住んでいた。都会なのに人口密度が低くて不思議だった。きっと私が長く東京に住みすぎたからそう感じたのだろう。行きつけにしていた日本茶カフェがあった。ケーキも美味しいその店はいつもひっきりなしに客が来ていた。しかしガラス張りの店内で各々が自分の作業に没頭しながらコーヒーや緑茶を啜り、おしゃべりし、テラスでは大型犬が寝そべるその店はまさにカフェであった。

歩いて行ける距離にでっかいスタバがある。テラスがあって店内の天井も高い、いいスタバである。時々自暴自棄になりそうな時、そこに行く。1000円以内の贅沢が私の心を救う。きっとそんなことばかりしてたらお金がなくなってしまうけど、でも私は今溺れそうなので、浮き輪が必要なので、仕方ない、と言い訳をする。

海外が進んでて日本が遅れている、なんてことを言うやつは大嫌いだ。日本ほど良い国はない。教育も遅れてなんかいない。そんなの犯罪率見ればよく分かる。だから海外を見習えなんて言わない。ただ、もっと良いため息をつける場所がたくさんあってほしい。自発的に筋肉を緩められる場所がもっとたくさんあって良いと思う。散歩中にでっかい犬が足にまとわりついてくれないかな。