見出し画像

また会いたいと思ってほしくて

いま働いている病院は、介入時間はだいたい40分間、週一回くらいの頻度で通われる方が多い。

この40分間、この人にとってどんな時間なんだろうとよく考える。どんな気持ちでここへ来る準備をして、どんな気持ちで帰路につくのだろうか。

ちょっと面倒くさいだろうか。少しでも身体が楽になるようにと気合を入れてくるのだろうか。他人に身体をゆだねることに緊張しているだろうか。終わった後は、少し疲れたかな。気疲れはしなかったかな。少しでも楽になっただろうか。がっかりはしなかっただろうか…。

こんなことを考えると、いつも行く美容院の美容師さんを思い出す。髪を切るのももちろん上手なのだけれども、一言でいえば素敵な人だ。

何というか、心の内を汲んでくれているような気がする。疲れた状態で行っても、寝不足で行っても、その時の自分のリズムに合わせながらも話を広げてくれて、終わったころには少し心が軽くなるような感じがする。

疲れている自分とか、話せない自分とかも一度受け入れてくれて、一緒にリズムを合わせながら前向きにしていってくれるような、そんな感覚。

そして終わると、またこの人に切ってもらおう、と思うのだ。

リハビリは、人によっては辛いもので痛いものだ。人によっては自分の苦手と向き合うから憂鬱になるものだ。運動だって嫌いかもしれない。

だからこそ、また会いたいと思ってもらえるような自分でいたいと思う。

私の治療のコンセプトは、

心地よい時間にすること。潜在能力を引き出すこと。

窓を開けて新しい風が吹き込むように、心も体も風通しよくすること。

なのだけれども、その人のリズムを感じて受け入れてからコンセプト通り丁寧に進めていくことが大事なのかなと最近思う。

また会いたいと思ってもらうためには、自分の魅力を押し出すわけじゃない。

少なくとも私の仕事においては、人を受け入れて波長を合わせながら進めていく心地よさこそが40分を良い時間にする条件なのかなと思う。

また会いたいと思ってもらえるように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?