取り憑かれた時の話
ある日、友人が電車で私の家に遊びに来た。
マンションの前に着いたと電話。
だが音声はブツブツと途切れ聞き取れない。こちらが話しても聞こえていない様子。
なんだか気持ち悪いな。でもそうこともあるか。と思いながら部屋に迎え入れ話しているうちに、私の身体はじわーっと鉛みたいに重くなってついにはソファーに横たわって動けなくなってしまった。
その感覚は、黒くて重い渦に呑み込まれる、鬱(巫病)のような倦怠感。
普通に振る舞おうとするが気持ちもどんどんと沈むし身体は動かず言葉も上手く発せられない。
これは何かオカシイと友人は「ちょっと、いい?」と持っていた精油を私に塗ってくれた。
すると途端に重いものは無くなり嘘のように楽になった。
※この友人とは霊感こそ無いが、そういうのが好きで魔除けとか祓いの話をよくしていた。
「もしかして、◯◯線に乗ってきた?」
この頃、週に何度も人身事故(飛び込み)が続いていた路線だった。
友人は予定の電車に間に合わず、次に来た電車にヒョイと乗ったのだった。
そこからマンションに着くまでの記憶は無いという。
「ああ、きっとそこで連れてきたんだね。」
人身事故は、霊か念か何か強いものに引っ張られて起こるとは思っていたけど、こんな風に突然、人を鬱みたいにさせて飛び込ませてたのかと思うとゾッとした。
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