法人移転登記のオンライン申請手順(2025年最新版)

法人移転登記は以前にもやったことがあるのですが、紙の書類で窓口でやるのに法務局まで行くのが面倒なので調べたら、オンラインで申請できるとのこと。
ただやってみたところ時代によってやり方が違うので情報が統一されておらず、オンライン申請ソフト自体の手続きの概念も分かりづらかった。今後も移転登記は何度もやる羽目になると思うので、手順をメモしておきます。たぶん次に作業するときは完全に忘れていると思うので。。


■前提知識

登記のオンライン申請は、
・登記・供託オンライン申請システム(Web
・申請用総合ソフト(Windowsアプリケーション)
の2種類がある

Webのほうが楽だが、やれることは限定されており総合ソフトではないと申請できない内容がある(基本的に電子署名が必要な申請は総合ソフトのみ)
総合ソフトは、窓口でやれる申請全てすることができる。

今回やりたい、法人の移転登記申請は、総合ソフトを使う必要がある。
上記2つの、ログインIDとパスワードは共通。

申請用総合ソフトで申請するときは、申請書に「電子署名」を埋め込む必要がある。署名は、法人代表者のマイナンバーカードをカードリーダーで読み取ってそれを埋め込むことで可能となる。(外部の電子公証サイトで署名ファイルを発行してもらい購入してそれを使うやり方もあるが、マイナンバーカードだとタダでできるので今回は用いない)

カードリーダーは、Amazonとかで「確定申告用」1500円程度で売っているものでOK。日本製のやつがおすすめ。値段もたいして変わらない。

利用時間はどちらも平日 午前8時30分から午後9時までなので注意

ちなみにいろいろ検索してみたが、オンライン申請は過渡期の制度で時期によって手続きの簡易さが異なるので注意。基本的にだんだん簡単に使いやすくなってきている。例えば、証明書は昔はマイナンバーは使えず電子公証サイトで発行してもらうしかなかったようだ。またマイナンバーではなく電子公証サイトで署名ファイルを発行してもらうのに、以前は紙の書類を行う必要があったらしいのだが(本末転倒!)、今はそちらの方式でもオンラインで完結して購入できるらしい。

下記のインプレスのサイトで同じように法人の移転登記のオンライン手続きを解説しているが、これは古い情報(当時としては間違っていないのだが)なのでかなりめんどくさいし参考にしなくていいと思います。今はこんな面倒なことしなくてもこのページの手続きで完了します。

法人移転登記のオンライン申請は、家から一歩も出ずに完了するし、窓口で紙で申請するより実際に書き換わるまでの時間が短いので、正直おすすめです。

■申請用総合ソフトの設計の概念

申請用総合ソフトは分かりづらい。この分かりづらさの原因は、さまざまな申請について、それぞれのフォーマット=専用画面を作らず、統一した1つのアプリケーション画面ですべての申請フォーマットを全部網羅しようとしている発想だから。

概念として下記の部分を押さえておくと良い
・起動した直後の画面は「自分があれこれ行う申請の管理リスト」のこと
・「申請書作成・編集」画面は、各種申請書に共通する情報をいれる場所
・申請ごとの細かい入力項目の違いは、「別紙の通り」以降の画面で吸収する

■事前準備

・申請用IDの作成(申請者情報登録)
下記のURLにアクセスして行う
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/web/top/SC01WL01-RegistShinseisha.do

ここはそんなに難しくないので細かい説明は省略
ヘルプはこちらのPDF↓

https://houmukyoku.moj.go.jp/mito/page000001_00035.pdf

※ここで作成したIDパスは、Webの「登記・供託オンライン申請システム」と「申請用総合ソフト」どちらも共通。

・申請用総合ソフトのインストール

ここからDLする
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download_soft.html#SogoSoft
※「申請用総合ソフト」だけDLすればOK。個別のPDF署名プラグインとかはいらない(申請用総合ソフトにPDF署名機能も内蔵されている)
※ソフトの使用にはWindowsの管理者権限が必要

■申請用総合ソフトでの申請手順

※基本的には下記のマニュアルに記載されている作成例を参照
(6-1 他の登記所の管轄する区域への本店移転の登記申請の例 P193)

https://t-k-download.moj.go.jp/application/manual/syouhou_sougou.pdf

ここの例として記載されている作例は本店移転登記の移動元と移動先の管轄が違う場合の例で、違う場合は出るところと入るところ2箇所に申請する必要があるのでその内容で書いてあるが、同一管轄区域の場合は申請は1つだけでいい。が、同一管轄区域内の移転の作成例はないのでそれを下記に紹介する。

1.起動、ログイン

※パスワードはコピペだと改行コードを拾ってログインできない場合があるので注意。その場合は手打ちでやる。

2.開いた初期画面の左上の「申請書作成」ボタンをクリック

「申請様式一覧選択」画面が開くので、ここから
商業登記申請書 > 「登記申請書(会社用):株式会社,特例有限会社,合名会社,合資会社,合同会社,外国会社【署名要】」
を選択して、画面下の「選択」ボタンを押す

すると、申請書作成・編集画面が開く

3.申請書作成・編集で入力

件名:ここは自分の管理用としていれる申請の名称。役所は見てない
納付情報(氏名または法人団体名):
自社の名前をカタカナでいれる(カブシキガイシャはいらない)

申請書の名称
[株式会社本店移転]登記申請書

会社・法人の指定方法
→「オンライン会社・法人検索」を使えば自社の情報を会社名でDBから選択して自動入力してくれる。

市区町村を選択して、自分の法人名で検索する
検索結果がリストに出てくるので、選択して「追加」を押す。すると、さっきの画面に戻って「選択された会社・法人」に追加されるので、右下の「確定」を押す。

商号(フリガナ)
自社の会社のフリガナを全角カタカナでいれる(「株式会社」はいらない)

登記の事由:
「本店移転」
だけでいい

登記すべき事項:
「別紙表示」をクリック

作成例の種別→株式会社関係
作成例→「0005株式・同一庁の管轄内で本店移転」

これを選ぶと勝手に必要な情報の項目テンプレート(単なるテキスト)がコピペされるので、内容を書き換えればOK(この場合は本店と原因年月日)
本店→移転先の住所
原因年月日→移転した日付

※法人役員情報入力は役員が法人の場合に入力を支援してくれるものだが、通常は必要ない

↑別紙表示入力ここまで

登録免許税:30000円
「課税(軽減措置なし)」をチェック

納付方法:電子納付

添付書類:
必要な添付書類の項目をテキストで書く
自分の場合は
取締役決定書 1通
だけだった。(取締役会を設置していないので)

※公式マニュアルの例にある画面だと、添付書類は別送する(別送の有無 有)という前提の画面であるが、添付書類はこのソフトでファイルで添付できるので郵送する必要はない(ここは後ほど画面で説明)

別送の有無:
印鑑届での有無:

申請人
本店 →今の登記住所(つまり移転前の登記住所)
商号 →登記上の会社名
代表者住所 →代表者個人の住所
資格 →代表取締役(代表者の肩書)
氏名 →代表者の個人名
※このへんは紙の書面で出すときと同じ情報をいれる
※紙の書面の書き方は以下を参考に
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf

代理人の項目は空でいい

申請先登記所:
オンライン会社・法人検索で法人情報を自動入力した場合は自動的に適正な法務局支局の情報が埋まっているはず

経由の有無:
※同じ管轄内移転では必要なし

4.チェック

全部書き終わったら、上のメニューの「チェック」ボタンを押す
書式的に間違っていると指摘してくれる
だいたいよくあるエラーは
・入力は全部全角でいれること。住所の番地の数字も。
・半角スペースもNGなので全部全角スペースにする
エラーが無くなるまで修正する

5.プレビュー

申請の内容をブラウザを立ち上がってプレビューしてくれる
内容を目視で確認する

6.完了して保存

全部問題なければ上部メニューの「完了」ボタンを押すと内容を保存するか聞かれるのでOKで保存。

総合ソフトの最初の画面に戻り、
「商業・法人」タブを開くと、今書いた申請書が掲載されており、「処理状況」が「作成済み(未署名)」となっているはず。

7.添付ファイルの作成と電子署名

移転登記には、取締役決定書が必要なので、そのファイルを添付する。
会社の状況によっては株主総会議事録や株主リストが必要
※ここで必要なのは、取締役決定書をPDFにしたもの
※取締役決定書の出席取締役の署名には、代表者の実印を捺印する
※捺印は必要!つまり、紙に印刷して捺印してまたスキャンする必要あり
それらの添付書類のフォーマットサンプルは以下のPDFを参照

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252661.pdf

添付ファイルには電子署名が必要。上記で作成したPDFに下記のやり方で電子署名を行う。署名はアクロバットなどなくても、総合ソフト単体で可能。

総合ソフトのトップページに戻り、
ツール > PDFファイルの署名
を選択する。

「PDFファイルの署名」画面が出てくるので、「参照」を押して添付ファイルを指定。

ファイルを指定したら、出力先を指定する。出力先:「参照」を押す。

フォルダを指定する画面が出てくるので、署名後のファイルを出力するフォルダを指定する。

出力先を設定したら、カードリーダーとマイナンバーカードを用意して、「ICカードで署名」を押す。

カードリーダーにマイナンバーカードを差し込んで「OK」を押す

アクセスパスワードを入れる。マイナンバーカードには2種類のパスワードがあるが、いわゆる「署名用電子証明書パスワード」の方。(長い文字列の方)

署名には数秒かかる。無事に署名できると下記のダイアログが出るのでOKを押す

最初の画面の「商業・法人」タブの一覧から、先ほど作成した申請書を選択すると、画面上部のメニューの「ファイル添付」が押せるようになる

「署名付きPDFフォルダ追加」を押して、先ほど出力フォルダで指定したフォルダを選択する。
※なぜファイルではなくフォルダ指定かと言うと、署名済みのファイルは◯◯◯.xmlと◯◯◯.pdfと2つのファイルの組み合わせになるため。


追加できたら、添付ファイルのリストに載るため、右下の「保存」を押して画面を閉じる。

そうすると元の画面に戻り、右下の「添付ファイル一覧」に今添付したファイルが確認できる

8.申請自体への電子署名

先程は添付ファイルへの電子署名だったが、「申請そのもの」にも電子署名をする。(つまり添付ファイルと申請とで、2回署名する)
※ちなみに私は初めてやった時に申請には電子署名したのだが添付ファイルに署名をする必要があることに気づいておらず、補正申告になった

カードリーダーを接続。代表者のマイナンバーカードを差し込んでおく。最初の画面に戻り、リストから今回の申請書をクリックして選択(下記の画面のように、白黒反転して選択状態になる)して、画面上のメニューから「署名付与」ボタンを押す

「署名対象申請一覧」画面が表示されるので、「ICカードで署名」ボタンを押す(ここから先の手順はさっきの添付ファイルに電子署名するやり方とだいたい同じ)

ICカード差し込み確認→OK
アクセスパスワード→マイナカードの「署名用電子証明書パスワード」(マイナンバーカードを作った時に設定したパスワード。2種類あるが長い文字列の方)

左下に「初期化中…」が出て署名の埋め込みに少し時間がかかる。問題なければ「署名付与が完了しました」のダイアログが出るのでOKを押す。

「署名対象申請一覧」画面で、申請書の状態が「署名付与完了」になっていればOK。画面下の「閉じる」を押す

これで最初の画面に戻り、「情報」のところが「署」マークが付いていて、「処理状況」が「未送信」になっていれば、署名は問題なくできている。

9.申請データ送信

最初の画面で申請書を選択して、上部メニューの「申請データ送信」をクリックして送信する。
※平日 午前8時30分から午後9時まで以外の時間は送れない

10.納付

データ送信して数分後、データが「到達」したら、メールが来て納付(登録免許税の支払い)をすることができる

ログインした最初の画面で、「商業・法人」タブで「更新」ボタンを押すと、到達欄が「到達」になり、「納付」というボタンがアクティブになる。
この納付ボタンを押すと、ブラウザにジャンプし、銀行を選ぶ画面→銀行のネットバンキング画面にジャンプでき、そのまま使用している銀行にログインして支払うことができる。

この申請リスト画面で、申請自体がサーバに到達すると「到達」アイコンがカラー(アクティブ?)になる。法務局側で受付されると「受付確認」のアイコンがアクティブになる。
申請が間違っていて補正する必要がある場合は「補正」アイコンがアクティブになるのでクリックするとブラウザが立ち上がって補正内容の指摘が表示される。

すべての手続きが完了すると、「お知らせ」アイコンがアクティブになり、クリックすると下記の完了した旨が表示される。ステータスが変わる度にメールでもお知らせしてくれる。

ちなみに、紙の書類で移転登記をすると正しく受け付けられても2週間くらい完了までにかかるが、オンライン申請だと数日ですぐに登記は書き換えられる。
手続きが完了すると、「申請番号『************』の手続が「手続終了」となりました。」というメールが届き、これが来た段階ですでに登記変更は完了している。

■移転登記が完了したかどうかの確認

本当に書き換わったかどうか不安なところがあるが、これはオンラインで確認できる。これは冒頭で説明したWeb版の「登記・供託オンライン申請システム」から可能で、しかも無料である。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

にアクセス。

各種サービスの「商号調査」をクリックし、ログインする

検索画面が出るので、商号などを入れて検索。これで登記の最新の内容を確認できる。

ここはそんなに迷うことはないと思います。
法務省のマニュアルも参照

https://www.moj.go.jp/content/001368332.pdf

以上です。

いいなと思ったら応援しよう!