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【フィールドノート】#02 台北③

台北Day04。

なんだか筆が進まず間があいてしまった。焦らずに、台北フィールドワークを写真とともに淡々と記録しておく。

Day03はクライアントの台湾支店で丸一日インタビュー調査だったので、省略。Day04は午前はクライアントインタビューが早めに終わったので、美術館など巡り。なお、かなり激しく雨が降っていたので、各施設間の移動にはUberを利用した。日本円で300円くらいでサクッと移動できる。晴れの日徒歩で旅する性質だけど、時短と雨の日にはすごく便利だね、Uber。

台湾当代芸術館。 恐怖からうまれたものを前にして。

アジア美術は結構好きなので、台湾当代芸術館で開催されていた「烏鬼」展へ。

写真は芸術館に展示されてる作品。ポップなビートルとその背後の建物の中で展示されていた作品とのギャップに慄いた。

「烏鬼」(中国語)をよく理解していないまま入ってみると、アジアの弾圧や抑圧の歴史から生まれた作品が集められていて、異様な雰囲気をつくりあげていた。陳腐な表現ではあるが、一つ一つがものすごいパワーをもっている。そのパワーをどう凝縮させてみせるかという点で、空間づくりもとても参考になった。学校のような廊下と教室のような部屋。教室と廊下、廊下と屋外、間にある窓。"窓"というとヒッチコックとボードレールを思い出す。妖しいイメージ。

歴史的な文脈理解はアート作品には必須になる。アジアの歴史に明るくなくても、様々な解釈があっていいのだろうし、ノリでつくられ、ノリでみるものもまたよいのだが、こういう濃密な熟成された恐怖の旨味、みたいなものはノリでは生まれないように思う。エネルギーの圧の違い。

廊下の窓から外を覗くと、赤い椅子が倒れていた。様々な作品群を観た後だったからか、この窓越しにみる赤い椅子に、台湾の人たちやその歴史を投影してしまった。ぼくなりの"台湾"への浅い理解でしかないのだが。

華山1914文化創意産業園区。なまえのとおりなマーケットスポット。

パワーのあるものを前にしてどっと疲れたので、ご飯を食べようと「華山1914文化創意産業園区」へ。美術館、映画館、おしゃれなモールという複合施設。節操がないといえばない。台湾の誠品書店(蔦屋書店の元になったといわれるおしゃれな書店)など、わりとカジュアルにアートやデザインを楽しめる場があるとそれはそれでありがたい。

使用しなくなった公共施設を再開発した施設のようで、そういえば香港でも元刑務所が美術館&コンサートホールになっているなぁ、と香港を思いだす。日本では廃校などが利用されることがあるけど、、、、なんか雰囲気がないなぁと思ってしまうのは何故か。旅プレミアムのせいか否か。

廃墟っぽい感じがまたよい。コンクリート打ちっ放しとはまた違う趣で、ぼくの中ではとても東アジアっぽいイメージがある。日本はスクラップ&ビルド、とよく言われる。他方、香港、台湾はビルドしてスクラップしていない、建物が建てられた頃のまま老朽化してるのでは、という感じご見て取れる。再投資するだけの余裕がないなど経済的な理由なのか、それともスクラップしない文化的な背景があるのか、それはよくわからない。 もし経済的な理由なのだとしたら、日本は(金余りで)内需もあるし投資先として魅力的であると思われているから再開発が行われやすいとも考えることもできるんだろうな、とか。でも、必ずしも経済的な理由だけではないだろう、駐在員の先輩は「この5年間、地価物価は上がり続けている」と言っていたし、お金はなくはないし投資先としても台北都市部で魅力的でないとはいいきれないのではないか、土地建物に対する法的権利関係だけでなく、土地建物に対する文化的な背景、考え方の違いにあるのかもしれない、住んでみたらわかるのかな、などと考えてみたりして。(答えは知りませんので、事情通の方は是非教えてください笑)

それはそうと、ぼくはこのビルドしっぱなし、というのがスクラップ&ビルドよりも好きだ。好きを通り越して、なんだか知らないが安心することも多くて、ぼくはもしかしたら前世は中国の人間だったのではないか、と最近思い始めている。中華&台湾料理好きだし(それは関係ないだろ)。

施設の話に戻ると、通路はなんだか大学のキャンパスを思い起こさせる。こんなところも素敵。

広場にはアート作品も転々と設置されている(強雨だったので遠目から覗き見ているという写真)。

ランチはイタリアンで。台湾料理はとても好きだけど、流石に飽きてきた(笑)。おしゃれスポットというのもあって、わりといい値段。台湾ドルのレートマジック。店員さんは学生アルバイトのようで、少しを話をしたら芸術系の学校に通っているらしい。黒髪のモード系のボブで、勝手なイメージながら日本の文化服装学院にいそうな雰囲気の女性だった。顧客層は、価格帯や、平日の14時ごろという時間もあったせいか、中高年の女性かぼくと同世代くらいの男女、そのうち1/3は日本人旅行客。モール全体として家族、子供連れが多く、普段の休日とあまり変わらないかもな、とふと思った。

映画館では気になる映画もやっていたので少し迷ったけれど、次の美術館へ。

台北市立美術館。巨大なモダニズムに包含される何か。

台北市立美術館。まずその建築に圧倒される。

故宮博物院とは比べられないが、巨大なモダニズム建築としての迫力があった。

正面口ではなく、裏手から入ってみた。長い回廊を抜けると、布のペインティングが。

これはよかった。モダニズムの味気ない廊下に広がるペインティング。もっと長い距離を様々な素材の生地にうちつけてもよいかもしれない、などと考えて、写真の制作に使える!とインスピレーションを得た。

長い廊下を抜けてようやくメインエントランスロビーへ、、、、

おわかりいただけたであろうか、、、別の角度からもう一度。

とにかく広大なロビーの天井から木が生えています。大事なことなので繰り返す。木が生えています。

天井というか、天井そこかよ?っていうくらいの大空間。権威表現の中に木が逆さまに生えているとか、なかなかおもしろい解釈が生まれそう。

ロビーだけでなく、展示スペースはとにかく広くて、大小あわせて6展の企画展が開催されていた。全部はみれなかったけど、1日いても飽きないと思う。何個かはみたのだが、そのなかで良かったのは、「後自然」展。Post Nature。

「自然」は大いなるテーマであるものの、台湾という土地で自然について考えられた作品を観て、自然について考えてみる、というシチュエーションがおもしろくて、なぜか一人でニヤニヤしてしまった。きっと、周りの人からはヤバイ人だと思われたに違いない。

とにかく広い。広い、広い。広すぎて、逆に展示が難しそうに思えた。特に小ぶりな作品は、広大なスペースを持て余していた、、、空間設計は当代芸術館の方が工夫があったように思う。とはいえ、大きな作品を収めるには最高の箱。

広すぎて、わりと多くの人が来ていたことを感じられなかった。でも、たしかに学生がたくさんいた。感覚的に若い女性が多かったように記憶している。若手アーティストのコンペをやってたせいもあるのだろうか。価格帯もあるかもしれない。これだけみれて、なんと日本円にして2〜300円。おそるべし。

帰りは歩いて帰ろうかなぁ、なんて呑気に歩道橋を渡っていたら、激しい風雨に襲われて、5分で断念、、、即、偉大なる召喚獣Uberを召喚、ホテルまでたどり着いたのであった、、、そう、、雨という外部の自然に負けたのだ、、、

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さて、この台北の旅から早2ヶ月が経とうとしている。筆不精を反省しつつも、2ヶ月経ったからみえるものもあり。あえて、期間をおいてからふりかえるのも、また違う意味があると感じている。これはこれで。

写真は記録ではないから、記憶をたよりに書く。フィールドノートも記憶の記録であるんだろう。

all photo by tomohiro sato.

w/ m6, summicron 2/50 1st., summilux 1.4/35 5th., quick snap simple ace.

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