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憧れた景色を【イタリア旅行記①】


 朝起きたら知らない天井だった。それもとびきりオシャレでカッコいい輝いた天井。

 約5年前だった。当時イタリアンレストランで修行中だった僕は職場での研修旅行との名目で約1週間イタリアへ行った。
研修とは名ばかりの、かなり楽しく充実した旅行だった。
まだ未熟者ではあったがメタルスライム200匹位の経験値をもらえた。いやガチで。
初めての街でレベル100にするみたいな。当時の僕は無敵だった。

 日本を朝8時ごろ出発して、約12時間飛行機でのフライト。
先日も書いたが、老け顔で薄い顔の僕は羽田空港で案内員の方に英語で話しかけられた。
「あ・・・日本人ですよ・・・」と言った時のあのお姉さんの気まずさと申し訳なさと恥ずかしさをミキサーに入れて半日くらいスイッチを入れっぱなしにしたような表情は未だに忘れられない。

飛行機内も大惨事ばかりだった。お酒が好きなのでワインをしこたま飲んで暇を潰していたが、酔った挙句連れの洋服に赤ワインをぶちまけた。暇を潰そうと思っていたが潰されたのは僕の方だったようだ。

なんやかんやあって到着。
時間はもう夜の23時ごろだったと思う。

飛行機から見えた夜景

一度ローマに降りた後に乗り継いで目的地であるナポリに到着した。
空港からタクシーを捕まえ、3日間お世話になるツーリストアパートを目指す。
案の定、というかイタリアらしいのだが超絶遠回りをされ、日本語でめちゃくちゃ運ちゃんに文句言った。意味は分かっていなかったであろうが鬼気迫る異国語に恐れをなして相場程度の値段を払って降りた。
深夜ということもあってか、あたりはシーンと静まり返った異国情緒あふれる住宅地。ここでやっとイタリアまで来たのだと深く深呼吸をした。
「ジーーーーーー」オーナーを呼び、部屋へ案内をしてもらおうとしたが出ない。
もう一度鳴らす。耳に聞き馴染みのない呼び鈴の音が響く。おっと、やっと応じた。
「dscsjdにうびのいjどぉいmぁjsかsj!!!!!!!!!!」
聞き取れないし意味もわからなかった。けどわかる。15分前に僕がタクシーの運転手にそうしたような鬼気迫る声だった。蓋を開けてみれば、伝えられていた部屋番号が違う。おい、そりゃ怒るだろ。。。

 やっとの思いで部屋にたどり着き、エスプレッソを一杯。
半分エコノミー症候群と、若干のホームシック・・・には気が早いように思えるが、疲れていたのでそのまま眠りについた。

ツーリストアパートの部屋。こんな部屋があと三部屋とキッチン、バスルームが2つ。

 知らない天井。それもとびきりオシャレな天井。
シンジくんもびっくりのまるっきしトレースした台詞を吐き捨て時差ボケした鉛のような重い体をこれからの旅行の楽しみな気持ちだけで持ち上げ起き上がった。
目が覚めると、夜とは打って変わって活気のある声が聞こえてくる。
カーテンを開けて窓の外を見ると近隣の住民たちがわいわいと仕事に勤しんでいた。

街の様子。
目の前にあったピッツェリア。何度もお世話になった。

 さて1日目、まずはレンタカーを借りに行った。何を隠そう国際免許を取得し憧れのイタリア公道デビューをしたのだ。不安すぎた。
この旅がどうなるのか。果たして無事に日本に帰り着くのだろうか。
そんなことを寝不足のせいで痛い頭を駆使しながら、一服して窓の外を眺めた。


 

次回、『卵にピザと卵の城』 明日更新予定です🤗


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