長谷川豊さんの本質的な誤解
今話題のアナウンサー、長谷川豊さんについて、こんな記事がありました。
ちなみに長谷川アナとは、透析を受けている患者さんの中でも、生活習慣が悪い人は自業自得なので医療保険の適応をやめるべき、つまり、税金を使って助けるべきではないなどとブログを通じて発言した方です。
それも、かなり過激かつ稚拙な表現が多く、批判を受けていました。
その後、多少は書き換えたみたいですが、内容は下記のURLで見れます。
http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/48479701.html
さて、そんなブログは読んでも読まなくても良いと思いますが、下記のハフィントンポストの記事は面白かったです。
「『医療は全員に』は違う」長谷川豊アナが抗議の署名届けた患者女性と対談
ここでは、長谷川アナが患者さんの一人である野上さんという方と対談しています。
この野上さんという方は、非常に鋭い指摘をされていました。
どうも、マスコミは長谷川アナの過激な言い方ばかりを批判しており、それに対して長谷川アナは、過激な発言をしたのは悪かったけど、自分の意見は本質的には正しいという反論をしていました。
ただ、個人的には、過激な発言を抜きにしても
本質的に長谷川アナの発言は間違っているな
と思っていて、そういった指摘はないのかと疑問に思っていたところでした。
しかし、長谷川アナと対談された野上さんは、見事にそこを指摘されています。
野上:私の方でもお医者さんとか、医療関係の友人とかに確認してみたんですけれど、本当に自業自得のみっていうのは結構少なくて、実際は例えばすい臓の手術でなった人もいれば、薬害でなった人もいて、原因は1個じゃないんだよ、必ずミックスなのでという話でした。
そうなんですよね。
医学が進歩すればするほど、一つの病気の原因にも複数の原因があることが分かってきています。
遺伝、遺伝子の変異、ホルモンバランスなどの様々な生物学的要因があるだけでなく、収入、育ってきた環境、文化、教育など、様々な社会的な要因も絡むんです。
その中で、個人の生活習慣なんて、ほんの一部に過ぎないんですよね。
それに、生活習慣が良くても遺伝的な要因で病気になる人もいれば、遺伝的な要因があって、さらに生活習慣が悪い人もいます。
そして、遺伝的な要因といっても、ほんの少し影響があるものから、病気の発症に対して多大な影響を及ぼすものまで、様々。
つまり、病気の原因って複雑すぎるほど複雑なんですね。
そんな中で、この人は自業自得で、この人はそうじゃないなどと線引きするのは不可能です。
仮に、無理にそんなシステムを作れば、このような事態が多発するのではないでしょうか。
例えば、「あなたは生活習慣が悪く、自業自得なので医療費の援助は受けられません」と通告され、透析患者さんが医療を受けられなくなる。
その後に、「しっかり検査してみたら、他にも原因が見つかったので、必ずしも自業自得とは言えませんでした」とか、「生活習慣が悪いと思っていたけど、意外にその生活習慣も悪くないことが最近わかりました」などと言って、最初の「自業自得」という通告が訂正される。
しかし、すでに透析を受けられなくなっていた患者さんは体がボロボロで、その後すぐに亡くなってしまう。
こんな事態が多発するはずです。
当然、裁判沙汰になるでしょう。
だから、長谷川アナの考えた自業自得の患者は医療保険が使えなくなるシステムには、医学的、科学的に無理があるんです。
長谷川アナはまだ自分は過激な発言をしたのが悪いだけで、本質的な意見は正しいと思っているみたいですから、冷静に紐解きつつ、徹底的に批判されてほしいですね。