BB+以下の世界
noteをはじめました。
noteではすでにクラウドクレジットのページ上に、クラウドクレジットのお客様へのコメントを掲載するマガジンを持っていますが、こちらのアカウントではより一般的なことを執筆していきます。
今回は、クラウドクレジットもお客様にご提供している、ハイイールドの世界について、ベースとなるコンセプトをご紹介します。
より実像がつかまれてきている、ハイイールド投資
ハイイールド投資とは一般に、S&P、FitchやMoody’sといった大手の格付会社による信用格付がBBB-(Moody’sはBaa3)に満たない、BB+(Moody’sはBa1)以下の格付相当の企業や政府への投資のことをいいます。
これらの企業や政府はジャンク級といわれ、それらの主体が発行する債券がジャンク債と呼ばれることをご存知の方も多いかと思います。
ジャンク債というと2007年のサブプライム危機とそれに続く2008年のリーマンショックに端を発する金融危機を想起される方も少なくないと思います。
日本では一度金融ショックが起きると「死ぬまでそれを触らん」という方が多い印象がありますが、リーマンショックの本家アメリカでは、リーマンショック後もハイイールド市場は拡大を続けています。
市場規模が拡大するだけではなく、ジャンク級の金融商品の性質のリサーチも進んできています。
その代表的なものが、ジャンク級の債券投資は、一般的な債券投資(インカムゲインのイメージ)よりも株式投資(利益、損失の変動幅が大きい)に近いというものです。
つまり、ハイイールド投資の収益源である、金利収入からデフォルト損失をひいたネットの損益は、株式のように正だったり負だったりします。
この点を理解していないと、2007年以前のアメリカの銀行のようにリスクをとってはいけない主体、またはリスク耐性が無い主体が手を出してしまうことになります。
ハイイールド投資は、株式投資のようにダウンサイド局面を乗り越えることを前提として、その先にあるアップサイドをとりにいくことを前提にしている投資家が手を出すべき領域、といえます。
分野によって異なるリスク管理戦略
もちろんハイイールド投資の中でも、領域によってとるべきリスク管理戦略は分散投資、担保保全、全勝しにいく、など異なる点に注意が必要です。
例えばクラウドクレジットの場合、日本よりも担保保全に関わる法制の弱い国の企業に融資を行うことが多いため無担保・高金利での融資を行う一方で、世界中が投資対象であるため融資先企業の数は日本だけを対象とする場合に比べて多くなり、分散投資を行い高い金利による収益でデフォルト(や円高)による損失をカバーすることにより、損失をこうむるリスクを低減することを投資家の方に推奨をさせて頂いています。
一方で、日本国内のジャンク級の案件に融資を行っているファンドをみると、案件の数が世界中に投資を行う場合と比べて限られている一方で担保保全をきちんとしていればデフォルトが発生しても損失を最低限に抑えることができ、担保保全に高い優先順位を置いていることがみてとれます。
また、ハイイールド領域の中でも比較的安全な分野への投資を行う場合は、金利の水準もハイイールド領域の中では低いことが多いため、分散投資を行ってもデフォルトによる損失を金利収入で賄える可能性が低く、「全勝」しにいくことがとるべき戦略になると考えられます。
こういったリスク管理戦略を適切に選択できるためにも、ハイイールド投資は金融商品として組成をするには一定以上の運用経験・能力が必要な分野であるといえます。