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内部統制プロセスの変更と会計監査人への説明

はじめに

 社内の基幹システムの導入に携わる中で、各部門の業務プロセスを棚卸しをしていくと、より正確で厳密な経理処理を行うための業務プロセスの存在に気づきました。計上期間や勘定科目を正しく認識するために、数値の取得や確認に相応のコストを割いており、当該プロセスを変更するためには、何をどのレベルまで実施するのか、財務報告の信頼性の確保に関わる問題であり、内部統制(※)の問題であることがわかりました。
 ※なお、ここでの内部統制は金融商品取引法に基づく概念で書いています。

会計監査人への説明ポイント

 財務報告に係る内部統制プロセス(以下、内部統制プロセス)も会計監査の対象であるため、もし内部統制プロセスを変更するならば、会計監査人の承諾が必要であると思います。業務プロセス変更事由を会計監査人に説明する際のポイントを考えたので以下に纏めました。

1.財務数値へのインパクトが少ない

 財務報告数値の信頼性が変化しないことが前提であるため、もし業務プロセスを変更した場合においても、財務数値への影響が軽微であることを説明する必要があります。(例えば計上期間を正しくさせるために、追加で確認している作業について、仮にその作業を止めたとしても、期ズレによる影響が軽微であることを説明する。)

2.統制水準が変わらない

 内部統制プロセス上で財務数値の誤りが発生するリスクの高い箇所について、そのリスクの発生を防ぐポイントを変更しても、これまで同様に信頼性の高い財務報告数値になることを説明する。(例えば委託先から受領した書類を全件チェックしているプロセスを変更する場合、委託先の資料作成プロセスを確認するプロセスを設ける事で、当社が確認する時点で信頼性の高い資料になっていることを説明する等)

システム導入と業務プロセスの最適化

 システム導入は、経理部門、営業部門、一般管理部門と自社の様々な部門の業務プロセスについて、具体的な理解が必要であると思います。今回は経理業務の検討を通じて、内部統制という論点を考えるきっかけとなりました。システム導入の目的の一つに、業務プロセスの最適化があると思いますが、現行の業務プロセスをそのままトレースしたシステムを導入するのではなく、最適な業務プロセスに変更した上で、システムの要件定義を進めていくべきであると改めて感じました。


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