新宿の閻魔様
行き始めて数年になるが、新宿に太宗寺というお寺がある。
場所は東京都新宿区新宿二丁目、駅で言えば東京メトロの新宿三丁目や新宿御苑が近い。JRの新宿駅からでも歩ける距離である。
このお寺には閻魔様と奪衣婆が祀られている。
普段は扉の向こうに安置されているのだが、毎年7月15日、16日に御開扉があり、閻魔堂の中にも入れる。
まずは閻魔様。地獄の13人いる裁判官の中でも特に有名な方。
この像は写真では迫力が伝わり切らないが、高さが5.5メートルある座像なのだ(新宿区の資料では像高4.7メートル)。
顔を見上げれば爛々と輝く目がこちらを見つめ、カッと開いた口が正に裁判の最中であるかのよう。心に疾しいことがあると、見透かされるのではないか、そんな気がしてしまう。
右手に大きなやっとこが見えている。やっとこと言えば、嘘をつく罪人の舌を抜くための道具だが、ここに見えているやっとこは大人の身長ぐらい有りそうな代物で、舌一枚どころか人間一人掴めそうな気がする。
そして奪衣婆像。
迫力で行けば、正直こちらの方が恐ろしい。
こちらは2.3メートル。ガラス製のギョロリと光る眼がとにかく恐ろしい。
何をしたと言う訳でも無いのに、責め立てられるのではないかとドキドキしてしまう。
ちなみに、奪衣婆は三途の川の畔にいて、三途の川の渡し賃を持たない亡者から衣服をはぎ取る鬼である。
衣服をはぎ取ることから、遊女たちの信仰が篤かったと言う。
とにもかくにも「大きい」「恐ろしい」2体の木像。
何の障壁もなく近くに行って眺めることが出来るのは御開扉の時だけなので、一種独特な迫力を肌で感じるには、御開扉の時を狙って行く事をお勧めする。
参拝を終えた後、境内各所を回り、稲荷神社に着いたら、お社に珍しい神様がお休みになられていた。
気持ち良くお休みの所に近付いたためか、非常に不機嫌であらせられた。
以下 情報
御開扉は7月15日、16日と書いたが、実は半年前の1月15日、16日にも御開扉があった。例年1月15日、16日、7月15日、16日に御開扉がある。
1月15日と7月15日は藪入り。昔は嫁の帰郷、奉公人の里帰りの日であったが、いつしか地獄の釜が開く日、閻魔大王が亡者を苛むことを止める日だとされ、この2日が閻魔様の御縁日となったそうな。
普段は扉の向こうと言っても、実は金網越しで、扉の向こうは真っ暗闇。
閻魔堂の柱にスイッチがあるので、そのスイッチを押すと「バチン!」と言う大きな音と共に電灯が点き、閻魔様と奪衣婆の姿が浮かび上がる。
この電灯が点いた瞬間、閻魔様の大きなお顔がカッ!とこちらを見つめていることに気付いた時の心臓が止まりそうになる感覚。
この感覚は藪入り以外では味わえないため、こちらもお勧めである。
行った日:2016年7月15日