短編【元旦って不思議だな】
一年に一度だけ、面白いことが起こるのだ。
今年一年嫌なことを思い出して”はあ”と溜息をついてしまうのが12月31日。
だけど次の日になって、朝になる。
ああ。今年もなんにもしないで終わりそうだなあ。
そう思ったのだ。
すると重箱からこんな声が聞こえてきた。
”今年はどんなことがしたいんだい?”
”君は楽しみたいのかい?それとも家族が欲しいのかい?
僕はこう答えた。
”僕は去年胸が苦しくなることが多かったから”
”今年は嬉しくなることをしたいかなあ”
”笑顔になると僕も周りも幸せになれるから”
”そうかそうか”
”それじゃあ君は今年の歩く道は決まったんだね”
そう聞こえた気がする。
僕はそのまま重箱の中身をパクっと一口食べた。
その時ぼくは、
確かに微笑んでいた。