モモ(著者:ミヒャエル・エンデ)
モモ
著者:ミヒャエル・エンデ
翻訳:大島かおり
初版:1976年
時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語。時間に追われ,人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に,風変りな少女モモが時間の真の意味を気づかせます。(出典:岩波書店 HP)
https://www.iwanami.co.jp/book/b254851.html
「物語のかたち」
丸くて、焦げ茶色、錆びた鉄の塊のようなかたち。表面全体に、長年の雨風にあたって痛んだように小さなささくれが棘のように無数についています。触ると少し痛くて、手には錆びた粉がつく。でも、不思議と重くなくて軽い。
子どもでも読みやすいやさしい文章なので、読んでいて軽やかな気持ちになります。しかし、扱っているテーマは大人でも考えさせられるものです。むしろ、大人に対しての、子供よりも大人のほうが陥りやすい状況への警報かもしれません。日々の時間を、未来の時間を、利己的に進めようとしている自分の日々の生活にはっとさせられます。この物語は、軽やかな気持ちと、ずっしりと重い気づきと驚きを与えてくれます。その気づきや驚きは、目の前の霧が晴れて、遠くまで見渡せるようになったような、すっきりとした良い気分を味わえます。