日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―(著者:森下典子)
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―
著者 森下典子
初版 2002年
お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。(出典:新潮社HP)
https://www.shinchosha.co.jp/book/136351/
□「物語のかたち」
少し厚みのある平らの板状で、水たまりのようないびつなかたちをしている。薄い青や紫がかった色で半透明。固く、表面はツルっとしていて宝石のように美しい。
□「物語のかたち」ができるまで
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今回から新しくこの場所をつくりました。
私が本を読みながら見ている「物語のかたち」は、読み終わった時にパッと現れるわけではありません。本を読んでいくなかで、かたちが現れてきて、読み進めるうちに、そのかたちは変わっていきます。これまで紹介してきた「物語のかたち」は、私が本を読み終わった時に見えているかたちです。今回から、その変わっていく過程についても書いてみることにしました。
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風が吹いている。心地よく、すーっと通り抜けるような風。(序章)
かたちが現れる。粘土のような素材でできていて柔らかく、黄土色をしている。蛇のような曲線の太い紐がウネウネと曲がって上に下に何度も波打った時のかたちをしている。(4章)
ウネウネと波打った形が、横から押されて、ギュッと縮こまる。(5章)
ドロッと溶けて、半透明になる。色の濃いところと薄いところがあって、プルプルとしていて柔らかい。(7章)
固く固くかたまった。(9章)
パンが発酵して膨らむように、ふっくらと膨らんで丸くなっていく。(10章)
ギュッとしぼんで固いものに。宝石のように美しくて、表面はツルっとしている。(11章)
一気に、平らに、平べったい形に広がる。薄く、固い。表面はツルっとしていて美しい。色は少し青色や紫色が入っていて、半透明。表面に太陽の光のようなものが当たって、左から右へとキラリと光る。(13章)