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人に自然に挨拶できるくらいの密度の心地よさ

広島の離島、大崎上島の神峰山の頂付近で、朝を迎えた。

今朝は曇っていて朝日を拝めなかったけれど、人気の一切ない山の頂は、とても自然のエネルギーに包まれている。

静かに目を閉じると、小鳥のさえずりがよく聞こえる。ホーホケキョと鳴くウグイスくらいしか名前は分からないのだけれど、4種類ほど小鳥が近くにいることは認識できる。

ここ最近は、1日のうちの何処かで必ず移動をしていた。同じ場所にとどまることは、旅として自然ではないように思えていた。

しかしこの神峰山の頂は、水と食料がある限り、ずっといたいと思える。景色も良い。空気もいい。そして自然と小動物のエネルギーに包まれている。

今日の夕方にはかつて、福岡で教員をしていた頃の友と再会することになっているので、山を下りる。その時間まで今日はここで、静かな時間を過ごそうと決めた。


目を閉じて、小鳥のさえずりだけに意識を向ける、そんな何もしない時間を過ごしていると、車がきた。仕事で撮影にきたという。その後ろから、撮影を依頼したと思わしき夫婦がきた。彼らともまた挨拶をする。

彼らと挨拶をかわしながら、自然に挨拶できるくらいの人の密度に心地よさを感じていた。その心地よさは、緊張や警戒とは縁のない、エネルギーの交換なのだろうと思う。そしてそんな人とのかかわりに、自然な美しさを感じる。

いただいた、竹原の銘菓を片手に、紅茶を飲む。これからどうなるのかは分からない。これからどう生きるのかも分からない。しかし、今この瞬間は、自分が生きていることを感じられる。それはとても幸せなことだと感じている。



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