【米紙記者が明かす】確実に英語が上達する3つの心構え
「どうすれば英語が上手くなりますか」とよく聞かれます。
単語を覚えましょうとか、音読を繰り返しましょうとか、この参考書がいいですよとか、留学しましょう、といった答えを期待しているんだと思います。
でも最適な学習法は人によって違います。
大事なのは、「心構え」や「モチベーション」です。
今回は、ぼく自身の経験や、周りの英語学習者を見てきて気付いた、3つの大切な心構えをお伝えします。
これができている人は、初心者だろうが、上級者だろうが、自然と英語が上手くなります。
1. 失敗を恐れない
ネイティブが、日本人の発音や、よくおかす文法や表現の間違いを指摘したり、からかったりする本や動画を目にします。
売れるし、ビュー数もとれるんでしょう。もちろん、本当に学習者のことを思って指摘する人もいるのでしょうが、ぼくはあまり好きじゃありません。こういう類は、特に初心者は避けた方がいいです。
なぜか?
成功よりも、失敗ばかりに目が向いてしまうからです。
自信がなくなる、他人の目が気になる、萎縮してしまう。英語学習で最も怖いことです。日本人が、なかなか英語を話せるようにならない大きな理由です。
学校での英語の授業を思い出してください。
頑張って話したり、文章を書いたりしても、先生に「ここが違う」と間違いばかりを指摘されませんでしたか?
テストも減点方式です。いかにミスをしないかが重要になる。
そうした思考だと、いざ実生活で話そうとした時、まず頭の中で完璧な文法と単語で文章を組み立てようとするので、なかなか言葉が出てこなくなります。
それよりも、会話を楽しむことに集中して、頭に浮かんだ単語やフレーズを口に出してみてください。いつの間にか、慣れてスムーズに文章が出てくるようになります。
そもそもネイティブであっても、日常生活で完璧な英語を話す人なんていません。自分の日本語での会話を録音して聞いてみてください。文法や構成なんてめちゃくちゃです。
英語は世界各地で使われているので、とにかく色々な発音のなまりがあります。表現も国や場所によって変わってくる。だから何が「正しい」英語かなんて曖昧です。
大事なのは、相手と意思疎通ができるかどうかです。「完璧な英語を話す人だ」と思われるために英語を学んでいる訳ではありません。
そもそも、失敗なんて大したことではありません。
ぼくも失敗ばかりです。
アメリカの現地新聞で記者として働き始めた頃、記事だろうが、会話だろうが、不自然な英語表現を連発していました。「何言ってるか分からん」と聞き返されることも度々ありました。
人種偏見にもとづいた不適切なジョークを言ってしまったこともあります。
駆け出しの報道記者だった時、ある殺人自殺事件に絡む不適切な発言をしてしまい、全米から非難を受けていた裁判官の独占インタビューにこぎつけたことがあります。
でも、ぼくの手際の悪さで、ナーバスになっていた裁判官がよりナーバスになってしまい、インタビューが始まった直後に、立ち上がって帰ってしまいました。編集長もいる前で、スクープを逃してしまったのです。
その時は、「終わった」と思いました。でも、今振り返ると、大したことではありません。
しかも、失敗して恥をかくと、2度と同じミスを繰り返さないよう、いつの間にか成長します。英語も間違えた分だけ、新しい表現を覚えられるんです。
だから、周りがなんと言おうと、失敗を恐れないでください。ミスばかり指摘する人とは距離を置いて、いいところを褒めてくれる人で周りを固めましょう。
苦手だと思ったら終わりです。
2. 楽しむ
何も無理に楽しく振る舞えということではありません。
「楽しむ」とは、できなかったことよりも、小さな成功に目を向けることです。
初めての人と数分でも会話を続けられた、何か一つでも相手のことを知れた、自分の名前を覚えてもらえた。そうした些細な喜びを積み重ねると、英語を使うのが楽しくなります。
そうなったらしめたもの。どんどん上達します。
ぼくは、父親の駐在で、2年間、アメリカの現地小学校に通いました。
そこでアメリカ人の親友ができました。毎日のようにお互いの家に遊びに行って、バスケットボールをしたり、好きな女の子の話をしたりしました。
その時の楽しさが、もっと英語が上手くなりたいという気持ちにつながりました。そうした内面から湧き出るモチベーション、情熱に勝る勉強法はありません。
ぼくは、決して語学力が高い方ではありません。本来なら、単語帳を覚える根気も記憶力もない。
でも、日本人以外とコミュニケーションできるのが嬉しくて、日本に帰ってからも、英語だけは、一生懸命、というより楽しく取り組みました。
その結果、ぼくよりずっと海外経験の長い帰国子女でも、それほど海外生活を楽しめなかったため、あまり英語が伸びなかったり、帰国後に伸ばそうというモチベーションが湧かなかったりというケースを見てきました。
英語を怖がるのではなく、楽しむようになったら、日本人が英語が苦手なんて言われなくなるはずです。だから英語をどんどん使って、小さな成功を積み重ねてください。
3. とにかくやってみる
スポーツでも語学でも、日本人は、練習のための練習をしすぎます。
「実戦の積み重ね」が成長の秘訣です。
特にコミュニケーションは、相手がいて成り立つもの。机に向かって一人で練習していても上手になりません。
誰かと話したり、仕事で使ったり、文章を書いてネットで配信したり。とにかく機会があったら、なんでもやってみてください。
人間は初めてのこと、未知のことをすると一番成長します。
ぼくは、アメリカの大学院で偶然ジャーナリズムに出会った時、それまで日本語ですら新聞をまともに読んだことがありませんでした。それでも、ワクワクしたから、その日のうちに学生新聞の門戸を叩きました。
取材の仕方や記事の書き方など全く分からないので、教科書を読み、ネットで調べ、人に聞き、上手な文章を真似ました。
必死になると、自然と脳がフル回転します。だから上達も早い。そして、どうにかなってしまうものです。一年半後には、プロの記者として、新聞社で働き始めていました。
なので、居心地の悪いところにこそ、飛び込んでみてください。
例えば、一人だけで、外国人だらけのパーティーに参加してみる。そこでバンバン人に話しかけて、誰かと連絡先を交換できた、また会う約束を取り付けたなどの成功を自信にする。
またチャレンジしたいというモチベーションになって、どんどん英語も上達していくはずです。