サッキー(メガネ)

趣味で小説書いてます。 よろしくお願いします。 エブリスタ https://est…

サッキー(メガネ)

趣味で小説書いてます。 よろしくお願いします。 エブリスタ https://estar.jp/users/147961550

最近の記事

おもちゃ箱 最終話

 雅晴は木彫り細工を作りながら、亜依子が帰ってくるのを楽しみにしていた。  3日前、亜依子から『仕事が少し延びることになった』とメールで連絡があったときは、少しショックだった。  だが、会ったときの楽しみが増えたと思えばどうということはなかった。  そして今日、亜依子がハワイから帰ってくることになっている。 『取って置きのプレゼントを用意してるから』とメールには書いてあった。  そんな亜依子のために、雅晴は新しい木彫り細工を亜依子にプレゼントしようと、昨日から寝ずに

    • おもちゃ箱 第55話

      奏「姉ちゃん、日下さんが来たよ~」 日「よっ」 か「秀明!? 仕事は?」 日「ちょっと色々と伝えたいことがあってさ。寄ってみたんだ」  秀明は聖陽の様子等について教えるために深堂家にやってきた。 日「時東は素直に自供してるよ。今までの犯行についても、奏君を狙った理由もね」 か「…」 奏「姉ちゃん……」  かなえにとって聖陽はカウンセラーを目指すきっかけになった人物、恩師のような存在だった。  そんな人物が連続殺人犯と知ったときのショックは相当なものだっただろ

      • おもちゃ箱 第54話

        その後 事件解決から3日後。 かなえは家の中でコーヒーを飲んでいた。  隣には雪永親子が同じようにコーヒーを飲んでいる。  あの事件後、かなえたちは多くの記者たちに取材を申し込まれた。  職場に迷惑をかけてはいけないと、彩月は有給を取り、かなえは療養という名目で事態が落ち着くまで家で過ごすことにした。  奏の通っている大学では「講師が連続殺人犯」という記事が出回り、毎日事実確認と対応に追われている。  大学は長期休講という形を取り、生徒たちが取材に応じないように

        • おもちゃ箱 第53話

          聖陽はそっと窓を閉めた。 時「初めて君と話をした時、私はもしかしたらと思った。君と話していく内に、それが確信に変わった。『この子は犯罪者の素質がある。私の後継者になれる』そう思った」 奏「えっ?」 時「優れた頭脳を持ちながら、それをひけらかすこともなく、周りに溶け込もうと必死で殻に閉じ籠りやすい性格。身近な人物にさえ一定の距離を保とうとする。そう言った人間はちょっとしたきっかけで犯罪に手を染める。特に君のように辛い過去を持った人間は」 奏「……」 時「君のことはかな

        おもちゃ箱 最終話

          おもちゃ箱 第52話

          決着 <過去 side> 奏と聖陽が最初に会ったのは2年ほど前。  大学に入ったばかりの奏は、授業を受けるために席に着いていた。 横には秀平が眠たそうな顔をして座っていた。 黒「ふぁ~……。眠い」 奏「どうだった? 昨日の合コン」 黒「……聞かないでくれ」 奏「ハハハ……」 秀平は昨日、初めて合コンを開いたようだ。 結果は散々だったようだが……。  秀平と他愛もない話をしていると先生が入ってきた。 生徒たちはぞろぞろと席に着いていく。 時「皆さん始め

          おもちゃ箱 第52話

          おもちゃ箱 第51話

          対峙 <奏 side> 俺たちはやっと駅に到着した。  時間は深夜を迎えており、街は暗闇に包まれていた。 俺は手配していたタクシーの元へ急いだ。  タクシーの前に着くと、俺は一旦立ち止まった。 奏「……皆」 黒「どうした?」 奏「ここからは俺一人で行くよ」 黒「はぁ!?」 絵「何言ってるんですか、先輩!?」 2人は驚いた表情をしていた。 美琴ちゃんも同じだった。 奏「この事件は俺が解決しなきゃいけない。先生もそれを望んでる」 黒「いや、そうかもしれ

          おもちゃ箱 第51話

          おもちゃ箱 第50話

           私は爆弾について詳しく調べ、地下室で爆弾を制作した。  元は災害対策として作られた場所らしいが、日常では滅多に使うことはなかった。 最初の爆弾作りは苦労した。 作るのに5時間以上かかってしまった。 時「……ふぅー」  なんとか完成した爆弾を見て、私は大きく息を吐いた。 私は爆弾を木箱にセットした。 時「よしっ。次は入れる人間だな」 私はあるサイトを立ち上げた。 『Muddy guy』  周りから嫌われている人間を書き込むサイトだ。  立ち上げから1週間

          おもちゃ箱 第50話

          おもちゃ箱 第49話

          私たちの結婚生活は充実していた。  毎日一緒にご飯を食べて、一緒の布団に寝て、一緒に買い物に行って。  こんな生活が味わえるとは思ってもいなかった。 結婚生活は充実していた。 少なくとも私はそう思っていた。 だが、そんな生活は長くは続かなかった。  私は助手から教授に昇格し、生徒たちに授業をする立場になった。  前よりも忙しくなり、帰りが遅くなることも多くなった。  前のように彼女と一緒にいられる時間が減っていった。  それでも、私は彼女との時間を作るために

          おもちゃ箱 第49話

          おもちゃ箱 第48話

          私はそれから児童養護施設で育てられた。  施設での私はあまり周りと話をすることもせず、1人で本を読んでいることが多かった。  別に人見知りしていたとか、周りを下に見ていたわけではない。  単純に何を話したら良いのか分からなかったのだ。 何が人気で、どんなことで盛り上がるのか。  色々なことを制限されていた私には何もかもが分からなかった。  私が周りから孤立するのに1ヶ月もかからなかった。  それから1年も経たないうちに、私はある夫婦の里子となった。  その夫婦

          おもちゃ箱 第48話

          おもちゃ箱 第47話

          闇 「おもちゃのチャチャチャ、おもちゃのチャチャチャ、チャチャチャおもちゃのチャチャチャ……」 とあるビルの階段を時東聖陽は上がっていた。 そこは聖陽が偽名を使って借りているビルだ。 「そらにきらきらおほしさま、みんなスヤスヤねむるころ、おもちゃははこをとびだして、おどるおもちゃのチャチャチャ……」  聖陽は自分の家に警察が来ること、監禁場所がバレることを見越していた。  そこでこのビルの存在がバレないように、あらかじめビルに関する情報が書かれたメモや契約書などを

          おもちゃ箱 第47話

          おもちゃ箱 第46話

          敵地 <秀明 side> ガチャガチャ。 日「……鍵がかかってる。家にいないのか?」 ?「日下さん。ベランダの窓が開いてました」 日「……完全に誘われてるな」  時東聖陽の自宅に到着した俺は、部下たちと共に自宅周りを固めていた。  開いているという窓に近づいた俺は、ゆっくりと部屋の中を確認した。  電気は点いておらず、中に誰もいないことを物語っていた。 日「皆、油断するな」  俺は部下にそう指示すると、先頭をきって部屋に侵入した。 握っている拳銃に自然と

          おもちゃ箱 第46話

          おもちゃ箱 第45話

          絵「え……」 黒「どういうことだ。他に動機のある人なんて……」 奏「……1人だけいる」 奏は拳を握った。 絵「誰なんですか?」 黒「勿体ぶってないで教えてくれよ」 奏「……俺、この顔の嶋野亜依子さんを見たことがある。ある人の家で」 黒「えっ!?」 絵「ど、どこで見たんですか?」 奏「……時東先生の家だ」 黒「……はっ?」 奏「秀平、俺と時東先生の家に行ったときのこと覚えてるか?」 黒「あぁ」 奏「その時、写真が飾ってあった。時東先生と2人で写ってた」

          おもちゃ箱 第45話

          おもちゃ箱 第44話

          犯人の正体 黒「旨い!! ここのカレーは最高だな!!」 権「ハハッ。喜んでいただけて何よりです」  奏たちは現在、甚平に薦められた店で昼食を食べていた。 奏「(……なんか観光してるみたいだ)」  奏はそう思いながら、ちゃんと話を聞けるのだろうかと少し不安になった。 奏「あの、権田さん」 権「はい。なんでしょう?」 奏「権田さんは篠塚さんと親しかったんですか?」 権「親しかったというわけではないんですが、他の人よりかは話しているかもしれません。……実は私、高校

          おもちゃ箱 第44話

          おもちゃ箱 第43話

           次の日、朝早くに奏たちはある場所を訪れていた。  旅館の夫婦から亜依子が通っていた学校が分かったと連絡があり、奏たちは向かっていた。  話を聞かせてくれるという幼馴染みの人との待ち合わせ場所に向かうと、そこには1人の男性が立っていた。 奏「あの人かな?」 絵「かもしれませんね。行ってみましょう」  奏たちが向かうと、男性もこちらに気付き走って向かってきた。 ?「すいませ~ん!! あの、もしかして貴方方が電話で聞いていた記者の方ですか?」 絵「あ、はい」 ?「

          おもちゃ箱 第43話

          おもちゃ箱 第42話

           奏たちは、雅晴の同級生だった夫婦が営んでいる旅館を再び訪れていた。 夫「篠塚の奥さんのこと?」 奏「はい。何か噂とかそういうの聞いたことないでしょうか?」 夫「噂ねぇ……」 妻「街で偶然見かけた以外は特に目立った話も聞かなかったし、その時の女の人の顔も見えなかったらしいしねぇ」 奏「そうですか……」 奏は落胆した。 奏「(やはりそう簡単にはいかないか……)」 妻「あ、顔は分からないけど、名前が分かってるなら方法あるかも」 奏「え?」 妻「ほら、熊田くん。

          おもちゃ箱 第42話

          おもちゃ箱 第41話

          再び鹿児島へ 奏「……眠い」  奏たちは今、鹿児島の名物かき氷「白熊」を食べながら桜島を眺めていた。  前回よりも早い時間に鹿児島に到着した奏たちは、一旦休憩をすることにした。  奏の横では、美琴が幸せそうな顔をしながらかき氷を食べていた。  秀平はなんとかき氷を2個頼み、その1個をもうすぐ完食しようかというところだった。 絵「……良くそんなに食べられますね」 絵里加はそんな秀平を見て、若干引いていた。 黒「だって鹿児島になんて滅多に来られないんだぜ。存分に楽

          おもちゃ箱 第41話