悪夢に気づかない

 八月二十六日(金)福留

 私が幼い頃はクーラーなどなかったため、夏は扇風機で過ごすのが当たり前だったのだが、ここ病院では一日中クーラーがついている。機械の吐き出す冷風を浴び続けるのは体によくないのではないかと思うが、消すと隣の田渕さんがものすごい寝汗でうなされるので、我慢している。「今日はどんな夢」と聞いても教えてくれない。どうせまたイボ痔の夢だ。普段の行いが悪いから変な夢ばかり見るのだろう。私のように清廉潔白に生きろ、と言いたい。

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