復讐のことで頭がいっぱい

 八月十八日(木)野田

 どうかしているのは自分でも分かっている。何かに取り憑かれたように復讐のことばかり考えている自分が怖い。しかしトイレで、洗面台で、窓ガラスに映る右目を見ずにはいられない。そして次の瞬間には必ず、新井の顔が浮かぶ。

 やはりあの男に会って清算するしかない。決着をつけなければ、きっと何にも手がつかない。人は過去にけりをつけなければ前には進めない。俺は前に進まなくてはならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?