ある夏の日(1)
海に行く予定にしていたけれど、みんなダラダラしてなんともまとまりのない一日になった。
けれど、なんだか思い返すと良い一日だった気がする日だった。だから、どこかにまとめたくなった。
何となく筆を取り、出来事をつらつらとまとめることにした。全然面白い話にならないだろうし、文字通り長く冗長的になるだろう。
けれど、やっておきたいと思った。「やりたい」じゃなくて「やっておきたい」と思った。
朝7時40分。カーテンから外を覗くと青すぎる夏の空が広がっていた。
今日は友人たちと海に行く。
寝ぼけながら集合場所までの電車を調べると、わりとギリギリの時間であることに気づいた。
慌てて水着を履き、軽い化繊のシャツを着て、友達のメキシコ土産の頭陀袋に着替え、折り畳みのキャンプチェアとタオルを詰めて家を飛び出した。
駅まで歩きながら、「オンスケ」とラインを飛ばす。
これはぼくらの慣習だった。寝坊の多い僕らは時間通りに行動できていることを自然と報告し合うようになっている。
ところが今日は既読が付かない。
怪しいなと思いつつも、自分まで遅れてならぬと駅へ急ぐ。
目的地につくまでの、冷房の効きすぎた電車の中で、自分以外は遅れてくることがわかった。
時間通りについた待ち合わせ場所の駅の改札でぼくは待ちぼうけていた。
都会の駅とはいえ、まだ朝の8時半を少し過ぎたところ。静かなものだ。
一人は15分遅れて待ち合わせ場所にやってきた。
もう一人は車を出す係で、やっと連絡が着いたところで、たった今寝ぼけた声を聞かされたところだった。
とりあえず、集まった我々は朝マックで座って待つことにした。
マクドナルドは朝からそこそこの混雑だった。とくに中国人の観光客らしい団体が多くいた。
この駅の近くにはホテルが多いから、朝食を取りに来る人が多いんだろうと推測した。
自分は空腹なのか、そうでないのかもよく分からずマフィンを食べた。
朝マックの小判型の「芋」はいつ食べても異常に美味しかった。
遅れてきた友人に聞くと、ぼく以外の二人は昨日ゴルフに行っていたそうだ。
で、その後しこたま飲んで、その集大成がこの待ちぼうけということらしい。
僕もちょくちょく遅刻するタチなので、目くじらを立てることもないが、二人揃ってやんなよ、とは思った。
一時間ほど遅れて、車がやってきた。窓下に白のジープが止まる。
彼と会うのは一ヶ月ぶりくらいだったが、新しい車も相まってより久しぶりの感じがあった。
「これ、社用車なんだけどクッソ不便だから」
「え、そうなん」
ジープは会社の車だそうだ。窓は小さいし、ナビはどんくさいし、荷物は乗らないし不便極まりないそうだ。
僕らはそんな新しい車の話を聞きながら、海を目指して動き始めた。
(つづく)