優しさを抱いて生きよ
「好きこそものの上手なれ」ということわざがある。
好きなものには真剣に打ち込めて、上達も早いという意味だ。
これは体感的にもよくある話だ。
が、もう一つ深く「なぜその物事を好きになるのか」ということについて論じられることはほとんどない気がする。
僕はここ最近、それが気になっている。
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そこで生まれながらにして耳が聞こえない音楽家はいるのか?と調べてみたけれど多分そんな人物は存在しない。
同じくうまれながらに目が見えない画家もいない。なんとなく「そりゃそうだろ」と思うけど、これは面白いことだと思う。
これはつまり、
好き→上達
以前に、
(人より)できる→好き→上達
という形になっている。
人よりも音を細かく聞き分けられるからこそ、音楽を楽しむことができ、形や色を正確に把握できるからこそ表現できる。
であれば、他のことはどうか。
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僕個人的には、これは何にでも当てはまると思っている。
そして、これはとても怖い事実である。
いってみれば最初に「できる」がないと、その世界に入っていくことはできず、入れたとしても上達しにくいということだからだ。
この事実は「頭の悪いから勉強しなくなり、いい大学に行けないし、貧乏人になる」ということをサラッと肯定してしまうし、反転して考えると「恋愛を楽しめないやつはだいたいブスだ」と言えるようになってしまう。
考えれば「可愛い子には恋人がいる」というのが一般的な認識だから当たり前なんだけれど。
ただ、そうなると本当にこれまでの世の中は「無能な人間」に対して、うまく気配りができていたなあ、と思う。
乞食みたいな人もたくさんいたし、結婚できない人もいなかったんでしょう?
僕らはいつの間にそれができなくなったんだろう。
まさにノブリス・オブリージュだな、と思う。
僕は勉強もできないデブなので、本当に高学歴なイケメンは僕に対して優しくしてほしいと思う。