振り返れば、君はうつくし
大学時代の友人がとにかく「アーマード・コア」が好きだった。
ぼくはガス代が払えない生活をしていて、風呂に入りたくてよく彼の家に行きシャワーを浴びた。
ついでに飯もごちそうになっていたし、翌朝まで寝かせてもらっていた。
その御礼?に彼がアーマード・コアをプレイするのに付き合っていた。
自分ではできもしないのに、あーでもない、こうでもない、とアドバイスすると、快い友人はなぜか「たしかに」と納得する。
話し好きの僕らにとって、それはまさに肴だったし、実際ぼくは見ながら酒を飲んでいた。
4年間で彼がアーマード・コアシリーズの1から5まで、すべてのストーリーをクリアするのを見届けた気がする。
見せるやつも、見るやつも異常。これぞ、干からびるほど暇な大学生だからこそなせる業だ。
とはいえ、それで知ったアーマード・コアというゲームには本当に不思議な魅力があった。
ロボット作りはレゴブロックやプラモデルなんかの面白さがあったし、さらにはそれに搭乗するパイロットの背景を作り込む面白さがあった。
ぼくらは芸術系の大学生で、さらに作家志望だったから「このパイロットにはこういう設定あったらよくない?」とか、ありもしない設定を付け足しまくってゲームに興じた。
二人で創作した物語にジーンとしたことも少なくなかった。
アーマード・コアは僕らの青春の1ページだった。
そんなアーマードコアの新作が発売されるらしい。
当時の友とはまだ連絡を取りあえる関係だが、どこか成長しない彼に辟易して、最近は疎遠になりつつある。
とはいえ、これはいい機会だから発売したら買って、一緒にプレイしようと思う。