有意義なフィードバック。
コミュニケーションにおいては「聞く力」が重要であるとよく言われる。
この「聞く力」、捉え方によってはかなり広範囲の概念に展開することができるのではないかと思う。
もう1つ、私が大事にしようと思っているものが「フィードバック」だ。相手の話をしっかりと聞いた上で、相手に対してなんらかの反応を返す。それがフィードバックであり、それをなるべく有意義なものにできるようにしていきたいという思いがある。
この「聞く力」や「フィードバック」は、相手へ返す反応の種類によっておよそ3段階に分けられるのではないかと思う。
まず、第1段階は「丁寧なキャッチング」だ。会話においてはしばしば、話し手をピッチャー、聞き手をキャッチャーに例えることがあるが、ここではまずは「聞く力」の基本として、キャッチャーがピッチャーから投げられた球をしっかりと受け止めるように「丁寧に聞く」ことが重要だ。ここで必要なテクニックは、基本的には「相手が言ったことをそのまま返す」である。相手が言った内容を受け取ったことをしっかりと言葉にして伝えることで、話し手に一定の満足感を与えることができる。
次に、第2段階として「思考の整理」がありそうだ。丁寧に話をキャッチしてその相手の思いや狙いを理解することができた上で、もしその内容を整理して話し手に見せられる形にまとめたり、構造化しながら話を返すことができたら、それは話し手にとって有意義なものになる可能性がある。特に、話し手が悩みについて話していて、それを第三者の目線で客観的に整理したものを見て発見になることもある。
最後に、第3段階として「新たな視点の提示」がありそうだ。言い換えれば、「話し手に新たな知的刺激を与える」ことだ。これはいわゆる「アドバイス」とはまた異なる概念だと私は考えている。第2段階で話し手の話の内容を聞いてその脳内を構造化することができて見せられる状態にもできる上で、さらにそこから聞き手なりの新たな構造を考えて話をするとか、別の角度からの視点で話すとか、そのような「話し手にとっての気づき」になるようなフィードバックができたとしたら、それは非常に有意義なものになるのではないかと思う。これは例えば、話し手の話す個別具体的な話から「一般的な知見を導き出そうとして聴き、それをフィードバックする」ことなどに該当しそうだ。
これができるようになると、優秀な聞き手になれる。話し手が考えている範囲よりも外から何かを言えること、新たな知的刺激を与えられること、が大事なのだと思う。今振り返ると、私が育ててもらった研究室の先生方も皆、そのようなフィードバックを与えてくださっていたと思う。ありがたい環境だったな。
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