恵贈御礼と感想文:インストラクショナルデザインの書籍
恵贈御礼と感想文:インストラクショナルデザインの書籍
教育工学(Human Performance Improvement, Instructional Design)とサービス工学に基づいて事業目標を達成する教育・サービス・業務の設計を行う事により、人・組織の生産性向上を目的とした支援をされているリープ株式会社の 荒木 恵さんが執筆された『インストラクショナルデザイン 成果から逆算する“評価中心”の研修設計』をご恵贈いただき完読しました!
これまで私はMR研修や同行、看護師研修、リーダーシップ研修、BtoB営業研修、管理職研修等もしてきましたので、研修には関心が高いです。やってきたことの振り返りにもなり、新たな気づきも多くいただきました。
ご恵贈いただき誠にありがとうございます!実践していきたいと思いますし、より学びを深めたいので、また荒木さんやリープ株式会社代表の 堀 貴史 さんと飲みに行きたいです!
【感想文】
1. はじめに
企業経営や事業成長には教育が大切。ただ、教育が手段ではない。人材育成は、事業戦略側から考えなければならない。ここがまずはこの本のベースであろう。eラーニングもうまくはいっていない。そして、日本ではまだKKD(経験・勘・度胸)、積み上げ式の研修が多く、システマティックな教育、成果から逆算する研修が進んでこなかった。これは先日、ニュージーランド人とお話しする中でも感じたこと。温かみや根性重視で成果を求めることや効率を求めることをしてこなかったため、今があるのではないだろうか。(ただ、私は日本が好きだ)
私はID(インストラクショナルデザイン)の考え方を知ったのは、10年位前だ。外資系製薬企業のクライアントの研修部の方にお勧めされた本がIDだった。10年が経過し改めて読むとこれまでの経験値と合わさって理解が進んだ。
2. HPI→「ルーブリック」←ID
2-a.ルーブリック
「ルーブリック」が、HPI(Human Performence Improvemnet)とIDを有機的に結びつける役割を果たしてくれている。と著者は語っている(P.159)。結構、ここがミソな気がしたので、最初の感想文の書き出しは”HPI→「ルーブリック」←ID”にしたい。
「ルーブリック」は、パフォーマンスゴールを具体的に設定し、それを評価するためのもの。ルーブリックの詳細はP.50に書かれている。
2-b.HPI
HPIは、「社員のパフォーマンスにおける問題とその原因を把握することで組織の課題を見出し、改善しながら事業目標の達成に向かって進んでいく」手法(p.38)。事業目標を目的に置くこと、そして、Gap分析をすることが重要だ。なぜ研修をするのか(Why)が抜けていてはならない。
ATD(Association for Talent Development)が推奨する6つのプロセス(P.40)。
ステップ1:ビジネスゴールと理想的なビジネスパフォーマンスの具体的な定義(ビジネス分析)
ステップ2:あるべき姿(理想)と現状のギャップの明確化(ギャップ分析)
ステップ3:ギャップを生じさせる根本的な原因分析
ステップ4:分析した原因を解消するための適切な施策の選択
ステップ5:施策の実施
ステップ6:効果検証
これは納得だ。いきなりステップ5から始めることも多いがそうではなく、最初に分析とGap分析をしないといけない。
HPIの世界では、パフォーマンスにおける問題は個人に起因するものが18%、組織に原因があるものが82%だと言われている(P.54)。だからこぞeラーニングのような「教育施策」よりも、組織内の体制整備や支援方法の整備が課題解決につながる。パフォーマンスギャップは主に6つあるが、私が注目したのは、「構造/プロセス」のギャップ。業務プロセスが明示されてないことに起因する問題。商談プロセスの定義など大切だと実感している。
2-c. ID
IDについての詳細は、P.64以降に記載されている。積み上げ式ではなく「出口から組み立てる」ことの意義を鈴木克明先生の「ID5つの視点」などを用いて記載あり。最初に出口(学習目標)を設定し、入口(現状)=受講生の特徴、知識やスキルレベルの把握などに続いていく。ここでルーブリックを活用していく。
HPIとIDのつながりをここで感じた。
IDについては、ガニチェの9教授事象=導入・展開・まとめや、ARCSモデル=Attention・Relevance・Confidence・Satisfaction、ID第一原理=問題・活性化・例示・応用・統合などの理論が続いて紹介された。IDの特徴は評価だろう。プログラム設計時も、学習段階でも常に評価を中心に考えられている。評価と育成を分離させないようなモデルも記載あり。
リープ株式会社はこの評価というものを科学的理論とAI等の最新のテクノロジーを融合させながらサービス展開されているので凄いな~と思う。
効果検証ではカークパトリックの4段階評価モデルが紹介されていた。スキルが身についただけでなく、どう仕事に活用したか?、教育が組織と組織の目標にどのような効果をもたらしたか?など売り上げ、シェアなどのビジネス指標も用いることの重要性を再認識できた。
Chapter 4には具体的な事例が3つ記載されている。
3. まとめ
KKDや積み上げ式ではななく、科学的な理論に基づき成果から逆算する研修設計を学ぶことができた。どうしても日々の業務や日常に追われると手段が目的化してしまう。それは、組織においても個人においても言える。このような書籍もたまには読みながら、組織や自分自身の育成と成長を行っていきたい。と書くと目的を見失ってしまうことになるので、再度、組織としてどこに向かうのか?個人として何がしたいのか?なぜするのか?を改めて自問自答してみたい。
P.153にも記載ある通り、「自らゴール設定してエンジンを回す主体性が必要」だ。その通りだ!
今日は久しぶりに何もない1日。ゴールを検討し、設定したい。そして、エンジンを回すためのガソリンをチャージしたい。酒でも飲むかw
改めて素敵な書籍を恵贈いただいた荒木さんに感謝いたします。おかげさまで自分の中でいろいろと言語化できることができましたし、週明け以降、やってみようかなということが思い浮かびました。
最後まで投稿を読んでいただいた皆さんもありがとうございます。おすすめの1冊なので、URLからポチってみてください。
良い休日を。
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