作詞概論#2
今回はとても大事なお話です。
「作詞をする上で大切なこと」をまとめてます。
1. 歌であること
作詞は歌であることだって?
当たり前ですやん!ハッハッハー。
と思った方。ちょっとお待ちを。
作詞をしたことありますか?
20作品くらい作るとわかります。
作詞をしだすと最初に陥る罠。
綺麗な言葉、かっこいい言い回し、素敵な言葉使い。
これに終始してしまい「歌詞になっていない」作詞になることが多々あるのです。
歌詞には常に「リズム」と「メロディ」がつきます。これを意識しないで書くと、歌にした時にヘンテコになります。
これが「歌詞になってない」作詞です。
言葉の区切りでリズムを合わし、イントネーションはメロディの音程の上げ下げをも意識する必要があります。
「言葉の意味」と「音の響き」のバランス。
作詞は常に「意味をとるか、響きをとるか」の選択の連続なのです。
例えば...
こんなメロディがあったとします。
4小節の中に音符の数は15ですね。
そこに下記のような2パターンの歌詞を考えました。
どちらも字数は同じ15文字。
譜割りと同じ数です。
ではメロディに合わせて見ましょう。
いかがですか?
どちらの方がメロディに合っているか。
より「歌になっているか」わかりますか?
チ、チ、チ、チ、チ、チ...(Thinking Time)
チーーーーン!
もちろん下の方ですね。
上の方はメロに合わせて歌うと「いちに〜 ちじゅう〜」と聞こえます。
つまりヒアリングでは「いちに」という言葉と「ちじゅう」という言葉に別れてしまいます。
これでは意味のない単語の羅列。
一つの意味をなす単語の間に休符が入って途切れてしまうと、途端に意味が伝わりにくくなってしまいます。
メロディの切れ目と言葉の切れ目に注意。
そこを合わせると言葉の意味が伝わりやすくなります。
大事なのは言葉の羅列ではなく「歌であること」です。
2. 心で書くこと
心で書くとはどういうこと?
奇麗な言葉、文学的な表現、独特の言い回し。カッコいい表現を目指すのもありですがカッコつけすぎはよくない。
まずは「心から発した言葉」であることが重要です。
歌詞は小説ではありません。
冗長な文学的な表現は必要ありません。
感情を伝えることを優先します。
例えば...
失恋の歌。恋人が出て行った...
そんなシチュエーションで歌詞を書いたとします。
さて。上の歌詞と下の歌詞。
どちらの方が感情が伝わってきそうですか?
チ、チ、チ、チ、チ、チ...(Thinking Time)
チーーーーン!
もちろん下の方ですね。
時にはシンプルにストレートに。
主人公の感情が伝わるように。
短くても簡単でもいいのです。
心から発した言葉は、心を揺さぶります。
3. 共感できること
共感できること。これこそ作詞の真髄。
ここ、テストに出ます \_(・ω・`)
大事なとこなのでもう一度。
作詞の真髄は「共感できること」
ポピュラーミュージックとは、まさに大衆、庶民の音楽。爆発的にヒットした曲はすべて「庶民の共感」を得た歌です。
誰にもある経験、気持ち、喜び、悲しみ、怒り、葛藤、を歌詞で表現するのです。
「もう恋なんてしない!」なんて思ったことありませんか?
「もう恋なんてしない...な〜んちゃって!言わないよ、絶対!」
なんてことも?
花屋の店先に並んだ花を見てホッコリしたことは?
涙がこぼれないように上を向いて歩いたことは?
人生の何気ない1ページ。
それを切り取った風景。
歌を聞いた時。
人はそこに自分を重ねることによって、歌の世界に入り込み感動します。
共感することで歌を受け入れます。
たとえば...
自分が大好きな歌を1曲思い浮かべてみてください。
さぁ、浮かべましたか?
どんな曲で、どんな歌詞ですか?
おそらく。。
魔法少女になったり。巨人になったり。
超能力が使えたり。ゾンビと戦ったり。
そんな歌詞ではないはず!
作詞にエンタメ要素はいりません。
オチや大どんでん返しも起こらない。
地球存亡の危機を救う主人公でなくていい。
少し波風はあっても普通の人の普通の日常。
仕事に悩んだり、恋に悩んだり。
落ち込んだり、また立ち上がったり。
毎日を精一杯生きる。
社会の一員。そんな普通の人が主人公。
共感できる歌、とは?
誰もが主人公になれる。そんな歌なのです。
illustration: のんち(@Nonchi_art)
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