【マーケティングのお話】脳に装備している「手動運転と自動運転」
はじめに
どの業界においても商品の売上や認知を上げるにはマーケティングが重要です。
しかしマーケティングは常に進化しており複雑で、わかりにくいと思う人は多いと思います。
この記事では、広告代理店で日々マーケティング現場と向き合っている筆者が、マーケティングの基礎的な考え方をより分かりやすい形でお伝えしようと思います。
重要な事は「人間の脳の理解」
現代においてマーケティングといえば、「デジタルを活用したCRM活用」とか「O2Oマーケティング」だったり、それっぽいカッコいい響きの手法が頻出しています。
しかし、どんな最新のマーケティング手法であろうと、その本質で共通している事は「人間の脳の構造」に基づいた考え方から来ているという事です。
結局、モノを買うのは今も昔も脳の構造が変わっていない「人間」ですので、どれだけ多岐に渡るアウトプットのある現代においても、おおもとは「人間の脳」をベースに考えられているんですね。
一見当たり前のようですが、皆さんがマーケティングを理解していくには「人間の脳について理解をする」という視点・考え方を忘れないことが重要になります。
脳は基本的に面倒くさがっている
脳はとても優秀で、何か考えたり行動する時は必ず脳から指令が出ています。人間は1日に脳から数万から数十万回の意思決定をしているといわれております。
人間の活動内におけるその働きぶりは相当なもので、1日のエネルギー消費量の約20%を脳が消費しているといわれています。
一方、脳の重量はというと、人間の総重量の約2%しかないのです。
脳の重さは成人男性1350~1500g、女性1200~1250g
参照元:東洋経済オンライン「「脳」の真実をどれだけ知っていますか」
それだけ小さく軽い脳が、1日に膨大な量の意思決定を動かしているのです。
その為、脳は基本的に「少ないエネルギーで効率的に働く」事を好みます。
情報をずっと論理的に処理すると、脳はパンクしてしまいます。脳も生命力が備わっているので、生命を脅かすような行動は本能的に回避する働きがあるんです。
ですので無駄な情報は「無視」をしたり「忘却」していくのです。
自動運転と手動運転
脳内の働きについては、よく運転に例えられる事があります。
先ほど申した通り、脳は基本無駄な働きをせず、目に入る無駄な情報を「無視」して「忘却」していきますが、運転で例えるとこの時の脳は「自動運転モード」になっています。ハンドルを握っていない、いわば意識を集中せず行先へ向かっている状態の事を指します。
一方で、重要な意思決定に直面した時、人間は脳を集中させて論理的に考えます。この時はいわば「手動運転モード」となっており、ハンドルをしっかり握り目的地に向け運転している状態となります。
マーケティングでは「手動運転のタイミングを狙う」のが鉄則
マーケティングでは、「顧客がいつ『自動運転』と『手動運転』を使い分けているか」を理解する事が重要です。
そして顧客の脳が「手動運転」の状態になっているタイミングでサービスや商品を売り込む必要があります。
逆に、あなたがサービスを売り込もうとしている相手が「自動運転」に入っている状態であれば、その人は無駄な情報をスルーしている状態です。
あなたがいくら時間をかけ素晴らしい広告や情報を発信しても、「相手の心には刺さっていない」という結果になります。
相手が「自動運転」である状態を「手動運転」に切り替える方法もありますが、面倒くさがっている相手の脳のスイッチを無理に手動運転に切り替える事はとても難しく、非常に大きな労力を要する為、これはおススメできません。
あなたは、相手の需要や課題が高まって「手動運転モード」に切り替わるタイミングをしっかりと理解してプロモーションする必要があるのです。
「手動運転」のタイミングとは
商品やサービスが受け入れられやすいのは、相手が「手動運転」のタイミングでアプローチをする事だと説明をしました。では一体「手動運転モード」になっているタイミングとはどのようなタイミングなのでしょうか。
大きくは下記の2点になります。
①不便や課題を感じ需要性が高まる瞬間
②買い物のスイッチがONの時
①不便や課題を感じて需要が高まる瞬間とは
例えば、お昼の12時になった時に「お腹が空いた」と感じる瞬間や、
冬になって肌が乾燥してきて「乾燥肌がつらい」と感じるような瞬間です。
「乾燥肌がつらい」と感じた瞬間に、それはイコール「乾燥肌をなんとかしてくれる商品が欲しい」という需要性が高まっている瞬間です。
化粧品メーカーであれば、冬のタイミングでテレビCMを出したり、お試しサンプルを配ったりしてプロモーションを仕掛けますし、
お肌に関する情報を発信している方であれば、このタイミングを狙ってSNSでお肌悩みに関する内容を発信すると、ユーザーにとっては「必要」な情報として受け入れられやすいのです。
②買い物のスイッチがONの時とは
2つ目については、相手が特定の需要を感じていなくても「何か買おう」と意識しているタイミングです。
具体的には「EC」「ショッピングセンター」や「スーパー」といった店舗に入っている時、そして店内で何かを購入しようとしているまさにその瞬間のタイミングです。
ショッピングセンターにいる時は何かを買おうと「買い物スイッチ」がONになっています。しかも人間は、もともと買おうと思っていなかった商品を買ってしまう「非計画購買」が買い物全体の7割であるという結果も出ています。
「非計画購買」とは
入店する前には購入計画のなかった商品を結果的に購入してしまうこと。いわゆる純粋な衝動購買(衝動買い)のほかにも、次のような非計画購買のタイプが存在する。家庭内の在庫切れや広告などを店内で思い出すことで生まれる想起衝動購買、店員の推奨による提案受け入れ型衝動購買、特売やクーポン等の条件次第で購入予定品目を店内で決定する計画的衝動購買など。いくつかの調査によれば、大型スーパーでの日常的な買い物における非計画購買品目数の割合は、7〜8割ともいわれている。また、店内の滞留時間が長くなると非計画購買率が上がり、結果として、客単価も上昇する傾向がある。そのため、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、客導線を長くするような売り場配置を考えたり、付帯施設を充実させアメニティーを高めたりすることで、無意識のうちに買物客の滞留時間が長くなるような工夫がなされている。
(高橋郁夫 慶應義塾大学教授 / 2008年)
なので、このタイミングであなたの製品やサービスを売り込む事で、顧客の購買意欲を駆り立てることが出来る訳です。
まとめ
初回はここまで、今回は脳の基本的な構造についての簡単な説明となりました。
・人の脳はエネルギー効率が悪く、無駄な情報は無視したり忘却したりする。
・その為、脳の活動には「自動運転」と「手動運転」のモードがある。
・マーケティングでは、相手が「手動運転」のタイミングで商品やサービスのプロモーションを仕掛ける事が重要である。
・そして「手動運転」のタイミングというのは、
「不便や課題を感じ需要性が高まっている瞬間」や「買い物のスイッチがONになっている時」である。
今後も定期的に、マーケティングについてお話をしていこうと思います!
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