人生ではじめて編曲した話 ~レディバグ~
2024/12/30にようやく公開となりました。
クラリネット8重奏でのレディバグ
(是非イヤホンなどの良い環境で聴いてほしいです)
実は私が人生で初めて編曲をした曲です。
折角作成~公開されたのだから色々書こうじゃあないか
事の発端
そもそも、私がこの曲を書くことになったのは
2024年5月24日(金)までさかのぼります。
そう、
Bloom Wind Orchestra Opening Concert(以下、オプコン)の
前日練習の時のことでした。
↓良かったらみてね↓
同じクラリネットパート 兼 運営の"るぃーんさん"からの一言
る「ともやんさん、レディバグ好きですよね(唐突)」
え、あ、はい!
ドリビリ104期Ver.の音源が出てから
レディバグが好きすぎて
当時毎日のように聴いてたので
割とみんなから、そういう認識されてたと思います。
る「ちょっとレディバグを収録して形にしたいなと思ってるんですよねえ~」
ほ、ほぅ……
僕「え、それ吹くってことです?まさか編曲ってことですか…?」
る「はいぃ…..」
なんてこった
編曲なんてしたことないし
いやでも、この曲本当に好きだから
折角お話頂いたし….もう誰にも渡したくねえなあ
僕「わ、分かりましたあ」
る「ありがとうございます!!!」
僕「編成とか決まってるんですか?」
る「クラリネットアンサンブルです!!!」
とりあえず着手しようとした
見事5/25のオプコンをやり終え
そして、次の曲が始まるのです。
すぐに楽譜作成ソフト(MuseScore4)を立ち上げました
最初は
E♭クラリネット
B♭クラリネット×4
アルトクラリネット
バスクラリネット
の想定で開始しました。
当時アルトクラリネット持ってる人なんていなかったのに
るぃーんさんがオプコンの打ち上げで
「良い感じの値段で売ってたら欲しい!!!」
って言ってたので
勝手にるぃーんさんがアルトクラを買う前提で組みました(カス)
(お酒の場って怖いですね)
いったい何から始めれば…….
音を取ることをするのは分かってるけど
・メロディですらリズムがすごい難しい
・ベース何してんだこれ
・どのパートに何を吹いてもらおう
・アンサンブル曲としてどういう表現がしたいの?
結局
なーーんもわからん。
問題は山積みです。
他の編曲者陣のことは分かりませんが
私は対象のモノのことが色々分かってないと
表現的にもモチベーション的(主にこっち)にも難しいところがあるなと感じました。
なのでとりあえず
レディバグってそもそもなんなんだ?
というところからスタート
実は、まとまらなくて世に放っていないんですが
ドリビリ104期Ver.が発売した時(2024年4月末くらい)に書いた
レディバグについてのメモを読み直しました
レディバグってなんなんだ?
レディバグ(英:ladybug)はてんとう虫の意味🐞らしいですね。
曲を聴いて
あ!てんとう虫っぽい!
と私はならなかったので
きっと何かをてんとう虫に例えてるんだ…..
なぜてんとう虫(ladybug)という名前なのか
日本語のてんとう虫は漢字で書くと"天道虫"となって
「お天道様の虫」という意味を持つっぽいです。
下記の習性の通り「常に上に向かい続ける習性」があるため
太陽に向かって飛んでいくさまから、
太陽神の使いの虫であると考えられたとかなんとか…..
英語のladybug に関しては
直訳すると"淑女の虫"という意味で
ここでいうladyとは聖母マリアを表しているらしく
聖母マリアの絵をみると赤いマントを羽織っていることが多いため
このような名前が付けられたとかなんとか…..
どの道、日本語にしろ英語にしろ
かなり良い虫とされているということが分かります。
あとは余談ですが
ジョジョ5部の主人公"ジョルノ・ジョバーナ"が
お守りとして身に着けていた
てんとう虫のブローチことも思い出しました。
てんとう虫の習性
てんとう虫と言っても様々な種類が居ますが
特に興味深かったのがこの記事
ある種類のてんとう虫は上に登っていく習性があるのだとか
その時の結論
とにかく
虫苦手な私でも、てんとう虫だけはすごく好印象!
(感想が薄い!)
てんとう虫の習性や名前の由来から
すごいポジティブな曲なんだよな
その上あまり大きな虫でもない
小さいけど上を目指す
良い意味で今までのDOLLCHESTRA感とはまた違う雰囲気
やっぱり
徒町が加わったからこそ完成した曲なんじゃないか?
もしかして徒町のことを歌っている???
当時
MVと活動記録第2話「踊り続けよう、君が見てる」の前半が
公開されていたか….くらいの時期だったので
レディバグはおろか、徒町のこともあまり詳しく分かっていない状況
活動記録2話後半が公開された
5/27に後半が公開されました。
号泣
と一言でいうのは簡単ですが。
物語の中で作られる曲は
レディバグではない新曲の可能性も当時はあったので
まさか
レディバグの作詞が弊推しの"村野さやか"だとは思わなかった。
この曲に惹かれたのは運命……..(調子にのるな)
うわ!!!!
そういうことだったのかああああああああああああ
わ!!!わ!!!!
泣いちゃった…..
徒町のことを歌っているのは一致していたけど
村野の視点がすごい入ってるんだ…….
「新たな感情 バグのようね」
や
「大丈夫 また言える I'm ready」
などの歌詞からladybugという意味もあり
104期ドルケの始まりの曲なので
Ready Bug
的な意味もあるのでは????
(いや、知らんけど)
それを踏まえて
曲を聴いたり、MVを見たり、ずっとしていると
ここ、"ああしたいな"、"こうしたいな"がじわじわと湧いてきました。
編曲しだした
表現として
ああしたい、こうしたいはあるものの
シンプルにリズムとかコードとか難しすぎる
なんやねんこれ
打ち込んでて何拍目の何なのか、わけ分からんくなってた
とりあえず色々楽譜書いていってちょうど1番を作り終わったあたりに
一つの朗報が入ってきたのです。
バスクラリネットもう一本増えるかもしれん
はぁ???(歓喜)
団内のバスクラリネット奏者である
"ゆうづる"くんの同級生のオタクということで
"うおもみじ"さんが入るかも???
というお話が入ってきました。
最初は見学でうちに来てくれましたが
最終的には入団する流れになり
今なら多分間に合うし、
しかも徒町が推しということで
こっちも吹いてほしい気持ち
ということで
ぽちっ!!!
なんやねんバスクラ2ndって
聞いたことないわ
とは自分でも思いつつも、
"存在証明"をするこの曲において
個々で楽譜を持たせたかったというのが自分の中にはありました。
ただ2ndというくらいだから
1stと2ndで違いをつけたいなあ
3度にしてハモらせるか…….
どうしようか…….
まさかの8度(オクターブ)
バスクラリネットにもいくつか種類があって
ゆうづるくんはショート管
うおもみじちゃんはロング管
を使用しています。
簡単に言うと
ロング管は名前の通り少し長い楽器なので
ゆうづるくんの楽器より下の音域が出せたりするわけです。
じゃあロングの方が音域広いからいいじゃねえか…..
というわけでもなく
お互いの楽器にしかないメリットがあります。
とりあえずオクターブで合わせることが出来ることを知り
るりめぐを見る安養寺のように合掌
いっちょやってみっか
ロング管すげぇよ
今まで書いてたベースラインの
1オクターブ下が入ったことで
曲の迫力が何十倍にも跳ね上がりました。
まだ演奏もしていないのに
サンプル音源だけで鳥肌が立ちまくり
1,2日で2ndを現状完成していたところまで持ってくることが出来ました。
そんな経緯もありつつの出来た曲です。
収録当日(2024.10.27)
朝9時に集合
天候には恵まれていましたが
前日が丸一日Bloom全体の練習だったこともあり
疲労はまあ残っていました…..
いや、もちろんやる気は十分にありましたけど。
収録した場所は秋葉原少ししたところのスタジオ
実はBloomのみなさんとの初合わせもココでした。
そんなところで自分にとって大切な曲を収録できるのは
本当に感慨深いものがありました。
編曲意図や収録のお話
全体的に
全体的にこだわった
編曲ポイントは2つ
(単に自分の癖かも知れませんが)
収録ポイントは1つ
まず1つ目に
クラリネットアンサンブルでしかできない良さが
原曲通り打楽器を入れたり
ベースラインなんかを動かしていると
演奏難易度は度外視しても
激しすぎる気もしていて
例えばAメロに入る前は打楽器がいない分
主旋律っぽいところ以外はハーモニーで伸ばしたりして
クラリネットらしさを演出できればなあと
2つ目に
キメたいところは極端なくらいにキメる!
です。
例えば1番サビ(1Sと書かれたところ)の1小節前
デン!デン!デ!デン!(原曲0:39付近)
とか
23小節目4拍目の(Can Iの部分)8分音符などなど
こういったキメたいポイントは出来る限り全員で演奏するようにしました
(正直こだわったというか自分の好みなのかも知れませんが)
最後にテンポ
これは収録時に決まったこと
楽譜には原曲通り130で記載していたテンポですが
実際に演奏してみて
難易度的にも雰囲気的にも
テンポを落として演奏した方がよくね?
ということにパート内でなり
テンポを落とすことになりました。
おかげさまで
原曲や他のアレンジにはない
優雅なDOLLCHESTRAが
出せたんじゃないでしょうか
イントロ
イヤホンで原曲を聴いてる方はご存じかもしれませんが
イントロのメロディ(タララタラララ)が
左から右に行って聴こえたりするんですよね
それを表現したくって正直吹きづらいのは承知の上で
タララタラララの"タララ"と"タラララ"を
別のパートで分けて書いたりしました
アンサンブルは指揮者がおらず
出だしはお互いのブレスでスタートするので
非常にやりにくかっただろうなあと思います。
だんろさん(1st)とわっちさん(4th)本当にお見事でした。
この書き方は出来るだけやってしまっているので
ところどころに出てきます
ホントスミマセン
原曲ではワンフレーズ終わると
一気にドラムとかベースが入ってきて迫力を増すんですよね
(原曲0:05あたり)
今回のアンサンブルでは
そのタイミングで全員に登場してもらいます。
早速うちのクラパ(クラリネットパート)を魅せつけちゃえ!
という想いです。
サビ(とその直前)
先述したデン!デン!デ!デン!(原曲0:39付近)の部分
自分が編曲時に想像してた以上のキレ感が出せていたと思います。
デン!デン!デ!デン!直後
全員が一瞬何も吹かない"間"
からの
Can I See~♩
とサビへの空気の切り替えが最高に良いんです。
楽譜上はかなり大きく強く吹くように書いていました。
収録時もここどういう風にしたい?って話になりました
正直、編曲時の記憶が吹き飛んでたので
一度原曲を聴いてみたり話し合って
最終的にチームで決めた形がこれです。
最高にアンサンブルしてる瞬間ってこういうのだよなあ
またサビに入ってからは
ピロピロ細かく動くチームと
和音を太く鳴らすような土台チームがある編曲にしたので
太く軽快な感じ出てきたんじゃないかなあと思っています。
そしてCan I See ~♩からワンフレーズの終わり
いつか叶うと言い聞かせて~♩ の 最後の"せて"の部分と
消えない~♩の"消え"の部分は
ほとんどのパートが同じ動きをしています
ここもキマっててカッコいい
先述したとおり
この曲はキメるポイントがいっぱいあります。
2番Aメロ
みなさんご存じの通り
レディバグは1番と2番でAメロが全く異なります。
Aメロって呼び方で良いのかも分からないくらい違います。
内容としては
”全部がもし勘違いで~”という出だしから始まるので
少しダークな雰囲気
2小節間の1拍目頭にズン!!と来るように
"泣く夜が来るとしても~"は
歌詞的にそのダーク感を否定する一歩目の雰囲気があったので
"しても~"の部分は上のハモリつけて、
1拍目は伴奏を消すことによって
ほんの少し光が差すみたいな雰囲気にしました。
2番Aメロは原曲の歌い訳が細かく
個性豊かな3人で歌ってるんだ!という雰囲気が出したかったので
全部違う楽器で回しました。
ここの編曲意図は収録時にもお話ししてて
みんなから「思想…..」って言われました笑
まあ
こんな細かくてよく分からないメロディ回し
普通に考えたらまあしないでしょうけど
ドルケが好きだからこそできた編曲だと思います。
間奏(2番サビ終わり~Cメロ入るまで)
団内でも何人かに特に評価していただけたポイントです。
個人的にも結構お気に入りポイントなので嬉しかった….
この部分は編曲者によって
一番個性が出やすいところじゃないかなと思います
連符が吹ける・音域が広い
様々なメリットを持ったクラリネットという楽器
クラリネットの良さやおもしろいところって何だろうって考えた時に
個人の意見としては同族アンサンブルの美しさかなあと思いました。
どういう時が美しいと感じるかというと
やっぱりハモリや和音を作っている時が個人的には好きなんです。
暖かいし曲によってはおしゃれな感じにもなります。
※あくまで個人の感想です
そういう想いもあって
特にクラリネットらしさが出てたんじゃないかなあと思い
個人的にも気に入っています。
あと間奏に入る前の
"明日へ導く光に変わるの~"の最後の伸ばしは
原曲通り長めなのですが
あの演奏の方法のすばらしさ
明日へ導く光に変わるのぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお
みたいな吹き方エグイて
(おそらくだんろさんだと思われ……合掌)
Cメロ
Cメロってどの楽曲においても
曲の本質に迫るような描写があるんじゃないかな
って感じることが個人的に多い印象……
レディバグにおいては
"自分という存在証明だから"の部分が
特にそれを表しているなあと感じます。
このレディバグってBloomの中では
今回のものを合わせて現在3種類存在します。
11月にStreet×Fesで披露されたサックスアンサンブルのレディバグ
1月にGrateful Concertで披露された吹奏楽としてのレディバグ
そして今回の
プレイリスト企画としてのクラリネットアンサンブルによるレディバグ
一番最初にレディバグを編曲するのが決まったのは
実は今回の自分のレディバグだったりもします。
あとから色んなレディバグが生えてきて
自分以外のレディバグ編曲者はかなりの強者揃い
初めて編曲をする自分にとって
少しのBSSと勝てるわけねえじゃんの感情で
投げ出しそうになった時期(8月末くらいだった記憶)もありました。
"でもこの曲好きなんだよなあ"
と
周りの方々の支えもあって
自分にしか書けないレディバグ書くんや!!!
という勢いで
"自分という存在証明だから"の部分には
クソデカ感情とともにクソデカ音量記号を貼り付けました。
結局一番伝えたいのはここなのかも知れません
ラスサビ
ラスサビ前の
"高く飛ぶわ 羽を広げて~"あと
原曲ではドラムなどの打楽器が
暴れてラスサビに入るのですが
今回はそういうことは行わず音を伸ばすだけにしました。
しかしアンサンブルならではの
個人的推しポイントは
そこに「スーハー」とブレスの音が入っていることです。
このスーハーに合わせて
8人全員がデン!デン!デ!デン!とサビに向かっていくわけです。
音楽においてブレスがどれだけ大事か…….
自分の心って書いて"息"ですし
これひとつで8人全員の向かう方向か決まるくらい大事
それが音源として載っているのが推しポイント
そしてラスサビ入り
早速、飛びポ
わっちさんのアドリブでの下降グリッサンドもあり
かなり良い感じに
体力もかなり消耗しているにも関わらず
最後まで優雅にみんなで吹ききることが出来ました
(吹き終わった後はもちろん疲弊していたけれど)
特に本当に一番最後の音はE♭クラ(Li-manさん)
ひとりで終わるので
プレッシャーに負けず
良く最後まで吹ききってくださった…..
最初は
Bloomの他アレンジVer.に対して
ほんの少しだけむむむとしていましたが
「同じ夢を見てると気付けたの」
っぱこれなんすよね
レディバグなんてなんぼあっても良いし
でも自分にしか出来ないレディバグがある。
みんな最高のレディバグを作りたい
仲間だけどライバルみたいな良い意識で最後の方は書けたと思います。
バスクラの二人が馬鹿
最後にこれは言いたい
いや、もちろん褒めてます。
音の高さが違ったり、
連符を2人で分けて繋げられるようにしてみたりしましたが
鳴らす音の形、連符の受け渡しなどなど
もはや全てにおいて
彼らのコンビネーションが本当に素晴らしい。
高校の頃から一緒に吹いてるだけある。
二人の演奏を
聴いたときに僕の中の安養寺が暴れてました。
バスクラは下二段になりますが
例えばこんなの書いてました。
バスクラ一本で吹いてるだろこれ
ってくらい揃ってる
ほんと意識して皆さんもう一度聴いてみてください
バスクラ一本にしか聴こえないけど
ちゃんと分厚いから。。。。
収録をしてみて
8人全員で合わせるのも、この収録当日が初めてでした。
なんならメンバーによっては
"初めまして"もいるような状態
朝9時から13時の4時間でここまで出来るのか…….
皆さんがほんと頼もしい
収録時って本来
吹かない人が客観的に聴いてくれていたりも
するんですが
今回は「まあクラパなら放置してても大丈夫やろ」と言われ
8人だけで最後までやりきりました。
4時間もの間
ずっと良い空気感だったと思っております。
自分の書いた楽譜が形になるのって
こんな気持ちなのかあ……
収録の間の休憩中
ずっと寝転んでいました
眠いのもありましたが
目を潤わせてしまいそうで上を向きたかったのもあります。
ありがたいことに
当日中に録音した音源を共有してくださいました。
人前では泣きたくないので
家に帰ってイヤホンをしながらいっぱい泣きました。
実際の収録時は床とか少し振動してたくらい
迫力のある演奏でした。
生で聴く音楽って
音も良いんだけど
空気や床なんかの物理的な振動感とか
人がいるから出てくる会場の温度感とか
そういうのも重要なんじゃないかなって個人的には思ってます。
本や漫画を
"電子書籍で読む"のと"紙で読む"違いと同じくらいだ思ってます。
(果たして伝わる例えなのか?)
録音なので
そういった生物(なまもの)感がどうしても伝わらないのは
むず痒いところです。
絶対いつか生で演奏したいです。
(言うだけタダ精神)
クラパもう少し自分のわがままに付き合ってください。
最後に
編曲中に心の支えになってくれた方
僕の中で(勝手に)ライバルになってくれた
アレンジャーのウニキ、たまごさん
演奏してくれたクラパのみんな
演奏もしてくれたし
何より自分に編曲の機会をくれたるぃーんさん
本当にありがとうございました。
書いて良かった。。。。
これは収録後にみんなで食べたポテト
おわり