World Health Day 世界保健デー
本日4月7日は、WHOが定める「World Health Day 世界保健デー」です。
今年のテーマは「My health, my right. 私の健康、私の権利」。
世界中では多くの方が、紛争や環境問題などで健康の権利を脅かされています。
今年のテーマは、医療サービス、教育、情報へのアクセス、安全な飲料水、きれいな空気、良質な栄養、質の高い住宅、適正な労働条件や環境条件、差別からの自由など、あらゆる人が、あらゆる場所で享受できる健康の権利擁護に取り組むとして定められたそうです。
(出典:日本WHO協会ホームページ https://japan-who.or.jp/news-releases/2402-54/2402-54/)
皆さまも、年に1度のこの機会に、ご自身や周囲の大切な方の健康について改めて考えてみませんか?
今日は健康について3つの視点から簡単にお話したいと思います。
そもそも「健康」とはどういう状態なのか?
健康の定義
1948年に発効されたWHO憲章では、「健康」を次のように定義しています。
ここにあるように身体的、精神的、社会的な健康のすべてが満たされた状態というのは中々難しいと感じますが、各々の中でこの3つのバランスがうまく取れている状態が「健康」であると捉えることが出来ます。
では、この3つの側面を一つずつ簡単に説明していきたいと思います。
1.身体的側面:「からだ」を知る
身体的側面では、採血検査や画像検査などによって数値や形として見えるものもあれば、痛みやかゆみなどの自覚症状は目に見えず、その程度がはっきりしないものがあります。
痛みやかゆみに対しては、多くの方が直接その問題を軽減したり解消するために対症療法を行うと思います。
しかし、数値に関しては自覚症状がないため、基準値から大きく逸脱していても放置されていることが多いです。
分かりやすい例は健康診断の結果です。
仕事柄多くの労働者の健康診断の結果をもとに保健指導を行いますが、現在困っている症状や日常生活に影響はないという理由で、生活習慣の改善や治療の必要性があってもなかなか理解してもらえません。
理解してもらえないため、もちろんその先の行動変容にもつながらないわけです。
しかし、病気は一日にしてならずで、不適切な生活習慣はご自身の身体、特に血管や臓器にダメージを与え続けている可能性があります。
こちらは見たことのある図だと思います。
最初は生活習慣を見直すだけで改善が見込まれていたものが、それを行わずに不健康な生活習慣を続けることで、どんどん川の下流に行ってしまいます。
新年度になったので、近々健康診断を受診する方は多いでしょう。
健康診断は、ご自身の体の状態を知る良い機会です。
今年は健診結果をしっかりと確認し、出来ることに取り組んでみましょう。
血管についてご興味のある方はこちらの記事も併せてご覧ください。
2.精神的側面:「こころ」を知る
「こころ」は体と異なり、基本的には見えません。
そのため、自分自身でも捉えにくいことが多いです。
しかし心が疲れてくると、徐々に日常生活に影響を及ぼすようになります。
一般的に、ストレスが大きくなると身体面→精神面→行動面の順に何らかの症状が出現すると言われています。
身体面:動悸や息切れ、下痢や便秘、頭痛、めまい、不眠、食欲不振 など
精神面:イライラ感・怒りっぽくなる、不安感、焦燥感、集中力の低下 など
行動面:ミスの増加、作業効率の低下、遅刻欠勤の増加、食事量の変化、飲酒量の増加 など
もしこの中に当てはまる症状があれば、一度ご自身の心や体に目を向けてみて下さい。
特に、睡眠状況の悪化や、食事摂取量の変化がみられている場合は危険信号です。
”気のせい”や”思い違い”と放置していると、状態が悪化して回復するのに時間を要する場合があります。
こころが疲れているかもしれない…と感じたら、こころの耳(厚生労働省)でのセルフチェックをおすすめします。
もし高ストレスと出たら、まずはストレスが溜まっていることを認識しましょう。
そして、休息を取る、気分転換を図る、周囲の信頼できる人や公的機関などに相談する、などしてさらなるストレスが蓄積しないよう努めましょう。
3.社会的側面:「社会的な健康」に目を向ける
この「社会的な健康」というのはあまりなじみがないかもしれません。
しかし、近年はこの社会的な健康が大きな問題となりつつあります。
社会的な健康とは、他者や社会との関係やつながりが存在するか、またその関係性が良好かどうかということを指します。
人々のつながりに関する基礎調査(令和4年)(内閣官房)によると、20歳~59歳までの男女の40~50%の方が「孤独感を感じている」と回答しており、働く世代が特に強く感じていることが分かります。
その要因としては、対人関係による問題が多いとのことですが、それ以外にもコロナ禍による人との付き合い方の変化や、テレワークの推進、未婚独居者の増加などが考えられます。
また、主観として、SNSでのコミュニケーションが主となり、対面での会話やつながりが減少している気もします。
このような社会との孤立感や孤独感が続くと、先に述べた精神的な健康を損なうことにも繋がりかねません。
人づきあいが苦手という方が増えているのかもしれませんが、まずは身近な人と触れ合う時間を大切にしたり、メールや手紙を通しての会話などを通して、誰かとつながっているという安心感を持つことが重要だと考えます。
何でもかんでも一人で解決しなければならない、抱え込まなければならない、と感じるとどんどん気持ちがしんどくなります。
はけ口がない場合はぜひご連絡ください。
Healthier Lifeでは交流分析を用いた対人関係についても取り扱っているため、今後このような記事を少しずつ書いてきたいと思っています。
健康の3大要素を意識する
ここまで健康について3つの視点からお伝えしました。
冒頭にも述べましたが、すべてが満足している状態を維持することは非常に難しいです。
そこで覚えていて欲しいのは、健康の3大要素についてです。
健康の3大要素は、「食事」「睡眠」「運動」です。
①食事
食事は体のエネルギー源にもなり、体の様々な機能を動かすために必要な栄養素を摂取するためにとても大切です。
5大栄養素というのを聞いたことがあるかと思いますが、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが体にとっては一番良いと言われています。
何かを過剰摂取するとどこかに負担がかかります。逆に過小摂取だと必要な栄養素が得られず体調不良につながる場合があります。
また、食事の際は食材の色を豊富にするよう努めましょう。1食に少なくとも3色以上、1日に5色以上摂取するのがおすすめです。
日本人は野菜やキノコ類の摂取量が不足しがちなので、意識的に摂取することをお勧めします。
②睡眠
睡眠は体の疲労を回復させるために必要不可欠な行為です。
日本は先進国の中でも睡眠時間がワーストと言うくらい、睡眠時間が短いです。
ただし、睡眠は時間だけでなく睡眠の質も重要です。
短い眠りでも熟眠感があれば問題ありませんが、熟眠感がなかったり不眠が続いているような方、日中の眠気が強い方は要注意です。
その状態が続くと、精神的側面でも書いた通り、大きく体調を崩すことにつながります。
短期間であれば寝不足でも無理をすることが可能ですが、長期間に及ぶと確実に心身疲労が現れます。
しんどいな、なんだか意欲がわかないな、と言う時こそ、意識的に睡眠時間を設けるように心がけましょう。
③運動
運動は筋力・体力アップの目的だけでなく、心肺機能の向上や免疫機能の向上、ストレス軽減など、身体的・精神的・社会的側面のすべてに好影響を与えます。
働く人々と面談すると、運動する時間が取れない、とよく言われますが、日常生活でも階段を使用する、少し早歩きで歩く、バスや電車を一駅先まで歩く、などわざわざ時間を作らなくてもできる運動があります。
普段運動する習慣のない方は、まずは1日プラス10分でも良いので、体を動かすことから始めてみましょう。
急に強度の強い運動を行うのは、心肺機能に影響を与える場合もあるため、くれぐれも無理をしないようお気を付けください。
さいごに
色々と書いていたら長くなってしまいました。
改めて、本日は世界保健デーということで、皆さまにも健康について少しでも考えたり知っていただきたいと思い、記事を書きました。
少し意識するだけでも、たまに思い出すだけでも構いません。
ご自身のからだやこころに目を向けて振り返る、そんな時間を作ってもらえたら嬉しく思います。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。