モミジの赤と聴いてもらう喜び
鎌倉のモミジがいつの間にか真っ赤になっていた。毎日見ているはずなのにそれに意識が向いていなかったのだと気がつくと、今はそれを楽しむほどの余裕があるのだと安心する。
Ensemble Lenzコンサートに向けて5日間東京に通って缶詰になってリハーサルを重ねていたところから、一昨日ついにハリス記念鎌倉幼稚園で団体として初のコンサートをすることができてひと段落ついた。
7月に顔合わせをしてから長期にわたってずっと準備してきたコンサート、こんなに長く練習しているのに披露する機会がなかったのは案外辛いことだったのかもしれない。やはり自分達には「人に演奏を聴いてほしい」という音楽家の根源的な欲求があるのだと実感する。
子どもたちの純粋な反応、「お客さんが喜んでくれる」という自分達の1番の願いが叶えられ、アーティストとしてとても丁寧な待遇をしていただけたこともまた嬉しい。
「演奏しているだけで楽しい」ということもあるのだが、やはり音楽は聴いてくれる人がいて初めて成り立つもの。自己完結はできない芸術。
喜ぶ子どもたちや父兄を見て花束をもらった時、やはりこれは音楽家しか得られない喜びだと思った。
その後初めて全員で逗子で食事をして海を散歩した
逗子は強風で今まで見たことがないくらいに波がたっていて、ウィンドサーフィンがすごい勢いで走っていた。冬の空の色で瑠璃色のように見える海は白波と相まってとても美しく、初めて見る逗子海岸だった。
その後逗子でリハーサルをすると、前日までとは全く違う雰囲気と演奏になっていた。やはりアンサンブルというのは音楽以外の色んなものを共有することが大事なのだなと思った。
モミジの赤
モミジの赤は他のものにはない色で、この季節にしか見られない限定感と儚さは桜に似ている。この赤色はとても複雑で、全ての色が違って全てのモミジが違う色だ。
重なっている落ち葉を見ると様々な赤が混ざり合いその中にもある明暗がまた異なる色を作っている。
「自然には同じ色っていうものはなくて、同じ赤でもそれは全部違う赤なのよ」と子どもの頃に母に言われたのを思い出した。
自分がもし絵を描けたら、その色の違いを感じ取ったり見える違いをもっと極端に表現した色彩感のものが描きたい。
音楽も同じだから技術のとらわれすぎてそういった感性を失った音を出さないように、常に豊かな心でいたいと思う
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