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音楽と言葉

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クラシックの音楽家たちによるエッセイ集。#音楽と言葉 ライター: 齋藤友亨(トランペット奏者) 副田真之介(オーボエ奏者) 馬場武蔵(指揮者) 出口大地(指揮者) 山口奏(チェロ…
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#バレエ

クラシックの音楽家によるエッセイをまとめた共同マガジン「音楽と言葉」

身近にクラシック音楽を生業にしている人はそういないだろう。 ・食べていけるとは思えない ・なぜなろうと思ったのか ・どんな人たちが「クラシックで食っていこう」などと思うのか 全てが理解不能だし想像もつかないだろう。アンケートサイトで職業の選択をするときはほぼ「その他」になるし、ひどいときは「その他・無職」と一括りにされる。一度だけ「アーティスト」という欄があるのを見たが随分感動したものだ。 音楽を職業にする人たち音楽を職業にする人たちは変わった人が多い。「音楽で食べ

バレエと日本舞踊と即興でつくる舞台「金閣寺」の解説

金閣寺日々の忙しさにおおわれた心にふと晴れ間がさしたとき、子どもの頃にもっていたあの気持ちを思いだすことがある。それは、一枚の紙にただ耽るように描いた線、ことばにならない他愛もない思いつき・・・。  はっきりとは思い出せないけれど、そんなものがあったという感触だけはかすかに感じられる。あれから今日へと、そこには同じ時が流れているはずだが・・・、そう思った瞬間にその感触は手のひらからすり落ちる砂のように消えて幻になる。  金閣寺―活けられる花ー。  それは一つの苦悩する魂のト

新作舞台「金閣寺」リハーサルを終えて

5/6に逗子で バレエ×日本舞踊×即興室内楽で 「金閣寺」の舞台をやるために 長崎、鳥取から逗子まで来てもらいリハーサルをしていました。 金閣寺放火事件の犯人の心理を通して 「その人を生きる」がどういうことなのかを相反する身体操作であるバレエと日本舞踊で表現します。 放火犯は 「こういうものが美しい、これが正しい道、こうあるべき」という 世間や他人が創り出した虚構の価値観に縛られ、 その中で自分が優れた人間になりたいと願うものの、決してそれが叶わないことに絶望している とい

バレエと日本舞踊と即興で舞台をつくること、現代芸術の空白

19歳の頃にベルリンに留学した時以来の友人である、ギタリスト作曲家の山下光鶴とともに、一から舞台作品を創作しそれを逗子で上演します。 彼は最も尊敬する同世代の音楽家で、ギターの超人的なテクニックはもちろんのこと 熟達した芸術的価値観、想像性を持っています。 今回は金閣寺放火事件を元に、完全にオリジナルの新たな作品をつくります。 ドイツに留学していた頃 「自分が東洋人として西洋音楽を学び、生業にする」ということに関してどこか疑問持つようになったことがあり 光鶴と議論を交わし

【逗子でバレエ】バレエの作品を一から作ること

【逗子で本物のバレエを】 みなさんは生でプロが踊るバレエを観たことがありますか? 日本は世界で1番バレエ教室の数が多いと言われていますが、実際にプロの舞台を観る機会は多くありません。 バレエを習っていなかったらまず観に行くこともないでしょう。 バレエはクラシック音楽やオペラと同様に、とても敷居が高いイメージがあり チケットも高価なので興味はあってもなかなか足を運びづらいところがあります。 しかしバレエは「経済力のある大人が楽しむもの」であるべきではありません。もっと子どもた