稼ぐ話術「すぐできる」コツ
今回は、公認会計士であり起業コンサルタントとしてご活躍されている金川顕教さんの著書、『稼ぐ話術「すぐできる」コツ』をご紹介します。
著者の金川さんは、立命館大学在学中に公認会計士試験に合格、有限責任監査法人トーマツ勤務後、起業コンサルタントとして独立。
「話すことは稼ぐことである」という信念のもと、不動産、保険代理店、広告代理店、教育事業など様々なビジネスのプロデュースに携わり300社を起業、300人の「稼ぐ経営者」を育て上げた年収1億円プレーヤーです。
著者がここまで稼げているのは、稼ぐ人に共通する話し方、すなわち「稼ぐ話し方」「稼ぐ話術」を身につけた結果だと本書の中で述べています。
本書では、「稼ぐ人の話し方」と「稼げない人の話し方」の対比や、豊富な具体例をもとに、著者の「稼ぐ話術」のコツが惜しみなく披露されています。
本書を読み「稼ぐ話術」のコツを1つでも多く学び、あなたの「可能性」を開花させる武器としてきましょう!
本書の構成は以下のとおりです。
第1章 「稼ぐ人の話し方」基本 ―― まず「結論」から話す
第2章 「相手のメリット」「気遣い」「こだわり」…稼ぐ人が必ず話していること
第3章 稼ぐ会議、ムダ会議、「人数」と「時間」が違う
第4章 「稼ぐ言葉」で自分を上手にアピールする
第5章 仕事は「この雑談」で、以外な差がつく
本書を読み、特に勉強になったのは下記4点です。
1.稼ぐ人は、「結論から話す」
2.稼ぐ人は、「数字を使って話す」
3.稼ぐ人は、「2W1Hで話す」から、ムダがない
4.稼ぐ人は、相手を「説得」しない。「納得」させる。
以下、それぞれ見ていきます。
1.稼ぐ人は、「結論から話す」
(1章 「稼ぐ人の話し方」基本 ―― まず「結論」から話す より)
■「結論から初めて、結論で締める」が説得力のコツ
著者が原稿を書くとき、「冒頭の1行目」に特に気を使うそうです。
「冒頭の1行目」が面白くなければ、誰も「2行目」を読まないからです。もちろん、その本を購入することもないはずです。
そんな「冒頭の1行目」を面白くする著者なりのコツが、
冒頭に「結論」を書く
というものです。
ビジネスは「結論」がすべてです。
「結論」から書き始めることで、読者の関心を引き寄せて、その先を読んでもらって「稼ぐ話術」を身につけてもらおうという考え方です。
これで、著者なりの「稼ぐ文章術」だといいます。
もちろん「稼ぐ話力」も同じです。
稼ぐ人は基本的に「結論」から話します。
稼ぐ人は、最初に「結論」を話し、相手の関心を一気に引き寄せます。
続いてなぜその結論に至ったのかの理由、その理由を具体的な事例で説明します。
そして、最後に再び結論で締めるというテクニックを使います。
このテクニックを使うと、結論はもちろんのこと、話の要点が相手の記憶に残りやすく、理解も深まりやすいのです。
過不足なく、短時間で説明できる理想的な話し方と言えます。
結論から始まり、結論で締める
これが稼ぐ人の話し方です。
■「起承転結」ではなく「結結結結」―― 結論を並べるインパクト
稼げない人ほど、「丁寧に話そう」とするものです。
言ってみれば、完璧主義者。
「話が丁寧すぎて、何を言いたいのかわからない」―― これが稼げない人の話し方の特徴です。
人間は完璧に行動することなどできないため、完璧主義を目指すこと自体がナンセンスです。
完璧主義では稼ぐ人にはなれません。
なぜなら、行動に移すまでに考えすぎるからです。
その分、後手を踏んでしまいます。
稼ぐ人はいつも「100点満点」ではなく、「合格点」を狙ってきます。
具体的には、話の起承転結は無視して、「結論」だけを羅列します。
例えば、フィットネスクラブの勧誘トークを例にすれば、
×「当フィットネスクラブで3カ月間、プログラム通りにきっちりと運動すれば、必ず成果が現れ、理想的な体を手に入れることができます。ダイエットになるばかりか、つくべきところに筋肉がつきます。また、当クラブでは最新鋭のマシンを5台導入しています。このマシンは欧米でも人気で、セレブの愛好家も多いようです。日本ではまだ導入しているところは少ないようです。しかも、今なら入会金も半額になっています。始めるなら今しかありません!」ではなく、
〇「当フィットネスクラブをおすすめできる理由は3つ。1つ目は夏までの3ヶ月で理想のボディがつくれること。2つ目は最新鋭マシンが体感できます。そして3つ目、今なら入会金半額、始めるなら今しかありません!」
といった具合です。
稼ぐ人は余計な情報は省き、端的に伝えます。
ポイントは、最初に伝えたいこと、つまり「結論」の数を宣言することです。
「結論」が3つあると宣言すれば、聞き手もその3つを聞きもらさないように注意して聞きます。
細かい説明やメリットは、その後にダメ押しとして話してあげればよいのです。
これが確実に合格点を取れる話し方なのです。
2.稼ぐ人は、「数字を使って話す」
(1章 「稼ぐ人の話し方」基本 ―― まず「結論」から話す より)
■ 数字なら具体的に「正しく・強く」伝わる
数字はウソをつきません。
数字は正しくて当たり前。
だから、「数字で考える」と間違えないし、「数字で話す」と相手に誤解されることもありません。
つまり、「数字で考える」「数字で話す」と、それだけで相手から信頼されるということです。
会話の中に、簡単な「数字」を入れるだけで、相手の納得度が格段に上がります。
例えば、
×「ほぼできています」ではなく、
〇「8割方できています」
〇「明後日の15時にはご覧いただけます」
×「もう少しでご覧いただけます」ではなく、
〇「3日後には仕上げます」
〇「2つほど疑問点があり、先方に問い合わせ中です。明日の午前10時までには回答をもらえることになっています。」
といった具合です。
数字は客観的データなので、誰もがイメージを共有できます。
たったこれだけで、上司との信頼関係を確実に強化することができます。
もちろん、思い違いによるトラブルもなくなります。
■ 説得力と目標達成力が出てくる
「数字で話す」メリットはまだあります。
目標を「数字で話す」と、モチベーションが高まるのです。
×「売上を上げよう」「見込み客を増やそう」「成約率を上げよう」ではなく、
〇「売上を2倍にする!」「見込み客を20人にする!」「成約率を60%にする!」
と言い換えた方が、目標が明確になります。
結果として、「この目標を達成したい!」「この目標は達成しなければならない!」といったモチベーションや責任感が生まれます。
「数字で考える」「数字で話す」を習慣にするのは簡単です。
日常会話の中に、ゲーム感覚で数字を入れて話す、たったこれだけです。
×「この商品は、あまり売れていませんね…」ではなく、
〇「この商品は、発売から3週間で300個しか売れていませんね。今後、売上を30%アップしないと利益になりません。」
といった具合です。
「数字で話す」「数字で考える」を習慣化してしまえば、あなたの「数字感覚」が磨かれて、自然と「数字」に強くなるはずです。
結果、「ビジネス感覚」「コスト感覚」「時間感覚」まで磨かれていきます。
例えば、「健康のために、1日2リットルの水を飲むといい」と言われています。
しかし、これを毎日続けるのは結構大変です。
結局「水をたくさん飲むように心がけよう」と思うだけではないでしょうか。
著者は「数字で考える」「数字で話す」を習慣化しているので、「500ミリリットルのペットボトルを4本飲めばよいのだな」と考えるそうです。
そして、「朝2本、会社で1本、帰宅後に1本飲む」と具体的な解決策を思い浮かべます。
実際そうやって、著者は水を毎日2リットル飲んでいるそうです。
このように考えると、意外と簡単に目標をクリアできそうです。
客観的な数字で考えるから、達成率が上がるのです。
「数字で考える」「数字で話す」―――これを意識するだけで、あなたの会話に説得力と目標達成力が自然と出てきます。
その結果、あなたに対する周囲からの信頼度と評価が増し、また一歩「さらに稼げる人」に近づくのです。
3.稼ぐ人は、「2W1Hで話す」から、ムダがない」
(1章 「稼ぐ人の話し方」基本 ―― まず「結論」から話す より)
■ 稼ぐ人は「ビジネスで大事な情報だけ」を話す
「2W1H」は著者がよく使う「稼ぐ話し方」の1つだといいます。
一般的には「5W1Hで話す」と、情報がもれなく伝わると言われています。
ただ、それでは稼ぐことができないのです。
「5W1H」では情報が多すぎるからです。
「5W1Hで話す」とは、ご存知のように「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つです。
たしかに、この6つがそろえば、「情報がもれなく伝わる」かもしれません。
ただ、情報が多すぎて、この6つの中で何が大事な情報なのか、相手はすぐにわからないのです。
稼ぐ人は、そもそも「情報をもれなく伝えよう」などと思っていません。
「ビジネスで大事な重要だけを伝えよう」と思っています。
そして、ビジネスで大事な情報はすべて、「2W1H」で話せるのです。
「2W1H」とはズバリ、次の3つです。
①「Why(理由)」=なぜその仕事をやるのか
②「What(行動)」=その仕事をやるために、何が必要なのか
③「How(方法)」=その仕事を進めるには、どのようにすればよいのか
情報量にしてみれば、「2W1H」は「5W1H」のちょうど半分。
「理由」「行動」「方法」。
この「2W1H」こそ、ビジネスで大事な情報そのものです。
■ ビジネスで「残りの3W」がムダな理由
残りの「3つのW」である「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」もたしかに重要な情報です。
ただし、ビジネスとしては優先度の低い二次的な情報なのです。
というのも、ビジネスでは、「Who」は「私」、「When」は「今」、「Where」は「ここ」であることが大半だからです。
これは情報の基本。
稼げない人は、情報のこの基本がわかっていないのです。
だから、「5W1H」でダラダラ話して、相手の貴重な時間をムダにするのです。
ひどい人になると、「2W1H」のどれかを話し忘れて、ビジネスの役に立たない中途半端な情報を相手に伝えています。
「2W1H」で話す習慣がつくと、自然と仕事が早くなります。
「情報を捨てる」のが格段にうまくなるからです。
「5W1H」の情報の中から、「2W1H」の情報だけを使い、「3W」の情報は捨てるのです。
仕事では「2W1H」を優先して話す。
これを意識するだけで、あなたの話は一気に効率的かつ生産的なものになるはずです。
著者が年収1億円を稼げるようになったのも、この「2W1H」で話す習慣を身につけた1つの結果だといいます。
著者は、大学受験の合格発表の夜、人生の次の目標として「富を築く」という目標を立てたそうです。
そこで、「2W1H」で自分に話しかけたことで、人生の優先事項、富を築くために優先すべき行動、富を築くために優先すべき方法がマザマザと見えてきたそうです。
著者が考えた「2W1H」は以下のとおりです。
・Why:富があれば「自分の時間」と「自分の能力」を最高に活かすことができるから (→「起業」が人生の優先事項として見えてくる)
・What:大手の監査法人に勤めること(→給料をもらいながら起業のノウハウを学べる)
・How:資格の学校TACで学ぶこと(→自分と同じような目標、視野、優先事項を持った優秀な学生と接触することで、人生の目標が想像以上に早く実現する?)
4.稼ぐ人は、相手を「説得」しない。「納得」させる。
(1章 「稼ぐ人の話し方」基本 ―― まず「結論」から話す より)
■ 人は「意見」に納得しない。「ファクト+意見」に納得する。
説得力がない人は相手を説得しようとするから、説得力がないのです。
稼ぐ人は、相手を説得しようとは思っていません。
稼ぐ人は、相手に納得してもらおうと思っています。
だから、話に説得力があるのです。
説得とはこちらがするもの、納得とは相手がするもの。
人間は何ごとも自分で決めたい生き物。
だから、相手の気持ちを変えるために説得しても、なかなか「YES」とは言ってくれません。
自分が説得されているのがわかっているからです。
稼ぐ人は、相手を説得しようとはしません。
相手が自分の意志で納得してくれることだけを考えて話します。
そして、人は自分の意志で納得したとき、はじめて説得されるのです。
相手を納得させるために必要不可欠なものがあります。
誰もが否定できない「ファクト(客観的な事実)」です。
この「ファクト」があるからこそ、相手も納得するのです。
例えば、次の化粧品販売員で一番説得力のあるは誰でしょうか。
A:「これは、私が1番おススメする化粧水です。」
B:「これは、驚くほどに売れた化粧水です。」
C:「これは、1ヶ月で1万本以上売れた、弊社で1番売れている化粧水です。」
もちろんCさんですよね。
Cさんだけが、「ファクト」を話しているからです。
「ファクト」には、誰も「NO」を言えないのです。
■ 「競合他社の成功実例」というすごい説得力
稼ぐ人は、客観的事実を述べてから、自分の意見を話します。
「ファクト+意見」です。
だから、相手が誰であっても納得させることができます。
ビジネスの現場でもっとも有効な「ファクト」は「成功実例」です。
特に、競合他社の「成功実例」はインパクト大です。
例えば、以下のような提案の場面です。
×「見込み客を増やすために、Facebook広告を出すのはどうか?」
○「A社はFacebook広告を使って、この1年で見込み客を20%も増やしたと聞きました。うちもFacebook広告をするのはどうでしょうか?」
「成功実例」を入れただけで、説得力が出てきました。
上司はすぐには「YES」を言わないでしょうが、今後、さらにA社の「成功実例」を調べて話せば、やがては上司も納得してくれるでしょう。
以上、第1章から本書の内容の一部を簡単にご紹介しました。
本書では「稼ぐ話術」のコツが他にも数多く紹介されています。
文章術へ水平展開できるスキルも多く、大変有用な1冊と感じました。
是非とも本書を読み、「稼ぐ人」のコツを身につけて人生を好転させていきましょう!