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SANYO DSC-MZ1 (SX212)は小さな巨人
Ⅰ. 耐久消費財
三洋電機。少し前の時代を生きていた人なら名前は知っているはずでしょう、パナソニックに吸収された家電やデジタル機器などの販売を行っていた企業です。松下(ナショナル)、三洋、芝浦(東芝)、日立、シャープ。昔はいろいろなメーカーがありましたね。。うちの家はまあエアコンはダイキンだったんですが、、まあえらい冷えましたよ。あと全然壊れない。壁掛けのエアコンは特に頑丈でしたがとんでもなくうるさかったですね。
そんな話は置いておいて時は冬。暖房ガンガンの南関東に対し「石油の温かさ」となる灯油の石油ファンヒーターは今日も東北で多く活躍しています。なんで南関東周辺では全くと言っていいほど石油ファンヒーターが流行らないんでしょうね、、あったかいのに。うちにあった初代のダイキン?かな、ファンヒーターは燃料爆食いでしたけどとにかく火力がすさまじかったのは覚えています。大きさも重さも室外機並みでしたけど。
そんな話は置いておいて時は冬。(あれ、このくだり、、やったね!)
Ⅱ. デジカメという登録商標
まじめにやりましょう。三洋電機は結構初期のデジタルカメラ製造に力を入れていてかの「デジカメ」という言葉が三洋の登録商標だったのはもはや有名な話ですね。三洋はとにかく処理エンジンなどの回路製品が優れていたのは当時から評価されていました。そんな中で三洋が当時送り出した上位コンパクトデジタルカメラのシリーズにはペットネームのついたMulti-Z、Xacti以外にもありました。それがMZシリーズです。Xactiはまだいいですがもう一つのペットネームがマルチーズ。時代を感じさせます。なんか人によっては「ペットネームという単語からマルチーズってか?情けねえ」みたいな酷評してるブログも見たことありますが、「まあそこまで言わんくても」が自分の感想です。
三洋が一番初めに出したカメラは内蔵メモリ4MBの35万画素デジタルカメラDSC-V1。そこからスマートメディアのX100、X110など様々です。
一概には上級、中級などのグレード的位置づけが当時は存在していなかったので何とも言えないモノにはなりますがそれでも三洋電機製、オリンパス製、コダック製は特に強いシェアを誇っていました。あれ、Canonは初期のパワーショットから人気だったよね?と思った方もいるかもしれませんが、本格的な若年層や家庭、全世代向けのシェアの拡大はIXYデジタルの登場となる2000年に入ってからというのが本来は望ましいものでしょう。そうした面ではNikonも業務用などに絞りすぎているためこちらも21世紀までヒットを待つことになりそうです。
Ⅲ. 作例
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青被りしてないか?と思ったあなた、実は撮影前に細かく色調補正ができる当機は補正して色味を正常な色彩にすることもできますし、逆に表現の幅として極端に色調をいじったりと何かとクリエイティブなことができたりします。まあ当時これでも68000円もしたんです。良い値段ですよ。当時はX68000も10年前に68000円であればなあとか思った人ももしかしたらいるんじゃない?(いない)
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失敗するとこうなったりも。ワイドレンジショットもこうした場面では少し苦手な部分もあるのかもしれないですね。
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当然ですがスミアも出ます。CCDですからね。宿命です。映像の世界だと結構致命的らしいですね。コメットテールと言いスミアと言い大変ですな、、
センサーはあまり見ないですが210万画素です。
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セコイアの木ですが、かなり枯れてしまっていて逆に地面は絨毯状に落ち葉が重なっていたりとなかなか景色としては素晴らしいものになっています。
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ノイズの話ですが、ノイズはやはり暗いと結構乗ってきます。この機種は一応PASMの一通りの一眼レフタイプの操作はできないこともないので長秒撮影もできますが、相当な熱ノイズと長秒時ノイズが発生したのであまり夜間の撮影には向いていません。ここら辺は時代でしょう。それでも写ってるという面では写すことは出来たので、いくらノイズが乗ってもいいからとにかく映してくれということなら使えたのかもしれません。ただ絞りはIRIS替わりなので絞ったから特段画質が良くなるとかそういうことはありません。
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クリスマスの時期でも普通に紅葉が残るのがこちらの南関東の世界、鹿児島とかよりよっぽどあったかいんじゃないのってぐらいしっかり紅葉は残ってます。風も結構吹いてるのにね。やはり地球温暖化が影響してるようにも感じます。2010年になる前まではこんなことはほとんどなかったように思いますが、私のバイアスでしょうか。
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ネコがいましたね。もちろん飼い猫。田園調布らへんを散歩しててもまず花壇がそこら辺にあったりだとか犬除けのペットボトルだとか壊れたブロック塀の破片とかじょうろとか鳥よけDVDはおいていません。ある種整然とはしていない街並みではありますが、人間味のある生活感を思わせる営みを見れるのはこうした街の魅力だとは思います。
逆に田園調布はそうしたものはないですしゴミの回収ももっと細かく定められていますし何より街づくりから憲章があるような地域なので必然的に富裕層の方も多く集まります。
というのも田園調布に住んだことのある方ならわかると思いますが、あそこはバスを利用するのではなく、自家用車を利用して家まで帰る、もしくは送迎をするのが一般的な街の住み方であって、坂が非常に多いのが特徴です。鉄道を利用するよりは自家用車前提でしょうね。そうした面でこちらの都市はバスがうまく発達した田園地域ともいえます。
整然とした街並みで静かに暮らせるという点ではもちろん田園調布に軍配が上がります。老後に住むのならあそこも案外ありですね。まあ老後3000万程度の話じゃ軽くすまないと思いますけど。(知り合いのおうちは2億6000万だったそうです、それをわずか5年ローン。5年という組み方はまずないと思うので5年ルールを鑑みて金利が変わる前に先に払うんだと思いますが、、いやーおっかねえ)世田谷の土地と田園調布の土地でも同じ「区」だとしてもあそこは別格ですね。田舎は良いよ、特に福島、今もそんな田園調布の家々の何倍の土地持ってるから、、(価値)
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で、ネコの話なんですけど飼い猫なので普通に人懐っこいです。すぐ足元によってくるタイプ。でも自分の毛並みが気になったのか今日はすぐに毛繕いを始めちゃいました。
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でもちゃんと速度出てるんですよこれが。カビもないいいレンズでデザインはどのウェブにもないであろう再後期型(Petri@wikiにもないシリアル)です。
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CCDというと色が濃いように見えますがそれは当時のデジカメという画像がプリントに使用される際に濃い色で表示された方が消費者にとってはきれいな画像で見えるものだったからです。
Ⅲ-ⅰ. 小ネタ CCDが色の濃さを決める?
本質的なことをいうなればカラーフィルムは正直かなり色濃いものになりますがdigitalカメラでの色彩はそれまでの3CCDとかの補色も多くお世辞にも「良い色」とは程遠いもの。あくまで記録装置で写真としての使用に耐えうるようなものではなかったのです。1997年にC-1400Lがオリンパスから出て初めて実用に耐える写真が撮れる高画質な一般家庭向けデジタルカメラ、と位置付けられたようなものです。
当時はPCも表示ガンマや色彩調整など割と映像としてもまだまだ未発達だった時代。パソコンとかテレビで見るよりは「やっぱりアルバムにして出力したモノとしてみたいよね」というのが多くの消費者、大衆の意見でした。
何が言いたいかというとデジカメで撮って画面で見る写真をプリントするときに色が薄いと「このカメラはフィルムより薄いけどこういうものなのか?デジタルはやっぱだめだな」という印象が持たれてしまうのです。だから廉価機であればあるほど色彩は派手に、より高精細で見やすくはっきりとした写真が好まれました。ある程度PCで見ると色が薄かったりなんてこともあったからね。こうしてみると昨今ド派手なコントラストや色彩が好まれるのも何となく想像ができてくるんじゃないんでしょうか。その方が結局ウケがいいのです。でも私たちは100%そうではないでしょう?
となると話は簡単です。皆さんはカメラを使って上級機は色が若干エントリーより薄めというのはよくよくご存じであることだと思います。でもそれって昔のカメラでもそうで、結局のところ色彩のほとんどを決めるのはエンジン、処理LSIなどによるもので、フィルムの世界でもある程度は現像のスキャン時に色が細かく調整できましたよね。あくまでどの時代でも写真は「記録してプリントして物理媒体として残す」のが普通の時代。まさかデジタルで電子的に、しかも膨大な量を残すなんてことはあの頃は考えないでしょう。つまりそれはプリント前提で作る色彩がたまたま濃かったということで実際はCCDであることは「副次的要素」であることが多いのです。
もちろんそれが100%ではありません。実際のところ本当にCCDは色再現性が優れているだとか色表現に関して濃いものを出力するとかCCDが一時的要素となることも多くあります。でもMOS、CMOSがCCDよりも安価で作りやすかった時代にじゃああの時代にうっすい色彩の写真を果たしてエンジンが作り出すでしょうか、と考えれば私の言いたいことがある程度は飛躍していても至極間違ってるとは思えてこないはずです。
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まあそうした色づくりからもMZ1はどちらかというと中上級向けのコンパクトデジタル。色調補正など作り上げる部分が機能としてそなえられているものは結構その風潮があったりします。逆にオリンパスのC-1400L、KodakのDC260、富士のFinePixなどの色彩に自信のある企業が手がけたものはそうした機能はないものの割とド派手で「自社センサー」を売りにしたりしていました。(じゃ結局CCDなんじゃないか!何だったんださっきのは!)
富士はちょっと珍しいですね。昨今のエモいをかじった若い人が「淡くて儚げだが情緒ある写真」「往時を将来偲ぶときに浮かぶ色彩はこれだ」みたいなことを考える人はFinePixに行きそうです。まあ語彙力があればこれをエモいで片付けないし結局FinePixにもいかないと思います。(流れ変わるやつ)
ただ単に「CCD機とCMOS機でCCDが濃いのか」みたいなことをぱっと比較写真で比較して「違いますね」で終わるようなうっすいクリエイター方よりはよっぽど文で満足させられるものをかけるようになれば文系も太刀打ちできるでしょう。映像エンジンに自社の技術でチューニングをして完成したのが富士ならFinePix S1 S2 S3 Proなどの系列、今回の製品ならHRGP Ⅱなどになるわけです。
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とまあ後半がほとんどこんな感じで締まって仕舞いましたが、総評してこのカメラはかなり扱いやすくクリエイティブ性のあるカメラだと思います。
小さな巨人という言葉はまさしく代弁するなら1/1.8型センサーに多彩な色調補正を組み込んでユーザーの写真体験をフィルムからデジタルへ昇華させる新しい時代のカメラとしてのエポックメイキングとして語れるものになれる。といったところでしょう。言い過ぎってほどでもないですよ。
昨今のようなド派手な特徴を持っていない影の薄いカメラではありますが意外と奥の深い、そんなカメラでしょう。決して当時も人気がなかったわけではない三洋のデジタルカメラです。目にした方はちょっとばかり遊んでやってみるのも残りの人生の余興にもなるでしょう。(という締めにさせてくれ)