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学部首席を取るまでのはなし#4

#4 「高校生(受験その後)編」

 受験が終わっても、「もう受験勉強をしなくてもいいんだ」という解放感は全く味わえなかった。それは自分の中で、この受験生活が不完全燃焼だったからだと分かっていた。結果、いくつか受験した大学の中で、受かったのは1校だけだった。1大学しか受からなかったというべきか、1大学拾ってくれたというべきか。合格した大学は、自分の得意科目の配点が高い学部だったため、総合点を引き上げてくれたのだと思う。
 全国模試の結果を見ても、最後の追い上げまでしっかり自分と向き合っていれば、志望校合格の可能性は十分にあると言われていた。自分の手で未来のパラレルを変えてしまったのだ。志望する大学に通うというビジョンがうまく思い描けなかった自分の意志の弱さと、それに紐づいた行動(受験勉強)の欠如が敗因だったと思う。先に推薦を決めた友人のせいではなく、ひとえに自分の弱さがこの結果を招いたのだ。
 拾ってくれた大学の入学案内もろくに見ないまま、1週間ほどが経過した。どうやら、入学のためには、納付期日までに入学金を納めないといけないらしい。自分は小学校のときから勉強ばかりしてきたのに、最終的に一番欲しかったものは手に入れることができなかった。今までの時間はいったいなんだったのかと虚無感に苛まれ、これまでの努力が全否定されたような気持ちになった。それでも時間は刻一刻と過ぎていく。ありがたいことに、親は浪人の道も示してくれた。子どもの学歴にこだわってのことではなく、自分が進路に納得していないが故の提案だと分かっていた。だけど、自分はもう1年この受験生活を繰り返す気力も体力も残っていなければ、同じことを2度繰り返すことが苦手だったため、再チャレンジしている自分の姿がどうしても思い描けなかった。そこで、ギリギリのタイミングで大学進学のための入学手続きを済ませた。憮然とした態度を取っている自分に、親から「行くと決めたなら、真剣に通え」と言われた。その指摘ももっともだ。学費もバカにならない。頭では分かっている。分かってはいるが、自分の中で未消化の感情がずっと渦巻いていた。ただ、進学すると決めたのなら、悔いのない大学生活を送ろうと決心した。留学にも興味があるし、資格試験やアルバイトにもチャレンジしたい。
 この高校3年間は、自分を含め同級生たち一人ひとりに様々なドラマがあったと思う。浪人を決めた同級生も何人かいた。各々が泣いたり、笑ったり、いろんな感情を抱きながら卒業式を迎え、高校生活に幕を閉じた。
 

→#5「大学1年生編」へ続く


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