【書評】AIと人間が送る日常生活を描いた小説
こんにちは!友為です。
今回は「【書評】AIと人間が送る日常生活を描いた小説」というテーマで、小説『クララとお日さま』を紹介します。
カズオ・イシグロが描いた子どもの成長を手助けするAF(人工親友)クララと女の子ジョジーの友情を育む物語です。AIがどんどん進歩していく中で愛とは?人生とは?を考えさせられる小説です。
この小説を手に取ろうと思ったきっかけは、先日紹介しました『ナマケモノ教授のムダのてつがく』の中で、AIとかロボットの世界をイメージするとき『クララとお日さま』の世界を想像してしまうと書かれていました。そこで、AIと人との関わり方がどうなるのか?を読んでみたいと思い、手に取りました。
この小説は印象に残ったことは、人の生きることや愛は、自分の心の中にあるということです。ここからネタバレを含みますが、ジョジーは体が弱く、いつ亡くなってもわからないような状態でした。そこでジョジーの家族はAFのクララにジョジーの全てを真似るようにしてほしいと頼みます。それはジョジーをいつでも思い出させるようにして、悲しまないようにするためです。
ただ、本当のジョジーへの愛はジョジーのご家族の中にあることをクララは知っていました。本当は真似ることもできたはずですが、そうすることはせず、最後の最後までジョジーを孤独にさせないために、クララは自分を犠牲にして走り回っていたなと感じました。
人間関係の良し悪しに関係なく、誰でもフラットに、そして100%利他の心で寄り添うことができる。
これが人間にはできないAFの強みです。
一方で将来、人間が自分のことだけしか考えず、AIが利他を考えるような存在になってしまう可能性もあるのではないか?と恐ろしい描写にも見えました。
この作品は今年映画化もされるということで、どのような作品になるか楽しみです。
この小説は普通の日常生活を様々な角度からAIと人間模様を見ていただくことができます。ぜひ一度読んでみてください。