<時間の使い方を学ぶ>学校キャンプ企画
今私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学5/6年生の担任をしており、概念型探究をどのように実践しているのかをまとめていけたらと思います。今回のnoteのテーマは「タイムマネジメント(時間とお金のつながり)」です。前回のnoteでは「お金の使い方」についてまとめてみましたので、よかったら見ていただけたらと思います。
さて、2ヶ月前から準備を進めてきた学校でのキャンプ企画。元々は経済のユニットでお金の使い方を学ぶ一環で行っていましたが、お金と時間の費用対効果を考える上でもタイムマネジメントも重要になってきます。今回のキャンプでは、その一歩を考えるきっかけになると良いなと。それぐらいのゆるい温度感で大人である私たちもどこまで介入して、どこまで見守るのか、これもまた正解のないところです。
キャンプ前の準備
こちらが子どもたちと一緒に話し合いながら作ったスケジュールになります。もちろん全てを自由に考えてもらったのではなく、集合時間、門限、就寝時間の安全と健康面を考慮して最低限の枠をつくり、残りは自分たちでスケジュールを全体で調整をしていきました。
このスケジュールをつくるプロセスの中にも何度も子ども同士で合意形成や交渉の時間がありました。例えば、このキャンプの企画において、全ての時間に全員が参加できているわけではないので、どの時間にどのプロジェクトを持ってくるのかを決めるのに何度も話し合いが行われていました。そして、最終的にざっくりとした全体の計画ができ、細かいスケジュールはキャンプ当日に決められるのかどうか…。ここも私はグッと見守るポイントの1つで、どこまで大人が介入するのかは各家庭にお任せしている部分になります。もちろん介入することで子どもたちは見えていなかったリサーチの必要性に気づくことができている子もいました。
キャンプ中のタイムマネジメント
キャンプ中は、大きな時間の枠組みの中で細かいタイムマネジメントをするためのスキルが求められました。
例えば、買い出し組の担当者は、17時までにみんなの晩御飯の買い出しと自分たちの温泉を終わらせる必要がありました。この時点で、どのようにしてそれぞれの目的地に移動するのかは決めておらず、15時ごろから出発すれば17時の門限に間に合うだろうと何となく推測をしていました。しかし、実際は買い出しのできるスーパーに行くためのバスの本数が限られており、最終的にはタクシーでの移動を行っていました。また、温泉までも本来はバスで温泉の目の前まで行けるところを門限に間に合わせるためにここでもタクシーでの移動になりました。しかし、子どもたちの意思決定は今取れる選択肢の中から安全面から門限に間に合うようにタクシーを手配して移動するという点に関しては、適切な意思決定ができているように思いました。
私の中ではこの経験が「どのようにしたら予算以上のお金を使わなくても済んだのか?」について振り返りを行うことで、今後にも繋がる気づきになるのではないかと考えています。今回フォーカスする切り口としては「リサーチスキル」と「タイムマネジメントスキル」にあるかなと考えています。
今回のキャンプは、綿密に計画された修学旅行とは異なり、自分たちで時間もお金もプロジェクトもマネジメントするスキルが求められます。この2泊3日のキャンプの中で、子どもたちに与えられた時間は48時間です。そして48時間の中で、買い出し(保護者サポートは1度のみ!)、料理を役割分担し、そして自分たちの自主企画である肝試し、ポケモンカード大会、ゲーム大会が行われます。大人たちはあくまでも見守り役です。
18人で48時間の時間をコミュニケーションをとりながらフルでマネジメントしていきます。日常生活だと、予算が決められている中でお金を使う、決められた時間の中で楽しむところを今回のキャンプでは、大人は見守りに徹し、待っていてもご飯が出てこない状況の中で今日はご飯が時間通りに完成しました。もちろん保護者ボランティアのサポートもありきではあったかなとは思いますが、子どもたちなりに試行錯誤しながら頑張っていたと思います。買い出しチームが時間が足りないことに気づいた時、「もうご飯を作らなくてもいいんじゃない。」という声も出てきましたが、全体で進めてきたプロジェクトということもあり、買い出し担当の人は、多少の予算がオーバーしても責任をもって取り組んでいました。
また、ご飯中にはこんなコミュニケーションも生まれていました。
「お金で換算できない価値がある」そんなことを感じ取った機会にもなったんじゃないでしょうか。
今回のnoteでは「タイムマネジメント」を切り口にまとめてみました。もちろん、この1回のキャンプでタイムマネジメントのスキルが身につくという考え方というよりも、「費用対効果」という考え方を学ぶ小さなきっかけになる人が1人でも2人でも出てくるといいなと裏ミッションで思ったりしています。人は時間に追われた時や面倒くさいと思った時に出てくる選択肢(今回だとタクシー)としてのサービスの価値は高くなるということ、また、時間を節約できてもその分サービスの値段が上がること、これらは事前のリサーチによって節約できたお金であること。掘り出すと色々な学びの種が出てくると思います。
今回のキャンプでどのような学びや気づきが子どもたちから出てくるのか、これまで学校で学んできたスキルや知識を転移させる機会としてのキャンプでもあり、この機会を通してまた未完成なスキルとも出会うことで自分の現在地を改めて知れるキャンプになればと思っています。こうやって、子どもたちの中でうまくいかなさから学びのサイクルが回っていくと良いなと思ったり。
このキャンプが2日間あるのもこれを意図しています。トライアンドエラーが一度ではなく、2日間あることでサイクルを2周する機会になります。明日はどのような1日になるのか、安全だけ気にかけながら遠くからそっと見守っていきます。
いつも読んでいただきありがとうございます。