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帰国途上で書いた EURO2024観戦雑記6

決勝はブランデンブルク門で

写真、手前が東側、観光客でいつも混雑しているパリ広場。向こうの西側にファンゾーンが広がっていた

決勝のスペイン対イングランドは、ベルリン、ブランデンブルク門の西エリアに区間されたファンゾーンで観戦することにした。
列車でベルリン中央駅に到着したその足でファンゾーン会場付近を下見、入場ゲートの場所や経路を確認してからホテルにチェックインした。

無料イベントのリスク管理

値段と立地優先で予約した一晩だけのホテルは、ベッドが収まるだけの狭い部屋。
夜に備えて2時間近く休んで、リュックを置いて手ぶらで再び会場に向かった。
ユーロ大会では、スタジアムにもファンゾーンにも手荷物は持ち込めない。公式サイトには「A4以内の手荷物、0.5L以内の水はOK」など詳しく記載されているけど、セキュリティゲートでいろいろ言われないようにしておくのが賢明。荷物預かり所はないし、事実どこの会場でも多くの人は手ぶらだ。
とくにファンゾーンは、無料イベントに集まる多国籍の、スタジアムとは異なる層で埋め尽くされる。リスク管理は意識しておかないと。

脱線するけど、大会呼称をユーロと呼ぶのはたぶん日本だけなのかな?ヨーロッパではユーロカップとか、スペイン語的にはエウロコパとか言う。ドイツではヨーロッパ選手権のドイツ表記の略でイーエム(EM)と呼んだり表記されることが多いことを現地で知った。

ファンゾーン入り口に並ぶ列

試合1時間半前、19時半頃。
ブランデンブルク門に近い南側の入場ゲートの3、400m手前から列が出来ていた。警察車両も配置され、宣伝のチョコレートを配る人がいたりで安心して列に付いた。少しずつ前進し、それ以上の勢いで後方に列が連なっていった。

「あっちのゲートはとじられた!」


列に付いて20分ぐらい経った頃、前の方から早足で戻ってくる人たちが現れ、周囲の人たちもキョロキョロしだす。戻ってきたひとりの男性が「あっちのゲートは閉じられた!向こうの入り口に行ったほうがいい!」と叫ぶと、皆一斉に後方に走り出した。
門の西側に伸びるファンゾーンの端までどれぐらいの距離なのか知らない。どこがゲートなのか分からずに走り始めた集団は、少しずつ歩く人と走り続ける人に分かれた。僕はなぜかハイな気分になって、走り切ろうと思った。
そして約15分のジョギングのゴールは、前の見えない群衆の塊だった。

人波に揉まれながら前進

財布とスマホを入れたジーンズの前ポケットの両方を手で押さえながら、人波に揉まれ前進していくと、セキュリティゲートに人が押し寄せないように、鉄柵の後ろに並ぶ警察官達が鉄柵を開け閉めしていることがわかった。
群衆が鉄柵を揺らしていた。
「横入りしている連中をなんとかしろ」みたいなこと叫ぶドイツ語、スペイン語、英語が飛び交った。

鉄柵まで数メートル。次のタイミングで入ろうとする周囲の人たちの圧力が強まった。
スペイン人家族たちがベビーカーを守るように囲んでいた。大人たちは「押さないで!子供がいます!押さないで!」。警察官が彼ら家族を引き寄せるように鉄柵の隙間を作って誘導して事故は防げた。

鉄柵をこえ、セキュリティーゲートを抜けてビジョンに向かう人たち。人混みを抜けてみんなホッとしていた

ブランデンブルク門が遠くに見えた


セキュリティゲートは難なくクリアし、前方の視界が開け、左右のいくつもの大型ビジョンと一番奥のブランデンブルク門とその前の最も大きなビジョンが遠くに見えた。

奥から4つ目の大型ビジョンを見上げる所に陣取った。スペインとイングランドの応援コールが入り混じるなか試合が始まった。

てブランデンブルグ門西側は、ユーロ大会に向けてかなり広いエリアに人工芝が敷かれたそう。なので、立ち見の人、座る人さまざまだった。

スペインがいつも通りの躍動を予感させる立ち上がりだったけど、あれっイングランドがこれまでと違う、強いぞ。
スペインの若いアタッカーらがシュートまで行けない。イングランドから仕掛ける攻撃に迫力を感じた。

4度目のビール浴び

先制スペイン。「エスパーニャ、エスパーニャ」の大コール。どこにこんなスペイン人がいたの?

イングランドの同点ゴール。やはりビールのしぶきが飛んできた。今回4度目だ。
「イッツカーミンホーム、イッツカーミンホーム」
歌声が広がった。

一番奥のビジョン脇の仮設ステージではMCが盛り上げた

スペイン優勝。
試合終了と共に帰路に着く人も多いなか、僕は表彰式の場面を、ブランデンブルク門前の大型ビジョンで見たくて、帰り道の人の流れにも逆らいながら歩いた。

スペイン優勝!
帰路につく人たち

終わった、と思った。

締めの瓶ビールはベッドで

ベルリンの地下鉄

地下鉄で4駅、降りた駅からホテルまでの歩道沿いのテラス席ではまだまだ盛り上がっているところが多かったけど、さすがに12時過ぎの新客に席を案内してくれる店はなかった。
仕方なく深夜営業のkioskでスーパーの倍の価格の瓶ビール2本とポテトチップスを買った。
ベッドで、今回の旅では飲まなかったカールスバーグを一気に流し込んだ。ドイツビールに慣れた口に苦味は物足りなく、妙に甘く感じた。

ちょっと総括に

今回のユーロは、いわゆる東勢の活躍が目立っていた。
僕の現地観戦旅は、予選グループ2戦目のデュッセルドルフのスタジアムでウクライナチームの良さ、応援の熱に驚かされて始まった。
サッカー記事は見ていたけど、現地時間とはいえテレビ含めて大半の試合を観ていたわけではない。あくまで観た試合と開催都市周辺の雰囲気で受けた印象で思うことになる。
東欧?旧ソ連?正しい言い方はわからない。良いチームだなと思って、国旗や国の位置などを調べてみたり。そんなことが多かった。

ケルン郊外で滞在したアパート。共有バルコニーにはスロバキアの国旗。お隣さんはマイカーで家族連れて来ていたようだった

ジョージア、スロベニア、ルーマニア、トルコ、スロバキア。これはトーナメントに進出した国々。
アルバニア、セルビア、ウクライナ、チェコ、ポーランド、クロアチア。これが予選グループ敗退の国々。
どの国も素晴らしい試合が記憶に残っている。

そして最後、僕は、政治的なメッセージを発信し続けてきた世界的なシンボル、ブランデンブルク門で現地観戦旅を終えた。

残された「壁」には世界中の人のアートが描かれていた
これが一番有名な”作品”。
富士山が描かれた日本の作品は残念な感じだった(個人の感想です)

スポーツはスポーツとして楽しみたい。一方でスポーツは、政治や文化慣習に触れて考える機会にもなる。それはグローバルスポーツの持つ大きな魅力だと思う。

決勝翌日行ったユダヤ博物館の0€の入場チケット。荷物検査を受けた後のチケットカウンターで受け取った。


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