空家対策ミニ知識:リースバックにはそろばんを
こんにちは。ゆうき行政書士事務所です。
私が子どもの頃になかった言葉シリーズとなりつつありますが、「リースバック」について見ていきたいと思います。
リースバックとはなんぞや
リースバックとは、
①持ち家をリースバック業者に売って、ある程度まとまったお金をもらう(売買契約)
②家の持ち主となったリースバック業者から家を借りて同じ家に住み続ける
(賃貸借契約)
ということで、不動産の売買契約と、賃貸借契約がセットになったものです。
大きなメリットとして、ある程度まとまったお金を受け取りつつ住み慣れた我が家に住み続けられる、ということがあります。老後に大きな環境の変化があるのは不安に感じるかたもいらっしゃる中で、ご高齢の方を中心に関心が集まっています。
以下、リースバックの年代別の認知度のグラフをご参照ください。
一生住み続けられるの?
持ち家をリースバック業者に売った後の賃貸契約のパターンは2つあり、「普通建物賃貸借契約」と「定期建物賃貸借契約」があります。
「普通建物賃貸借契約」は期間の定めなく住むことができますが、「定期建物賃貸借契約」は契約で期間が定められており、原則として期間経過後は出ていかなくてはいけません。
株式会社価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)が2021年に国土交通省に提出した資料では、圧倒的に高い割合で「定期建物賃貸借契約」が採用されており、定期建物賃貸借契約をしている9割を超える会社が契約期間を3年以下としています。
長く住み続けたい場合は「普通建物賃貸借契約」にしてくれる事業者を選ぶ必要があります。ただし、普通建物賃貸借契約の場合は一般的に賃料が高めに設定されているなど、定期建物賃貸借契約と同じ条件ではない可能性があります。
相続対策になるってきいたけど
不動産は現金化に手間と時間がかかるため、相続人の手を煩わせず先に現金化しておけるという効果があります。ただし、単に家を売却しても同じ効果となります。また、相続人が家に住みたいと思っているケースも考えられます。
買い戻しすることもできるんでしょう?
個々の契約内容によりますが、リースバック契約は賃貸借契約になりますので常に買い戻しできるとは限りません。売却価格よりも高額の買い戻し価格を提示されたトラブルの事例がありますので、注意が必要です。
固定資産税はかからなくなるの?
所有者に支払い義務があるので、固定資産税は所有者であるリースバック業者が支払うこととなります。なお、所有者がリースバック業者になるため、大規模な修繕は所有者の許可が必要となり、退去時は原状回復義務が発生する場合があります。
トラブルもあるってきいたけど、どういうものがあるの?
契約内容の認識相違や強引な勧誘などのケースがあります。国土交通省HPに掲載されている、消費者向けリースバックガイドブック策定に係る検討会の令和4年6月の資料から抜粋します。
ちょっと感想
家を売ったお金でそのまま住み続けられる、とは、とても魅力的な契約のように感じますが、売却価格や契約期間、賃料、原状回復義務など、契約の内容をきちんと理解しデメリットも把握することが大事かと思います。
次回はリバースモーゲージについて見ていきたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。